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多言語サイトの制作・マーケティングのポイント

本記事は  Design Week 2023  最終日の記事です。
🌈  8日目  ▶▶ 本記事

はじめまして、Webディレクターの澁谷と申します。多言語サイト制作に取り組んだ経験を踏まえ、多言語サイト制作のポイントや多言語Webマーケティングの方法を皆さんに紹介したいと思います。

【多言語サイトの必要性】

多言語サイトを制作することは、グローバルに展開する企業だけでなく、特定の国や地域で事業を強化する企業や個人にとっても、新たな市場を開拓する良い機会となります。
多言語サイトの制作には様々なポイントがあります。本記事では、多言語サイト制作のポイントと多言語Webマーケティングの方法を紹介します。

【フェーズ1:多言語サイトの制作】

多言語サイトを制作するにあたり、以下のポイントに注意する必要があります。

・ドメイン選定

多言語展開を進める場合、「対象国の国別ドメイン(.usなど)」または「汎用ドメイン(.comなど)」の2つのパターンが有効です。
どちらのパターンでも問題ありませんが、対象国が多い場合は、国別ドメインで実施すると、対象国の数だけドメインを取得する必要があり、ドメイン取得費や維持費が多くかかります。
また、CMSなどを使用している場合、1つのCMSで複数の多言語サイトを管理できることが理想ですが、複数のドメインを使用する場合は、ドメイン数だけCMSが必要になる場合があります(※CMSの仕様によります)。
このため、管理や費用の点から見て、可能であれば汎用ドメインで実施することをお勧めします。

サブディレクトリやサブドメインを利用し、既存の日本の国別ドメイン(.jp)サイトを拡張したいというケースも考えられますが、こちらも現地でのSEOが弱くなるため、海外向けのSEO対策としてはあまりお勧めできません。

△現地でのSEOが弱い(日本以外でのSEOが弱い)

対象国 サブディレクトリ方式 サブドメイン方式
ドイツ www.example.co.jp/de/ de.example.co.jp
シンガポール www.example.co.jp/sg/ sg.example.co.jp

◎現地でのSEOが強い

対象国 サブディレクトリ方式 サブドメイン方式
ドイツ www.example.com/de/ de.example.com
シンガポール www.example.com/sg/ sg.example.com

上記のように、汎用ドメインを使用し、サブディレクトリやサブドメインでサイトを言語別に分けることが理想的です。

・コンテンツ制作

コンテンツの制作は、ネイティブな方に翻訳をお願いしましょう。自動翻訳した記事をそのまま公開すると、読者が見にくいだけではなく、Googleからの評価が低くなると言われているため、SEO対策としては有効ではないと考えられています。

【フェーズ2:多言語サイトマーケティング】

制作した多言語サイトを海外展開をする際には、多言語Webマーケティングが重要となります。その中でも、SEO対策は欠かせません。今回は、海外SEO対策の具体的な手法について解説します。

・海外SEO対策①:多言語コンテンツの拡充

まずは、多言語コンテンツの拡充が必要です。ボリュームと内容の充実が求められます。ページ数を増やしていきながら、画像や動画も使用しましょう。

・海外SEO対策②:hreflang属性の設定

hreflang属性は、Webページがどの国の言語向けに作られているのかを示すために使われます。ターゲット地域におけるページランキングを向上させるための、多言語サイトSEO対策として重要です。 検索エンジンから特定地域での評価を受けるには、hreflang属性を使い、どの地域・どの言語をターゲットとしたページなのかを明確にする必要があります。
また、hreflang="x-default"というリンクタグも1つ記述する必要があります。
hreflang="x-default"は、どの言語・地域にもマッチしないターゲットのことを指します。
例えば、上記のタグ設定の場合、フランス語ユーザーがGoogle検索すると、x-defaultで指定された英語ページ(https://www.example.com/en/)が表示されます。

・海外SEO対策③:検索エンジンへのインデックス登録

海外展開をする場合、Google以外の検索エンジンを利用しているユーザーも多くいます。そのため、海外展開を行う国で利用されている主要な検索エンジンにインデックス登録を行うことも重要です。
例えば、中国ではGoogleではなくBaiduが検索エンジンシェアの81%を占めています。また、韓国ではNaverが検索エンジンシェアの17%を占めています。これらの国で展開する場合は、それぞれの検索エンジンにインデックス登録を行うことが必要です。
また、ChatGPTの導入により利用者が増えているBingブラウザの今後のシェアにも注視し、対策を検討する必要があります。

【フェーズ3:多言語サイトの効果検証】

SEO対策を行った後には、その効果を検証することが大切です。Google Search Consoleを利用すると、メニュー「検索結果」から、効果を検証したい国で絞り込み、各キーワードの表示回数や掲載順位を調査することができます。 SearchConsole ターゲットとしているキーワードの掲載順位が低い場合は、それらのキーワードをtitleに入れるなどのSEO対策を進めてもらえればと思います。

【おわりに】

ここまで紹介した内容を参考に、適切な方法を組み合わせ、多言語サイトを効果的に制作・運用し、グローバルな市場へのアプローチに役立ててもらえれば嬉しいです。