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経験の浅いWebディレクターがサイト運用を問題なく回せるようになるための3STEP

本記事は  Designers Week 2022春  6日目の記事です。
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はじめまして、NRIネットコムの槙田と申します。 新卒で入社し、今年で5年目となりました。

主にはサイト運用のディレクターやコーダーを担当してきたのですが、今回はその経験から、サイト運用における基本的な心得を記していこうと思います。

私自身、何もわからない状態から始めて実感したことをもとに書いていくので、これからWebディレクターやコーダーとしてサイト運用に関わる方や、まだ経験の浅い方の参考になればよいなと思います。

そもそもサイト運用では何をしているか

サイトの運用では、依頼主(サイトの持ち主であるお客さまや、社内サイトであれば各部署など)から更新依頼を受け、随時その内容を反映していく作業を行います。 基本的に、数日〜数週間といった短いスパンで対応するものが多く、複数の依頼を並行して対応したり、場合によっては複数サイトの運用を同時に担当したりすることもあります。

例えば、新しくサイトを作成する、既存のサイトをリニューアルするなどの数か月〜年単位で動くプロジェクトでは、事前にスケジュールや方向性の計画をしっかり立ててから取り組むことになりますが、それと比べてサイト運用では短いスパンで臨機応変に対応していくことが求められます。

サイト運用を問題なく回すために大事なこと

臨機応変に対応する、というのは、ある程度の経験があってこそ安定性をもつものです。

これからサイト運用にあたって大事なポイントを3つのステップに分けて紹介しますが、それらは知ったから、理解したからといって、一朝一夕で実際の業務に反映できるものではありません。 考えずとも自然とできるようになるよう、日々気を付けながら、地道に経験をつんでいかなければならないものです。 しかし、その中で少しでも効率的に、運用担当者としてのスキルが向上できるよう念頭に置いてもらえれば幸いです。

STEP1:優先度を踏まえてタスクを管理する

あらゆる仕事の基本ではあるのですが、特にサイト運用では粒度の細かい依頼が重なることが多く、急ぎ対応も発生しがちなため、依頼主の希望通りサイトへ反映するにはタスクやスケジュールをしっかり管理することが重要です。 また、スケジュールを立てるだけではなく、不測の事態にも対応できるよう、予防線を張ることも大事です。 このSTEP1に関しては、2つの項目に分けて、気にすべきポイントを記していきます。

優先度の設定とスケジュール計画

複数タスクがあった際に、サイトでの公開期日が近いものはもちろん優先させるべきなのですが、関係者の動きも踏まえて優先度を決められるようになりましょう。 関係者には、同じチームで動いているメンバーや、依頼主、依頼主の先にいる確認者などが考えられますが、それぞれがいつでも対応ができる訳ではありません。 複数の関係者の都合の悪いタイミング(別の急ぎタスクで対応できない、休暇、打合せで不在など)が重なり、余裕をもって対応したはずがどんどん遅延していき気づけば公開期日直前……なんてこともあり得ます。

しかし、それを理解していても、経験の浅い段階では難しい場面もあるかと思います。 複数タスクを抱えたり、急ぎの更新依頼が重なったりした際に、瞬時に各関係者の状況を踏まえた優先度設定ができるかと言うと、なかなか難しいのではないでしょうか。(ある程度の経験を重ねたとしても悩むところです。)

ただ、この点を落としてしまうと、必要な期日に必要な情報を公開できない、といったサイト運用における最悪のパターンに陥りかねないため、常に意識してスキル向上に努めるようにしたいところです。

スケジュール遅延のリカバリー

更新原稿の連携が遅れる、確認が遅れる、といったことはよくあることです。 数日~数週間という期間であっても、短いスパンで動かなければならないからこそ、各段階(依頼者からの更新内容の連携、サイトへの反映作業、作業内容の確認など)での締め切りを余裕をもって設定し、各人で認識をあわせるようにしましょう。 また、締め切りに間に合わない場合にはすぐに状況を確認することが大事です。 これ以上は間に合わない、という最終のデッドラインを設定し、それまでの間に生じた遅延をいかに回収していくか予防線を張りながらスケジュールを立てられるようになれば、不測の場合にも焦らずに対応することができるようになります。

また、「前回はこれでなんとか間に合ったから」などの安易な考えで締め切りを設定するのはやめましょう。 依頼主からそのように言われた際にも、やむを得ない場合でない限りは簡単に受け入れてしまわずに、責任をもって期日に間に合わせられるスケジュールを提示しましょう。 ギリギリで対応しようとしたものの、不意のトラブルで結果的に間に合わない、なんてことがあれば誰も幸せになりません。

STEP2:サイトの作りを把握し、ルールを踏襲する

各サイトには多かれ少なかれ、情報整理のルールや表記ルール、コーディングルールなど、サイト全体を通した決まりがあります。 これらをマニュアル化することもありますが、細かいものも含めればなかなかの情報量になり、暗黙のルールと化してしまうことも少なくありません。 現実問題、これらをメンバー全員で確実に共有することは難しいため、ひとりひとりがルールに沿うことを意識して臨むことが大事です。

では、ルールに沿わなくなるとどんなデメリットがあるのかというと、例えばコーディングにあたってのルール(命名規則や、要素の入れ子、記述の順番など)を無視して、新たな記述を追加したとしたらどうでしょうか。 この場合、後から別の人間が作業する際に、ルールから外れた場所があると意図を理解するのに時間がかかる他、どのルールにあわせて記述してよいのかわからず、作業効率も下がることとなります。

また、情報の整理ルールを無視してコンテンツを追加した場合には、ユーザーが情報にうまくたどり着けなくなる、情報を効率的に収集できなくなるといった影響が出るでしょう。

サイトの内容は日々更新されていきますが、その中でルールを意識しなくなってしまうと、あっという間に規則性のない雑多な環境ができあがってしまいます。 一度ルールを外れて追加してしまったものを、運用の中で軌道修正する機会は想像以上にありません。 細かい更新作業を繰り返す中で、その都度ルールを気にするのには労力がかかりますが、しっかり念頭に置くようにしたいものです。

STEP3:言われるがままにならない

依頼主は「これを載せたい!」という思いで更新を依頼します。 時には「こんな形で載せたい!」という具体的なイメージを持ってくる場合もあります。

しかし、依頼主が言ったとおりにサイトへ反映するだけでは、サイトを閲覧するユーザーに効果的に情報が伝わらないこともあります。 依頼を受け、どうしたらユーザーにわかりやすいかを踏まえて、適切な掲載方法を提示してこそ初めてWebディレクターを名乗れるようになるのではないでしょうか。

また、STEP2で述べたとおりサイト内には情報の整理ルールがあります。 カテゴリの包含関係や、細かい表記ルールは一見して「ここにルールがある」とは知覚しづらく、依頼主がそれを意識していることはそう多くありません。 しっかりとサイトの構成を理解し、どこに・どのように依頼された情報を掲載したらいいのか、整理をすることが必要です。

右も左もわからずサイト運用に参加し、ましてや経験の浅い状態では、初めからこのように依頼内容の整理をすることは難しいです。 しかし、STEP1・STEP2をしっかり抑えた上で、このSTEP3ができるようになれば、運用の担当者として安心して任せてもらえるようになるのではないでしょうか。

サイト運用を問題なく回せるようになったその次は

ひとりで不安なくサイト運用を担当できるようになった頃、ちょうど昨年くらいの私が感じていた課題についても記しておきます。これも誰かの参考になれば幸いです。

情報の分散・タスクの分担を意識する

1サイトあたりの細かいルールや、細かい更新の積み重ねの知識は、担当者の記憶頼みになることが往々にしてあるかと思います。 しかし、いつまでも同じ人間が担当するとは限りません。チームメンバーの変更は不定期に起こるものですが、それは一緒に対応しているメンバーのこともあれば、自分のこともあるのです。

STEP2で述べたようなサイト内のルールは、若手に限らず、参加してすぐに把握することは容易ではありません。 マニュアル化は有効な引き継ぎ手段ですが、日々更新を重ねる中で、最新の情報を全て記載するのもなかなか難しいでしょう。

それに対してできることは、シンプルではありますが、なるべく情報を共有することです。 ある程度は記憶頼みになっても仕方がないし、スピーディーに情報を記録するには、複数人で覚えておくことも有効だと思うのです。 どうしても依頼主と直接やり取りをしたり、作業者のとりまとめをしたりするディレクターに情報が集約されてしまいがちですが、情報はメンバーで共有して、ディレクターに集約されるのは意思決定権のみであることが理想ではないでしょうか。

また、全量を把握しているディレクターがやってしまったほうが早い、ということもありますが、流動的に担当を変えられるタスクは多いに越したことはありません。 自分が一人前にタスクを処理できるようになったら、次は任せることを覚えていきましょう。

最後に

サイト運用では臨機応変な対応が必要、と最初の方で書きましたが、つまりはその場その場の状況で波にもまれるがごとく溺れないように乗り切る場面も多いということです。 自分にあったペースで、ともいかないことが多いわけですが、その中でもオンオフの切り替えを意識して自分自身にも余裕を持つことができれば、うまく行くようになることもたくさんあります。

とはいえ、ここまで書いてきた中で、下手すればそれが一番難しいかもしれないのですが。一緒に頑張りましょう。