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プロジェクト推進でハマりがちな3つの落とし穴とその回避策について

本記事は  【Advent Calendar 2023】  2日目の記事です。
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こんにちは。喜早です。

今回は、プロジェクト推進における落とし穴的な話をしようと思います。 あくまで私の主観ですが、プロジェクトの進捗報告を聞く際、落ち着きのないプロジェクトでよく耳にする反省がこのあたりが多い印象です。

ハマりがちな3つの落とし穴

落とし穴その1 次工程の直前になって準備不足が発覚する

プロジェクトには様々な工程が存在しています。システムであれば、設計、開発、テストなどといった工程で進んでいきます。各工程がスタートしたら、プロジェクトメンバーはスケジュールに遅れが生じないよう、眼前のタスクに邁進してくれます。しかし、その当該工程も終盤に差し掛かると、次工程のことが頭の中にちらつき始めることでしょう。

工程が変わるとき、概して作業内容や作業環境、工程に臨むに当たりメンバーが担う役割がガラッと変わることがほとんどです。そのため、準備にもそれなりに時間が掛かります。しかし、現在の工程で手一杯となるととかくこのあたりの準備ができずに、次工程開始前日あたりであれが足りない、これが足りないとなりがちです。こうなると、フォローするためにメンバーが残業したり、スケジュールをずらしたり、ということが発生してしまいます。

落とし穴その2 新しい工程にはいった途端にトラブルが発生

どうにか次の工程に入ったのはいいものの、トラブルが発生して進捗が出ないということもよく聞く話です。立ち上がりというのはどれだけ準備を入念にしても大概進みが悪いものです。

  • 想定した環境から接続ができない
  • そもそも環境が立ち上がらない

などなど、やってみてわかることによく遭遇します。こういうことが発生するとスケジュールにダイレクトに影響が出がちです。

落とし穴その3 他社さんとのシステム接続がうまく行かない

同じシステム開発において、他社さんが同じシステムの開発プロジェクトに入っている、もしくは他社さんのシステムと接続するというような場合も要注意です。プロジェクトを成功させようという思いは同じとはいえ、認識のズレはやはり起きてしまうもの。自社のチームであればコミュニケーションを取る機会も多いのでどこかで気づけることも多いですが、他社さんとコミュニケーションを取る機会は自社よりは少ないため、そこに気づけるタイミングは少なくなってしまうと思います。また、自社と他社で当たり前と考えている部分が違ったりすると、そこに起因するトラブルもよくあります。

結果、実際にシステムを繋いでみて初めてお互いのズレに気づくということが起こりがちです。

落とし穴を回避するために

いかがでしたでしょうか。過去を振り返ってヒヤリとした思い出があるかたもいるのではないでしょうか。私も同じような経験をしてきました。それをもとに、落とし穴を回避するために気をつけておくべきこと、大きく2つあるかなと考えています。

条件の明確化を早めに行っておく。

条件の明確化、と少しボワッとした表現をしましたが、例えば今回の例であればこのようなものが挙げられるかなと思います。

  • 落とし穴その1→当該工程の終了条件と次工程の開始条件の明確化
  • 落とし穴その2→誰がどういう環境でどういったものを利用するのかというような利用条件の明確化
  • 落とし穴その3→どういう条件でどういう接続の仕方をするかと言う条件の明確化

これらの明確化はタイミングは早ければ早いほど良いと思います。まだ立ち上がりの気持ちに余裕があるうちであれば作りやすいでしょう。また、早くからプロジェクトメンバーが次工程を意識してくれるようになるので、影響しそうなアップデートがあればすぐ声を上げてくれる環境になりやすいかと思います。工程が大詰めのタイミングなどでこれを整理しようとすると、忙しく心理的負荷も大きく、また忘れていたとしてもケアできる時間的余裕もなくなりがちかと思います。

実際に小さく試してみて早く失敗する

ものによってはこれらの条件がほんとに正しいのか、ということの確認が必要な場合もあると思います。落とし穴その2、その3のような実際にシステムを動かす場合は特に、です。早めにこれらを試してみることで足りていないところをあぶり出すことができ、それを持って条件をアップデートすることで本格的に実施するタイミングでバタつくリスクを軽減することができます。

終わりに

いかがだったでしょうか。中にはわかってるけどそんな余裕ないよ!という方もいらっしゃるかもしれません。ただ、このような先を見た準備というのは早めに取り組むほどコストを下げる、分散することができ、結果、プロジェクトにかかる心理的/肉体的負荷を下げることに繋がると私は思っています。直前でバタバタしてしまい、うまく行かなかったり焦ったりするとドッと疲れますよね(><)

条件化というのはゴールの明示化と同義だと思います。そういう意味でも、早めにメンバーにゴールを提示すれば、プロジェクトの推進力をその方向に向けて無駄なく使うことができるようになると思います。 これを読んだ方がうまく落とし穴を回避し、健全なプロジェクト運営につなげていただければ幸いです。

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執筆者喜早 彬

プロジェクトの理想と現実とスケジュールのあいだで止揚を求めて彷徨う要件定義・マネジメント族。野球はライオンズ。お酒は日本酒。休暇時は思いつきで不意にどこかへ放浪しがち。
似顔絵は東影さんに書いていただきました