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若手Webディレクターにおすすめ!ウェブデザイン技能検定2級

本記事は  【Advent Calendar 2023】  13日目の記事です。
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Webディレクターの河合です。インターネット黎明期の95年頃からウェブサイト制作に携わっており、デザイナー兼コーダーを経て(昔は何でもやったのです…)、現在はディレクション業務をしています。本記事は、特に若手Webディレクターに向けて、今後のキャリアアップに向けて取り組んでおいたほうが良いであろう、ウェブデザイン技能検定2級についてお話します。

ウェブデザイン技能検定とは?

ウェブデザイン技能検定とは、2007年にスタートしたWebデザインに関する国家検定です。すでにその頃、インターネットはかなり普及し、Web業界の規模も大きくなっていたにもかかわらず、Web制作者の能力が評価される基準が一切ありませんでした。そういった時代背景の中で、ようやくスタートした検定です。

資格は3級から1級まであり、3級→2級→1級と順に難易度が上がります。今回は1級取得に向けての前段階、2級に焦点を当ててお話したいと思います。

まずは各級の合格率から見てみましょう。

  ★各級の合格率★  
3級約59.4%
2級約41.3%
1級約13.3%

引用元:特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会(令和5年9月27日現在の過去合格者累計から算出)

加えて、ウェブデザイン技能検定2級は受験資格が設けられていますので確認を。

【受験資格】

  • 職業高校、短大等、または大学を卒業していること
  • 高度職業訓練を修了していること
  • ウェブデザイン技能検定3級に合格していること
  • Webデザイナーとして2年以上の実務経験を持っていること

のいずれか一つに該当ということなので、割りと敷居が低いとは思いますが、まだWeb業界に就いていない方は、まずは受験資格のない3級から受験しておきましょう。なお、1級の受験には2級を取得している必要があります。

取得するメリット

Webデザインに関する唯一の国家検定であり、「ウェブデザイン技能士 2級」を名乗ることができます。「ウェブデザイン技能士」という名称を耳にする機会は少ないかもしれませんが、自身のステップアップのためにも、以下の点から必要な検定だと言えるでしょう。

  1. Webデザインの基礎知識が備わっていることの証明
  2. Webデザイン技能検定1級を取得するためには必須

まず、Webデザインの基礎知識についてお話しします。Web業界がスタートしてしばらくの間は、デザイナー・コーダー・ディレクターといった分業が進んでおらず、何でもこなす必要があり、自然と基礎知識も身についていったのですが、今は最初からディレクターに就く方もいます。ディレクターと言っても、当然WebデザインやHTMLコーディングの基礎知識もないと務まりません。加えてもっと広い範囲の知識も必要になってきます。そのあたりを網羅しているのが「ウェブデザイン技能検定2級」ということになると思います。「ウェブデザイン技能検定2級」を取得済みであれば、実務経験が短い場合でも、一定の基準満たしているということを他者に証明できます。

もう1つ、「ウェブデザイン技能検定1級」を受験するためには「ウェブデザイン技能検定2級」の取得が必須です。1級を取得していれば、大手を振ってウェブのスペシャリストと言えるでしょうし、転職の際のアピールポイントになるかもしれません。 また、企業では昇格の必須条件としている場合もあります。技術の取得レベルを判断するうえでも、良い基準となりますからね。

試験対策

先に合格率が約41.3%と述べましたが、受験資格にもある「ウェブデザイナーとして2年以上の実務経験」がある方であれば、もっと合格率が高いと思います。受験者の実務経験有無のデータは公開されていませんが、実務経験無しで受験している方が一定数いるのかもしれませんね。対策して臨めば難しくはないですし、当社のディレクター陣は80%くらいの合格率です。

学科

まずは過去問題を解く練習をしましょう。ウェブデザイン技能検定のウェブサイトでは過去3回分の問題を公開しています。それを見てみるとわかると思いますが、デザイン、HTMLのみの知識ではなく、JavascriptやPHP、通信方式、ログ分析からセキュリティに関することまで、幅広い知識が要求されます。
○✕問題が15問、選択式問題が25問の計40問の出題で、100点満点中70点以上が必要になります。過去問題で傾向が把握できれば、その周辺の知識を勉強しておくだけで、それほど難しくはないと思います。普段Web制作を仕事としている方なら、難なく解ける問題が多いでしょう。心配な方は、問題集も出ていますので、そちらで勉強してみてください。また、過去問題にはない、最新技術の問題も出るかもしれませんので、普段から最新のトレンドや技術動向は抑えておきましょう。

実技

こちらも過去問題が公開されていますが、問題が5つで、5つ目のみ選択式になっており、a/bどちらか選択しての回答になります。
実際にPCを使って、Adobe DreamweaverやPhotoshop等のアプリを使っての制作になり、簡単な画像制作のうえ、HTMLコーディングからJavaScriptの応用まで出題されます。特にコーディングに関しては、Dreamweaverを使用します(今後の試験でいつまで使用されるかは不明)ので、慣れておいた方が良いでしょう。今ではDreamweaverを使っている人はあまりいないと思いますが、慣れておかないと、時間が全く足りなくなるでしょう。
実技も学科と同じ100点満点中70点以上が必要になりますが、「各作業項目において配点の60%以上の得点を得ること」となっており、各問題のどれか1つでも正解率が6割未満だと不合格になります。完全に制作しきれなくて、途中段階のものがどこまで加点されるのか不透明な部分はありますが、制作物(解答)が完成しきれなければほぼ6割の正解率には満たないと思われます。

ということで、試験対策のキモは時間の使い方。実技は時間との戦いです。制作物(解答)にクオリティは求められないので、丁寧に制作していては時間が足りません。とにかく早く問題をクリアすることが大切です。なので、試験前に必ず、実際に時間を計りながら、過去問題を解く練習をしましょう。なるべく考えこまずに早くできる練習をすることが重要です。

まとめ

若手Webディレクターで、今後どんどん経験を積んでいこうと考えているなら、今後のキャリアアップに向けて、「ウェブデザイン技能検定2級」は、ぜひチャレンジしていただきたい検定です。過去問題を解く練習さえしておけば、それほどハードルの高い検定ではありません。1級取得を目指すなら必須ですし、今の自分の技量を見極めるうえでも最適な資格だと思います。

執筆者:河合 職種:Webディレクター