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AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識(AWS Certified: SAP on AWS - Specialty)の学習方法

小西秀和です。
この記事は「AWS認定全冠を維持し続ける理由と全取得までの学習方法・資格の難易度まとめ」で説明した学習方法を「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識(AWS Certified: SAP on AWS - Specialty)」に特化した形で紹介するものです。
重複する内容については省略していますので、併せて元記事も御覧ください。
また、現在投稿済の各AWS認定に特化した記事へのリンクを以下に掲載しましたので興味のあるAWS認定があれば読んでみてください。

ALL Networking Security Database Analytics ML SAP on AWS Alexa
DevOps Developer SysOps SA Pro SA Associate Cloud Practitioner

「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」とは

「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識(AWS Certified: SAP on AWS - Specialty)」は一言で言えばAWSクラウド上でSAP社のSAP関連製品を実行するための設計・構築・運用・移行および最適化ができる専門知識を検証する認定と言えるでしょう。
SAP on AWSに関するAWS Ramp-Up Guidesは本記事執筆時点では用意されていません。
一方で、後述の『「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」の学習方法』で紹介している「試験ガイド」によるとAWS Well-Architected Frameworkに基づいた設計や移行などの知識が必要とされているため、AWS Well-Architected Frameworkの6つの柱および「SAP Lens for the AWS Well-Architected Framework」を理解しておいたほうがよいでしょう。
そして、これらの内容に加えて、さらにSAP関連製品を使用したワークロードの知識が必要とされるため数あるAWS認定の中でもSAPアプリケーションに特化した認定です。

「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」の学習方法

この認定に関係しているAWSの関連カテゴリと主要AWSサービスには以下のものが挙げられます。
【関連カテゴリ】:「アプリケーション統合」「コンピューティング」「コンテナ」「コスト管理」「データベース」「デベロッパーツール」「エンドユーザーコンピューティング」「マネジメント、ガバナンス」「移行と転送」「ネットワーク、コンテンツ配信」「セキュリティ、アイデンティティ、コンプライアンス」「ストレージ」「SAP on AWS用ツール」など
【主要AWSサービス】:Amazon SNS、AWS Step Functions、Amazon EC2、Amazon EC2 Auto Scaling、AWS Lambda、Amazon ECS、Amazon EKS、AWS Budgets、AWS Cost and Usage Report、Cost Explorer、Reserved Instance reporting、Savings Plans、Amazon RDS、AWS CDK、AWS tools and SDKs、Amazon AppStream 2.0、Amazon WorkSpaces、AWS CLI、AWS CloudFormation、AWS CloudTrail、Amazon CloudWatch、AWS Compute Optimizer、AWS Config、AWS License Manager、AWS Management Console、AWS Personal Health Dashboard、AWS Systems Manager、AWS Trusted Advisor、AWS Application Migration Service(CloudEndure Migration)、AWS DataSync、Migration Evaluator、AWS SMS、AWS Snow Family、AWS Transfer Family、Amazon API Gateway、Amazon CloudFront、AWS Direct Connect、AWS Global Accelerator、Elastic Load Balancing、AWS PrivateLink、Amazon Route 53、AWS Transit Gateway、Amazon VPC、AWS Backint Agent、AWS Launch Wizard、Amazon GuardDuty、AWS IAM、AWS KMS、AWS Security Hub、AWS Shield、AWS Single Sign-On、AWS WAF、AWS Backup、CloudEndure Disaster Recovery、Amazon EBS、Amazon EFS、Amazon FSx for Windows File Server、Amazon S3、Amazon S3 Glacier、AWS Snow Family、AWS Storage Gatewayなど

「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」はAWS上でのSAPアプリケーション利用に特化した認定であるため、学習リソースも他のAWS認定とは異なるもの、異なる使い方で紹介しています。

学習順 学習リソース 学習リソースの活用ポイント 費用(税別)
随時 AWSドキュメント AWSドキュメントのうち上記に挙げた【関連カテゴリ】および【主要AWSサービス】に関係するものを中心に読みます。ただし、量が膨大なため以降の順番の中で辞書的に使用して、最後に受験まで余裕があったら学習過程で気づいた重要部分やサービス間連携する機能から優先的に熟読するという使い方をしています。 無料
随時 AWS認定対策本 受験するAWS認定の対策本が出版されていれば、その本から学習していくことも効率的な方法だと思います。私の場合は受験当時に対策本があまり無かったため、使用する機会がありませんでした。 2,000円~4,000円程度
随時 検索エンジンでキーワード検索 後述の学習リソースでわからなかったキーワードや内容を随時、検索エンジンで検索して出てきたブログなどを参考にします。特に日本語だけではなく英語で検索することは日本語サイトにはまだ掲載が少ない情報を英語圏のサイトから得ることで理解を深めることができるためおすすめです。 無料
随時 AWS Skill Builder(Exam Readiness(試験準備)) Exam Readinessは試験準備のための要点がまとめられているデジタルトレーニングです。該当するAWS認定に関連するAWSサービスや出題傾向をここで把握します。「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」には本記事執筆時点でExam Readinessはありませんが、リリースされた場合には受講しておいたほうが良いでしょう 無料
随時 AWSサービス別資料 AWS Black Belt Online Seminarの資料が中心に掲載されており、重要ポイントが非常によくまとめられています学習をすすめる中で上記に挙げた【関連カテゴリ】および【主要AWSサービス】に関係するサービスの理解が足りないと感じた場合には随時参照して学習します。 無料
随時 AWS Skill Builder(IntroductionPrimerDeep Dive) 各サービス毎にIntroduction、Primer、Deep Diveといったデジタルトレーニングが用意されている場合があります。学習をすすめる中で上記に挙げた【関連カテゴリ】および【主要AWSサービス】に関係するサービスの理解が足りないと感じた場合には随時参照して学習します。 無料
随時 よくある質問 各サービス毎に用意されている「よくある質問」も一般的なQ&Aが記載されています。AWSナレッジセンターが実践的なQ&Aであるのに対して、基礎知識の整理と確認に有用です。学習をすすめる中で上記に挙げた【関連カテゴリ】および【主要AWSサービス】に関係するサービスの理解が足りないと感じた場合には随時関係するQ&Aを中心に読んでおきます 無料
0 「AWS Certified Solutions Architect – Professional」と「AWS Certified Database – Specialty」の先行取得の検討 「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」の「試験ガイド」にはAWS Well-Architected Frameworkの設計や移行の内容も含まれています。そのため、この認定を受験する前に「AWS Certified Solutions Architect – Professional」の設計・移行の知識、加えて「AWS Certified Database – Specialty」のデータベース移行の知識を先に身につけておくと学習効率が良いです。これらの認定を取得する予定がある場合は先に取得しておいた方がSAP on AWSの内容を理解しやすいと思います。
本ブログでは次の記事でこれらの認定の学習方法について紹介しています。
AWS 認定 ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル(AWS Certified Solutions Architect – Professional)の学習方法
AWS 認定 データベース – 専門知識(AWS Certified Database – Specialty)の学習方法
受験する場合は対象のAWS認定費用
1 試験ガイド 試験ガイドで受験するAWS認定の試験範囲とどのような内容が出題されるかを把握します。 無料
2 サンプル問題 試験ガイドとセットで掲載されているサンプル問題を解いて、出題傾向を把握します。 無料
3 AWS Skill Builder(SAP on AWS (Technical)) SAP on AWSの基礎的な知識とアーキテクチャパターンがわかるデジタルトレーニングです。後述の「SAP on AWS 技術文書」の内容が難しいと感じた場合はこちらから学習するとSAP on AWSの概要や全体像をつかみやすいでしょう。 無料
4 AWS Skill Builder(AWS Certification Official Practice Question Sets(模擬試験)) 受験するAWS認定の出題傾向や重要点を確認できるため、試験直前の腕試しではなく可能な限り早い段階で受けることをおすすめします。受験する分野の既存知識があれば最初に受けても良いと思います。模擬試験はAWS Skill Builderに移行されてからは受験料が無料になりました。本記事執筆時点で「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」の模擬試験は英語版で提供されています。 無料
5 SAP on AWS 技術文書 SAP on AWSに関するドキュメント集です。「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」はここに掲載されている各ドキュメントを中心に学習します。時間の許す限りすべてのドキュメントに目を通して理解しておきます。 無料
6 AWS Well-Architected AWSにはAWS Well-Architected Frameworkと呼ばれるAWSの長年の設計経験に基づいたベストプラクティス集があります。AWS Well-Architected Frameworkは実際のアーキテクチャ設計レビューなどでも活用される実践的なもので、年々進化するAWSサービスのアップデートに伴い、その内容も変わっていくためAWSの設計概念を知るには非常に有用です。「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」ではAWS Well-Architected Frameworkの6つの柱(優れた運用効率、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コストの最適化、持続可能性)で説明されている基本的な内容を理解しておいたほうがよいでしょう。 無料
7 SAPレンズ - AWS Well-Architected Framework AWS Well-Architected FrameworkにはSAPレンズというSAPの設計方法に焦点を当てたベストプラクティス集も追加されているため、使用されるサービスの特徴とアーキテクチャ、SAPレンズ内で紹介されているドキュメントやAWSブログ記事を中心に内容を理解しておきます。 無料
8 AWS Blog日本語版(Category: SAP on AWS) 受験するAWS認定に関連するサービスの記事を中心に問題解決方法、アーキテクチャ、事例、認定が新設・改定される前にリリースされた機能追加について情報収集をします。AWS認定だけではなく業務でも有用なので定期的に読む習慣をつけると良いと思います。 無料
9 AWS Blog英語版(AWS for SAP Blog) 英語版は「SAP on AWS」分野のカテゴリに特化した「AWS for SAP Blog」があるため、問題解決方法、アーキテクチャ、事例、認定が新設・改定される前にリリースされた機能追加の内容を中心に読んでおきます。 無料


参考:
AWS認定全冠を維持し続ける理由と全取得までの学習方法・資格の難易度まとめ
AWS Blog
Welcome to AWS Documentation
Tech Blog with related articles referenced

「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」の学習過程で重要だと思った点

ここからは私が「AWS 認定 SAP on AWS - 専門知識」の学習過程でAWS認定のみならず実務的にも重要だと思った点をまとめてみます。
ただし、重要だと思う点に個人差があること、この記事の執筆時に思い出せず書き忘れがある可能性もあることをご了承ください。
私は業務で直接SAPアプリケーションを扱う機会は無いのですが、SAP on AWSの学習過程で得た知識は一般的にAmazon EC2への直接インストールを前提としたサードパーティパッケージアプリケーションやオンプレミスからリホストしたアプリケーションを使用する場合の設計、実装、移行、運用、最適化の参考になると感じました。

SAP on AWS Overview and Planning

AWS Data Provider for SAP

SAP on AWSの可用性と信頼性に関するアーキテクチャガイダンス

AWS Backint Agent for SAP HANA

SAP HANAからAWSへの移行パターン

SAP HANA環境のセットアップ

SAP HANA on AWSオペレーションガイド

AWSでのSAP HANAデータ階層化の概要

SAP on AWSの高可用性とオーバーレイIPアドレスルーティング

SAP HANA on AWS:SLESおよびRHELの高可用性構成ガイド

SAP BusinessObjectsにおけるデプロイと運用ガイド - Linux

SAP BusinessObjectsにおけるデプロイと運用ガイド - Windows

SAP BusinessObjectsにおける高可用性と災害対策に関するガイド - Linux

SAP BusinessObjectsにおける高可用性と災害対策に関するガイド - Windows

SAP NetWeaverにおける環境設定ガイド – Linux

SAP NetWeaverにおけるデプロイと運用ガイド – Windows

SAP NetWeaverにおけるデプロイと運用ガイド - SQL Server

SAP NetWeaver HA on AWS設定ガイド(SLESとRHEL用)

Oracle for SAP NetWeaver on AWSデプロイおよび運用ガイド(Linux用)

AWS Launch Wizard for SAP

SAP HANA Quick Start

AWS for SAP Blog

SAP関連用語

SAP関連用語は略語でAWSドキュメントやAWS Blogのアーキテクチャ図に出てくるため、略語が何を意味するのかを理解しておくことがおすすめです。

用語 概要
SAP Adaptive Server Enterprise(ASE) RDBMS
SAP HANA カラム型インメモリデータベース
SAP S/4HANA SAP HANAを標準データベースとするERP製品
SAP HANA System Replication(HSR) HANA同機種間のデータベースレプリケーション
SAP Database Migration Option(DMO) 異機種間対応のデータベース移行サービス
Primary Application Server(PAS) SAPのプライマリアプリケーションサーバー
Addtional Application Server(AAS) SAPのセカンダリアプリケーションサーバー
ABAP Central Services(ASCS) メッセージサーバーとエンキューサーバーで構成される。
Enqueue Replication Server(ERS) ASCSのエンキューのレプリカを持つ。アクティブ(ASCS+PAS)、スタンバイ(ERS+AAS)のHAを構成する。
SAP Web Dispatcher リバースプロキシ、サーバー間負荷分散 (前述のメッセージサーバーの負荷分散パターンもある)
SAP NetWeaver ABAP(SAP独自プログラミング言語)、Javaのランタイムを提供するミドルウェア
SAP Fiori HTML5、JavaScript、CSSを使用したフロントエンドのビジネスアプリケーション
SAP BusinessObjects Business Intelligence(BOBI) BIツール
Software Provisioning Manager SAPソフトウェアの導入をするツール
Software Update Manager SAPソフトウェアのアップデートをするツール
SAP Landscape アプリケーションライフサイクル構成。開発(DEV)→検証(QA) →本番(PRD)が推奨。
SAP Solution Manager(Solman) アプリケーションライフサイクル管理ツール
Secure Network Communications(SNC) SAProuterで使用するセキュアネットワーク通信
SAPRouter SAPサポートがSAPユーザーのネットワーク内に接続するためのツール。パブリックサブネットにNATやEIPを関連付けて配置してSNC経由でSAPサポートがアクセスする。
SAP Operating System Collector(SAPOSCOL) SAPのリソース情報をOSから収集するための機能。AWS Data Provider for SAPを使用してAmazon EC2、Amazon Cloud Watchの情報を読み込ませ、AWSサービスのパフォーマンス関連データをSAP上で使用できるようになる。
Written by Hidekazu Konishi
Hidekazu Konishi (小西秀和), a Japan AWS Top Engineer and a Japan AWS All Certifications Engineer

執筆者小西秀和

Japan AWS All Certifications Engineer(AWS認定全冠)の知識をベースにAWSクラウドの活用に取り組んでいます。
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