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なぜ非デザイナーの新入社員に、デザインの基礎を教える必要があるのか?

本記事は  インストラクターウィーク  8日目の記事です。
👩‍🏫  7日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  9日目  👨‍🏫

こんにちは、馬場です。
私はデザイナーとして約5年ほど働いてきましたが、今年初めて新入社員のインストラクターを担当し、さらに部内新人研修の一環としてデザインの基礎を教える講師も務めることになりました。

新入社員は、将来的にWebディレクターやマークアップエンジニアとして活躍していく予定です。
それにもかかわらず、なぜデザイナーではない新入社員にデザインの基礎を教える必要があるのか?そして、実際にどのような内容を教えたのか?
この記事でその理由とプロセスをご紹介したいと思います!

デザインの基礎を教える背景

「将来デザイナーにならないのであれば、デザインについて教える必要はないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
もちろん、デザイナーと同じレベルのデザインスキルを身につけてもらおうという意図は全くなく、業務に必要な「デザインを見る目」を養ってもらうことが主な目的です。
「デザインを見る目」を持つことで、完成されたデザインをただ受け取るだけではなく、そのデザインの意図や構造、良し悪しを判断できるようになります。これにより、デザインに関するフィードバックが的確になり、チーム全体のクオリティが向上します。

また、デザイナー以外の職種においても、デザインの基礎知識を持つことは重要です。
自分の職種以外の業務内容をある程度理解していれば、チーム内でのコミュニケーションがスムーズに進みます。例えば、デザイナーがどんな仕事をしているのか、どんなプロセスで成果物が生まれるのかを知ることで、依頼や調整が円滑に行えるようになります。
こうした背景から、「デザイナーの業務を知る」ことも今回の研修の大きな目的の一つでした。

Webディレクターやマークアップエンジニアにも役立つスキル

デザインの基礎知識が、なぜWebディレクターやマークアップエンジニアにも役立つのか詳しく説明しますね。

Webディレクターの場合

例えば、Webディレクターはクライアントやデザイナーとの橋渡し役を担うため、デザインの意図や構造を理解していなければ、的確な指示を出したり、クライアントの要望を正確に伝えることが難しくなります。デザインの基礎を知っていれば、クライアントが何を求めているのか、デザイナーにどのように指示すべきかを的確に判断できるようになります。

マークアップエンジニアの場合

デザインカンプを元にコーディングを行う際、フォントサイズや余白、配色など、細かなデザイン要素を正確に再現する必要があります。
デザインの基礎が身についていれば、デザイナーとのコミュニケーションが円滑になり、より正確に意図を汲み取ることができます。

日常業務にも応用できるスキル

デザインの基礎を学ぶことで、日常業務にも応用が利くスキルが身につきます。
例えば、資料を作成する際に色使いやフォント選びを適切に行うことで、視覚的に伝わりやすいドキュメントを作ることができます。また、細部に注意を払う習慣が身につくため、仕事全体の質を向上させることにもつながります。

このように、デザインの基礎を学ぶことは、デザイナー以外の職種においても多くのメリットをもたらします。
今回の研修を通じて、これらを新入社員に実感してもらいたいと考えました。

デザイン研修で何を教えたか

デザインの基礎知識を身につけてもらい業務内容への理解を深めるために、段階を踏んで以下の3つに取り組んでもらいました。

1. デザインの4つの基本原則と色の基礎を学ぶ講義

デザインの基本を理解するために、まずは「デザインの4つの基本原則(近接、整列、反復、対比)」について講義を行いました。

また、色の持つ心理的効果や、適切な配色の選び方についても学んでもらいました。
これらの原則や色の話はデザインを構成する上での土台となります。

2. デザインツール(Figma)に慣れるための学習

次にUdemyを活用して、Figmaの基本操作を学んでもらいました。 私たちのチームは基本Figmaを使ってデザインやワイヤーフレーム、プレゼン資料等も作成するため、今後の実業務のためにもガンガン触って慣れることが重要です。

この研修では、ツールの使い方を学ぶだけでなく、実際に操作しながらデザインを「作る」経験を積むことで、デザインのプロセスを体感してもらいました。

3. 実践課題:LPデザインの作成

最後に、学んだ知識やスキルを活かして、実際にランディングページ(LP)のデザインを作成してもらいました。

特に意識してもらったのは、「情報の優先順位を整理すること」と「講義で学んだことを実践すること」です。この課題を通じて、デザインの基本原則や色選びを実践に落とし込み、デザイナー視点での思考プロセスを体験してもらいました。

また、デザインの参考サイトを見て、世の中のLPがどんなふうにデザインされているのかを自分たちで調査してもらったりもしました。要件に合い、かつ素敵な参考サイトを探してくることも重要なスキルです。


初めは、未経験者にいきなりLPデザインを作ってもらうのは難易度が高そうでかなり心配でしたが、実際に新入社員たちの作ってきた成果物を見てみるとクオリティの高さに驚きました!

講義やUdemyで学んだことを十分に理解し、活かせてもらえたんだなと実感して嬉しくなりました。

新入社員へデザインの基礎を教えることの重要性

非デザイナーであっても、日々の業務でデザイン的なスキルが求められる場面は少なくありません。

例えば、私がインストラクターを担当している新入社員のTさんはプレゼン資料の見せ方が回数を重ねるごとに上達し、デザイン的にも綺麗にまとまっていて見やすい資料を作ることができるようになりました。

また、コーディング業務ではデザインの細部まで見逃さず、クオリティの高いページを作成し先輩社員から褒められていました!

今回の研修を通じて新入社員がデザインの基礎を学び、それを実際の業務に活かせるようになったことは大きな成果です。

デザインは、デザインを作ること以外でも役に立つということを実感してもらえたなら、今回の研修は成功かなと思います。

これからも新入社員たちが今回の研修で得た知識を土台に、さらに幅広いデザインの知識やスキルを身につけて成長していく姿を見るのが楽しみです。私自身も、成長を陰ながら見守り、必要に応じてサポートを続けていきたいと思います!

ちなみに、新入社員Tさんがデザイン研修についてまとめたブログを書いてくれています!

ぜひ皆さんチェックしてみてください⭐️ tech.nri-net.com

執筆者馬場七海/Nanami Baba

Web・UI/UXデザイナー。いつの間にか6年目。