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Webサイト制作における、ノーコードツール・ローコードツールの、選び方・出会い方・付き合い方

こんにちは、ディレクターの澁谷です。
主にアプリケーション開発の手法であるノーコード・ローコードですが、Web制作に対応するノーコード・ローコードツールも多く登場しています。
今回はWebサイト制作における、ノーコード・ローコードツールの選び方・出会い方・付き合い方を紹介します。

ノーコードツールとは?ローコードツールとは?

◎ノーコードツール
ノーコード(No Code)とは、アプリケーションなどを開発する際に、まったくソースコードの記述をしなくてもいい開発手法のことです。ノーコードでの開発ができるツールを活用すればソースコードが一切不要なため、プログラミング言語を習得しておらず、ITの知識がない方でもプログラミングが可能です。

◎ローコードツール
ローコード(Low Code)もプログラミングに関する専門知識がほとんどなくても、ソフトウェアを内製できる開発手法です。ローコードでは、ゼロからプログラミングするよりも、ソースコードの記述がずっと少ない量で開発できます。

ノーコード・ローコードツールが、Webサイト制作にもたらす恩恵

ノーコード・ローコードツールにより、Webサイト制作における実装業務の、大幅な効率化が期待できます。
効率化に伴い、
・ブラッシュアップに割ける時間が増え、品質UPにつながったり、
・対応可能な案件数が拡大し、業績UPにつながったり、
という効果が、考えられます。

ノーコード・ローコードツールには、様々なものがあります。
つづいては、上手なノーコード・ローコードツールの選び方を3つの視点から見ていきましょう。

「選び方①」作りやすさ(ツール操作の難易度)から選ぶ

ツールにより、扱うための難易度が異なります。利用者のスキルや、学習コスト等の兼ね合いも、ツールを選ぶ一つの軸になります。

ツール操作の難易度 とても簡単 学習が必要 学習が必要
作り方
=プロンプトの形式
"Text" to Website
(テキスト入力でデザイン制作)
"Original Tool" to Website
(オリジナルツールでデザイン制作)
"Figma" to Website
(Figmaでデザイン制作)
専門知識 不要 オリジナルツールの知識が必要 Figmaの知識が必要
メリット 非常に簡単 デザイン自由度とコード品質のバランスが良い デザインの自由度が高い
デメリット 意図するデザインを実現しづらい ・ノーコード/ローコードツールとセットで提供されているオリジナルのデザインツールを使用するスキルが必要

・提供ツールで実現可能な範囲内でのデザインに限定される
・コンポーネント指定やオートレイアウト指定など、質の高いFigmaデータを作成する必要あり、デザイン制作に工数がかかる

・デザインの自由度が高い分、生成されるコードに不備があるケースや、質の低いコードが生成されるケースがある
ツール例
※ツールのアップデートにより、ポジションが変わる可能性あり
10Web
dora AI
STUDIO
Webflow
QUEST AI
Locofy
Framer

「選び方②」コード編集のしやすさ(カスタマイズ性)から選ぶ。

デザイン細部の調整や、コードのブラッシュアップなど、生成物に対するコードのカスタマイズ性も、ツールを選ぶ一つの軸になります。

コード編集のしやすさ あまりできない
(ノーコードツール)
できる部分も多い
(ローコードツール)
自由にできる
(手作業・ハンドメイド)
相性の良いWebサイト ・コード品質はあまり求められないサイト
・短期間限定のサイト
・ある程度のコード品質が求められるサイト
・長期で運用していくサイト
・高いコード品質が求められるサイト
・長期で運用していくサイト
Webサイト例 ・ランディングページ
・キャンペーンサイト 等
・企業サイト
・サービスサイト 等
・セキュリティレベルの高い企業サイトやサービスサイト 等
コーディングの作業量 まったくなし 多少あり 多い
専門知識 不要 必要な場面もあり 必要
開発の早さ 非常に早い 早い 時間がかかる
開発の自由度
ツール例
※ツールのアップデートにより、ポジションが変わる可能性あり
STUDIO
Webflow
10Web
dora AI
Framer
QUEST AI
Locofy

「選び方③」生成物(コード書き出し)の形式から選ぶ

コードの書き出し形式や、書き出しの可否がツールにより異なります。制作するサイトの実装方針も、ツールを選ぶ一つの軸になります。

生成物(コード書き出し)
の形式
HTML/CSS React コード書き出し不可
(ノーコード・ローコードツール内のプラットフォーム上で表示)
用途 ・静的Webサイト制作
・システム開発に向けたモック制作
Reactでのシステム開発に向けたモック制作 シンプルな要件の静的Webサイト制作
拡張性・カスタマイズ性
ツール例
※ツールのアップデートにより、ポジションが変わる可能性あり
Locofy
Webflow
Locofy
Webflow
QUEST AI
STUDIO
dora AI
Framer

選び方①~③を参考に、用途・目的に合ったノーコード・ローコードツールを探していきましょう。

ノーコード・ローコードツールとの「出会い方」

世界のスタートアップ関係者や投資家が注目しているシリコンバレーで生まれた世界最大のプロダクト投稿サイト「Product Hunt」で、ノーコード・ローコードツールをキャッチアップするのが、おすすめです。

Product Huntの特徴は2つあります。
・毎日、いろんなカテゴリーのプロダクトが数百個以上投稿される
・投票機能があり、投稿されたプロダクトに対する、世界中のユーザーの評価やランキングが見られる

Product Huntには色々なカテゴリーのプロダクトが集まっています。
ノーコード・ローコードツールにおいても、以下のように、様々なものが掲載されています。

◎ノーコードツール
The best website builders in 2024

◎ローコードツール
The best ai coding assistants in 2024
The best automation tools in 2024

ノーコード・ローコードツールとの「付き合い方」

ノーコード・ローコードツールは、人間の仕事を「奪う」ものではなく、「軽減」してくれるものです。
つまり、ノーコード・ローコードツールから生成されたアウトプットを、「ディレクション」「ブラッシュアップ」できるスキルが必要になってきます。
0→1の実装はノーコード・ローコードツールが担い、人間は 1→10の「ディレクション」「ブラッシュアップ」を担うようになると、これまでの「エンジニア」という仕事は、今後「テクニカルディレクター」としての役割が強くなってくるかもしれません。
そのような、ツールとの付き合い方を意識しながら、情報収集やスキル向上をしていくことが大切だと思います。