NRIネットコム Blog

NRIネットコム社員が様々な視点で、日々の気づきやナレッジを発信するメディアです

BtoBにおける業界ごとの仕事観の違い

本記事は  BtoBウィーク  3日目の記事です。
🏢  2日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  4日目  🏢

初めに

皆さんこんにちは。アプリ開発担当の芳賀です。

今回は、BtoBビジネスでのお客様による違いという観点から、IT業界のお仕事の特性を分解してみたいと思います。IT業界への就職を考えている方の企業選びの参考になれば幸いです。

背景

私は2022年の9月に転職でNRIネットコムに入社しました。前職も同じくSIerで、地方自治体・財団法人・行政法人といったいわゆる公的機関に近いお客様に向けたシステム構築が主でした。現在は一般企業向けのシステム構築を担当しています。私は二社を経験して、エンドユーザー様によってかなりシステムの構築方針や、採用する技術に差があることを感じていました。今回はその観点から、「公共系のお客様と一般企業系のお客様でどんな違いがあるか」ということについてまとめてみたいと思います。

違い① お仕事のきっかけ(入札 VS お客様からの声掛け)

一番大きな違いは、お仕事をいただくきっかけだと思います。公共系の場合、一定規模以上のシステム構築業務になると、公募して入札を通すことが一般的です(最初の段階では今のシステムの担当会社さんに声がかかる場合も多いですが、公平を期すために必ず入札は行われます)。逆に一般企業の場合、お客様がお付き合いのある会社さんに声をかけられたり、お客様がシステム会社を調べて問い合わせをいただくなど、お客様きっかけでお仕事になる場合が多くなります。

違い② お仕事の範囲(設計から VS 要件から)

ここではお仕事をいただいた後、どの段階から対応が始まるか、という観点での違いです。公共系の場合は、要件定義(お客様の要望をまとめる工程)と設計開発(実際にシステムを作る工程)は別の会社になることが多いです。逆に一般企業の場合、システムの構築業務においては一社がすべてを担当することが多いです。

違い③ 採用技術(安定感 VS 自由な選択)

公共系の場合、お客様の性質上止まってしまうと社会的に影響が大きいシステムが多く、扱う情報も機微なものが含まれることが多いです。そのため、要件定義書の段階で、システムで使用する製品に制限がかけられることが多くなります(例:商用サポートが受けられること、採用する製品に同規模のシステムに対する十分な数の導入実績があること、開発が継続していて利用期間中はセキュリティが担保されること、など)。逆に一般企業の場合、採用する製品に制限はないことが多く、比較的自由に採用する製品を決められます。

前職で使っていた技術と、現職で使っている技術の一例を簡単にご紹介します。

  • DB
    • 前職:Oracle Enterprise EditionやEDB Postgres(PostgreSQLのOracle互換製品)などの商用製品が中心
    • 現職:MySQLベースのAmazon Auroraなどのオープンソース製品も採用可能
  • インフラ
    • 前職:VMwareなどのサーバー仮想化が中心
    • 現職:Dockerなどのコンテナが中心
  • OS
    • 前職:Red Hat Enterprise Linuxなどの商用OSを採用することが多い(まれにWindows Serverのことも)
    • 現職:コンテナのベースとしてAlpine Linuxなどの軽量Linuxを採用することが多い

違い④ 仕事の進め方(ウォーターフォール VS アジャイル)

公共系の場合、要件は決まったらなかなか変わらないことが多い(例えば法律が変わらなければシステムの処理に変更がないような場合)ので、決まった要件に対して計画をして段階ごとに作りきっていくウォーターフォール開発という手法をとることが多いです。逆に一般企業で最終的なユーザーが一般消費者になるようなECサイトなどの場合は、まずある程度作って反応を見て改修していく、といった形ができるアジャイル開発という手法をとることもあります。もちろん給与の計算システムなど、要件が複雑でそうそう変わらないようなものの場合(いわゆる基幹システム)は、公共系同様ウォーターフォール開発になることも多いです。

業界ごとに向いている人・いない人

上記を踏まえて、それぞれのお客様の構築担当に向いている人について考えてみました。あくまで一例ですが、後者に当てはまる方はぜひネットコムにおいでくださいw

  • 公共系向けシステム構築に向いている人
    • 決まった手順で決まった業務をこなすことが好き
    • 実績のある技術をベースに安定感のあるシステムを作ってみたい
    • 社会的に影響度の高いシステム構築に携わりたい
  • 一般企業向けシステム構築に向いている人
    • 常に変化に対応して新しい挑戦をしたい
    • 新しい技術をどんどん使ってシステムを作ってみたい
    • システムのユーザーからのフィードバックを受けながらお客様に近い位置でシステム構築に携わりたい

終わりに

今回はお客様毎のシステム構築の違いから、どんな人がどの業界のシステム構築に向いているか?について考えてみました。IT業界も千差万別で、会社によって得意なお客様が偏っていることも多いです。会社選びの際には、自分がどんな形でシステムを作ってみたいのか?やる気の出る源は技術面の挑戦なのか社会貢献なのか?といったことを一つの軸に、その会社の得意業界とあっているかな?と考えてみるといいかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました!

執筆者:芳賀雄介
バックエンドエンジニア。Java使い。ステップアップのためデザインパターンなど勉強中。