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UXデザインと人間中心設計の資格についてやる気になる話

秋も深まってきて今年もあとわずかとなりました。この時期が来ると、あー、今年もそろそろかぁという思わせるイベントがあります。みんな大好きX'mas…ではなく、UXデザインの資格とされているHCD-Net認定人間中心設計の専門家資格取得の審査申し込みの季節です。
そんな訳で今回は以下でお送りします。

人間中心設計の資格とは

一部デザイナー界隈ではこの時期に慌ただしく申し込みを決めたり、デザイン職の先輩から審査を受けてみれば〜と勧められたり、はたまたお勤め先での昇格要件になっていたりする事もあるかと思います。
またノンデザイナーであっても自社サービスの構築にUXデザインを導入したいと考えていたり、UI/UXデザイナーになるには?的な事を調べている方もこの資格の事が目についたかも知れません。 人間中心設計の資格所有者の在籍をセールスポイントの一つとして紹介する企業も増えて、私達のようなフィールドでお仕事をするデザイナー向け資格としては定番っぽい扱いにもなっています。
この資格、当初は『UXデザインの資格』的な言われ方はしていなかった気もしますが、UXが言葉として定着して来た事やプロセスとして体系化された資格が他に無いこともあって、デザイン分野でそれなりの重みをもたらしているようです。
(だいたい分かったので資格の詳細を知りたいという方はこちら

ものづくりの実際

そんな資格なので、受験を考えていない方でもこの機会にざっと概要を押さえておくとお仕事上でも無駄にはならないでしょう。
ちなみに人間中心設計についての教育を受けた事が無いと受験資格も無いだろうと思われるかもしれませんが、学術的に学ばれたかどうかはまったく問われません。
審査はものづくりの経験について申請フォーマットにひたすら記載を行うだけなので、デザインの実践経験が規定年数以上あれば人間中心設計なんて聞いた事も無い、という方でも受験出来てしまう親切設計となっています。

これから申し込もうかな?と言う方も、申し込むつもりは無いが自分なりのものづくりフローも確立して実践もしているよ〜と言う方も、人間中心設計のプロセス図とご自身のものづくりフローを対比してみてください。

どうでしょうか。
おそらくこのブログ読者に多いのは「現状を知る為の調査は行なった事がないや」「検証からフィードバックするような活動はした事が無いなぁ」といった感想かと思います。
「そもそもリサーチの工程がものづくりのプロセスに含まれるとは想像していなかった」「リサーチってものづくりの一貫なの?」というように感じられた方もいるでしょうか。
自身のものづくりフローからリサーチが切り離されている方や、ざっくりでも「自身のものづくりが必ずしもうまく行っているように感じられない」「本当にユーザーに満足して貰えるものを提供できているか疑わしい」といった肌感覚をお持ちの方にとってはこのプロセス図も今後の活動へのヒントになるかも知れません。

時間跳躍しよう

リサーチがものづくりに含まれている事に違和感があったり、実際にうまく活かせるのかどうか懐疑的な向きもあるかもしれませんが、ユーザーを観察しその実態を知る事はUXデザインには欠かせません。ここでは人間中心設計ではそのように定義しているという事を知っておいて頂ければと思いますが、では何故そこにリサーチが必要だとされるのでしょう?

ここで突然ですがみなさんは映像作品などはお好きでしょうか。 いきなりどうした?な流れで恐縮ですが、私は人間中心設計に『ループもの』と呼ばれる作品ジャンルに似た構造を感じたりもします。
※『タイムリープもの』とも。代名詞として「時をかける少女」が有名ですが、メディアを問わず普遍的なテーマとして人を惹きつける魅力があるように思います。

ループものでは多くの作品で主人公の日常に問題が起こりますが、時間を巻き戻りながら何度も失敗を繰り返す事によってそれを回避する術を見つけ、成長する事で未来へポジティブに進んでいく〜というストーリー構造を持っています。
もちろん現実世界では同じ人物が時間を巻き戻して何かをやり直すことは不可能ですから、人間中心設計ではこれをプロセスとして繰り返す事になります。このプロセスではユーザーの日常から知り得た情報を元に、類型化された人格と状況が設定され、UXデザインとしてその人物の躓きや誤った選択が発生するシナリオをより良い方向へと書き直す事になるのです。

ループもので問題に対する躓きから学びを得て成功に結びつける様を見ると、UXデザインで解決対象の前提を知る為のリサーチが欠かせない事も頷けます。躓きの過程を観てそれを受け止められるから自分が何をしてあげられるかを考えられる。そこで効果を発揮する方法は何か?をストーリーテラーとして真剣に考えているのがUXデザイナーと言うとちょっと盛りすぎでしょうか。盛りすぎですね。

ハッピーエンドを目指す

今、企業のものづくりにも、UXを重視していこう、ものづくりのプロセスを変えていこうという機運を感じます。
UXデザインにはスタートの時点で予め決められた正解は存在しないので、それを担う方々は如何様にもシナリオを描く事ができます。その為、時にはバッドエンドへと突き進む事態も起こっているかもしれません。 だからと言って答えが無く失敗する事を恐れてUXデザインに二の足を踏むような事は本末転倒で、人間中心設計では問題を抱えた人を助けられるようプロセスの反復が必要だとしています。臆せずゴールを設定し歩みを進めるのがUXデザイン、デザイナーの役割になっているのです。

自分達がそんなネガティブなループを終わらせるつもりで取り組む気持ちになれれば、組織がUXデザインに対して今後どのように向き合うのか、個人としてはそこに取り組む為に資格取得なども通して自身の現状を棚卸ししておく事も大切な事だと思います。
プレッシャーを感じつつもこんなにやりがいを持って取り組める仕事もそう無いんじゃないかなと秋の夜長に思索したのでした。

おしまい

補足
UXデザインの知識を得たい方や人間中心設計の資格取得を考えられている方は、人間中心設計推進機構のサイトから「認定制度」を確認される事をオススメいたします。 2022年の受験者向け説明会は11月21日(月) 、審査申込受付は12月6日(火)締切です。

人間中心設計推進機構: https://www.hcdnet.org/

執筆者:長田和之

UI/UXデザイナー、人間中心設計専門家