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部運営のこれまでとこれから~基デザウィーク開始にあたって~

本記事は  基盤デザインウィーク  1日目の記事です。
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こんにちは、林です。
気づけば前回のブログ執筆から1年以上が経過していました。時の流れる速さには驚かされっぱなしです。



はじめに

今日から2週間、基盤デザイン事業部のメンバーがリレー形式でブログを執筆する期間(通称:基デザウィーク)が始まります。基デザウィークの開始にあたって、部の創設からもうすぐ3年目を迎えようとしているいま、当部を運営するためによりどころにしてきた考え方や、今後どうしていきたいと考えているのかについて綴っていきたいと思います。


「深化」と「探索」

深化と探索とは、『両利きの経営』という書籍で提唱されている言葉です。会社を存続・成長させるためには、いまの事業を安定させること(深化)と、新しい事業への挑戦やイノベーションの実践をすること(探索)の両輪をバランスよく進めていくことが大切だという考え方です。

以前に書いたブログでも紹介しましたが、当部は、インフラエンジニアからクラウドエンジニアに様変わりしていこうとするエンジニアが多数在籍している状態から始まりました。そのため、『両利きの経営』に重ねて、これまでインフラエンジニアとして自分たちが培ってきた領域やスキルを突き詰めること(深化)と、これからクラウドエンジニアとして身につけていく必要がある領域やスキル(探索)の両輪をバランスよく進めていくことが大切だと考えました。そこで、部のメンバーが共通の目標(目指したい姿)を持って日々の業務に取り組んでほしいという思いから、3つの組織目標を作りました。

【3つの組織目標】

  1. Webシステムインフラのプロフェッショナル集団(深化)
  2. システム全体の状況を理解し、改善を提案できるSRE視点を持つエンジニア(探索)
  3. クラウドサービスを使いこなすフルスタックエンジニア(探索)

この組織目標はいまも掲げているものではありますが、探索の難しさを痛感しています。日々の業務で探索できることもありますが、探索のための時間をどうやって作ればいいのか、なにをどのようにすれば探索が進むのか。また、アプリケーション開発経験を積んでこられたキャリア入社の方も増えてきたことで、部全体としての「深化」と「探索」も少しずつ変わってきているように感じています。


このブログを書くことを機に組織目標を「領域」と「スキル」のマトリクスで整理してみたら、

  • 領域とスキルの両方を探索していった先に何が見えるのか?
  • これまでの領域やスキルとは非連続な何かが見えるのか?

という新たな探索ポイントも見えてきました。たとえば、「PMができるインフラエンジニア」は当社ではあまりいないので、そういった探索も考えられるかもしれませんね。また、少し技術面に偏った組織目標になっているなという気づきも得たので、軸を変えてビジネス面の探索目標も考えていきたいです。


「ファクトリー型」と「ワークショップ型」

ファクトリー型とワークショップ型とは、株式会社MIMIGURIの安斎勇樹さんが提唱している組織のあり方の分類です。

「ファクトリー型」は、経営層からのトップダウンで組織を運営していく考え方です。現場のメンバーは問題に対する解決策を磨き続けることが求められます。そのため、「効率性」や「継続性」が求められるような仕事を進める上で有用な組織の型といわれています。

「ワークショップ型」は、VUCAといわれるいまの世の中に必要な組織を運営していく考え方です。現場のメンバーは、日々仕事を進めるなかで問題を発見しながら、その解決策までを探求することが求められます。そのため、「創造性」や「変化」が求められるような仕事を進める上で有用な組織の型といわれています。



アジャイルな進め方を採用するシステム開発プロジェクトが広がる中で、現場のメンバーはお客様の事業成長に貢献すべく、日々「問題」を発見し「解決策」を探究する仕事の進め方に取り組むことが増えています。そんな中で、マネージャのあるべき姿とは?と考えていたときに出会ったのが、この「ファクトリー型」と「ワークショップ型」の考え方でした。

多くの企業がMVV(Misson, Vision, Value)やPurposeといった「理念」や「存在意義」を掲げていますが、弊社(グループ全体)でもMVVの浸透活動が行われています。私もその活動に運営側として参加しているのですが、MVVと現場の活動の間に温度差を感じることもあります。会社の理念や経営層の考え(ビジョン)と現場の活動をうまく繋ぐことができれば、組織としての一体感がある「ワークショップ型」の組織になっていけるのではないかと実感しました。

ミドルマネージャである私がこの役割を果たすことができるよう、双方の考えや思いを繋ぐために必要な「問いかけ」や「対話の促進」といったファシリテーターとしてのスキルを磨いていくことが必要だなと感じています。

もちろん、ファクトリー型の「効率性」や「継続性」が大切な仕事もあります。ワークショップ型は時間をかけて作り上げていく仕事に適する型だと考えています。そのため、ファクトリー型で進められる仕事はできるだけ効率性を高めて、ワークショップ型で進める必要がある仕事に時間を割り当てられるようになるのが理想ですね。


「ふりかえり」と「むきなおり」

「ふりかえり」は、KPT(K:Keep P:Problem T:Try)やYWT(Y:やったこと W:わかったこと T:次にやること)といったフレームワークを使って、特定のイベントや一定期間の活動に対して内省したり関係者で話しあったりすることです。次のイベントや活動をよりよいものにするための気づきを得ることを目的とします。

「むきなおり」は、プロジェクトや事業内容などの目的や意義を改めて見直すことです。そもそもの部分を見直すことで、盲目的に信じたり思い込んだりしているとこを見直し再認識を促すことを目的とします。この言葉は、『組織を芯からアジャイルにする』という書籍ではじめて目にした言葉です。

ここまで、この2年間で部を運営するためによりどころにしてきた考え方と、それをどう活用していこうとしているかについて綴ってきました。改めてふりかえってみると「探索」の進め方と「ワークショップ型」の組織運営に必要なスキルや方法論あたりに改善に向けた課題があることが見えてきました。そう!まさしく「ふりかえり」の大切さをこのブログを書きながら改めて実感したのです。

組織目標として掲げていたものをふりかえる中で「新たな探索」が隠れていたことが見えてきました。これは、そもそもの自分たちの存在意義や目的を見直す「むきなおり」といえるでしょう。この「ふりかえり」と「むきなおり」を組織の運営にも活かしていきたいと考えています。それは組織の運営にアジャイルの考え方を取り入れることともいえるでしょう。


3年目に向けて

組織の運営に対して「ふりかえり」と「むきなおり」ができるまで2年かかりました。ミドルマネージャに求められることが多すぎて大変だなと思うこともあります。だからこそ、少しずつでも成果が見えるような進め方が大切になってきます。これからは、「ふりかえり」と「むきなおり」の期間をもっと短くして、よりスピード感のある部の運営をすることで、よりよい組織に近づいていけるよう努力します。

私は、共に働くメンバーが日々の業務に真摯に取り組んでいることに対して尊敬の念を持っています。だからこそ、私もそれに負けないようにメンバーの力を最大限に発揮でき、組織としての価値を高め、お客様に貢献できるような組織づくりをしたいと思えるのです。


さいごに ~基デザウィーク開始にあたって~

このような組織づくりのために時間を費やせたのは、部のメンバーそれぞれが問題認識をもって主体的に日々の業務に向きあい、お客様の事業に貢献できる価値を生みだしてくれているおかげです。 そのうえで、個人のスキルアップにも意識高く継続的に取り組んでいるメンバーがたくさんいます。

ブログの執筆もスキルアップの一つです。ブログを書くことは

  • 学んだこと、経験したことの理解を深め、自分のスキルをより高めるための手段。
  • 「知る」→「わかる」→「できる」→「教える」の能力開発の4ステップを進める機会。
  • 「書く(=アウトプットする)」ことは、内容を何度も思い出して記憶(理解)を定着させる行為。

とも考えられます。書き始めるまでの心理的なハードルは高いかもしれませんが、その分リターンも大きいはず。

今日から2週間にわたりお送りする基デザウィーク。今年度入社の新入社員も含め、ブログ初執筆が半数以上というメンバー構成になっています。新しい挑戦は時に緊張や不安を伴いますが、それが成長への第一歩です。お互いに支え合い、共感し合いながら、このブログの経験を楽しんでください。


技術的なことからちょっとしたネタ的な内容まで?どんな内容がでてくるか私もまだ知らないのですが、きっと幅広いものになるだろうなととても楽しみにしています。

それでは、基デザウィークの始まりです。

【関連書籍】

執筆者林晋一郎

大阪でインフラ部門のマネージャをしています。

X(旧:Twitter):@shin16884

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