本記事は
BtoBウィーク
2日目の記事です。
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こんにちは、昨年NRIネットコムにキャリア入社した長辻です。
今回は、 SIer における受託開発の中でも、特にプライム案件のよいと思うところをご紹介してみたいと思います。 就職や転職でプライム案件に携わりたいと考えている方の参考になれば幸いです。
はじめに
私は昨年、転職でNRIネットコムに入社しました。 前職と現職の両方で、 SIer にてアプリケーション開発を担当しています。 様々な案件を経験してきましたが、その中にはプライム案件もあれば、再委託先として参画した案件もあります。 これらの経験を踏まえて、システム開発の受託案件におけるプライム案件のよいと思うところについて、簡単にですが書いてみたいと思います。
プライム案件とは
IT業界、特に SIer において、ユーザー企業から直接受注した案件のことをプライム案件と呼ぶことがあります。
例えば、自社にシステムを導入したいA社が、 SIer であるB社にシステムの開発や導入、保守運用などを委託したとします。 このとき、 SIer であるB社は、委託された業務の一部をC社やD社に外注(再委託)することがあります。 B社においてはこの案件はユーザー企業から直接受注した案件であるため、プライム案件ということになります。 (C社やD社がB社から受注した案件は、準プライム案件などと呼ぶこともあるようです)
なお、ユーザー企業から案件を直接受注したB社のことをプライムベンダー(一次請け企業)と呼びます。 C社やD社は、再委託先(二次請け企業)となります。
プライム案件のよいところ
ここでは、プライム案件のよいと思うところとして以下の3点を挙げたいと思います。
- プロジェクトの運営に関する決定権がある
- ユーザー企業と直接コミュニケーションを取れる可能性が高い
- プロジェクトの計画や進捗管理を担当できる可能性が高い
簡単にではありますが、上から順に補足していきます。
1. プロジェクトの運営に関する決定権がある
1点目は、プロジェクトの運営に関する決定権があることです。
システムの仕様や開発の進め方をユーザー企業と相談しながらどう決めていくか、再委託先の企業に対してどう業務を委託していくかは、プライムベンダーが決める必要があります。 どうプロジェクトを進めていくか、という、プロジェクトの運営に関する事柄はプライムベンダー次第ということになります。
もちろん、再委託の立場で参画していたとしても、プライムベンダーにプロジェクトの運営に関する提案をして、採用してもらうことは可能でしょう。 ただし、当然提案が採用されない可能性はありますし、相手が他社である以上、少なからず心理的な抵抗感もあるでしょう。
プライムベンダーなら、当然自社内で提案の合意を取る必要はあるとは思いますが、他社に提案することと比較すればハードルは低くなるでしょう。 相対的に、裁量権を持ってプロジェクトを進めることができると言えるのではないかと思います。
2. ユーザー企業と直接コミュニケーションを取れる可能性が高い
2点目は、ユーザー企業と直接コミュニケーションを取れる可能性が高いことです。
企業や案件の特性や規模、体制によっても異なるかと思いますが、再委託先の企業はユーザー企業とのコミュニケーションをほとんど行わず、プライムベンダーのみが行うケースもあるかと思います。 (私自身が過去に再委託先として参画した案件では、実際にそのようなケースもありました) そのため再委託での参画の場合、ユーザー企業と直接コミュニケーションする機会がほとんどないケースもあるでしょう。
ですが、プライム案件であればユーザー企業とのコミュニケーションが必要となるでしょう。 (チームの分担によっては担当しない可能性もあるかもしれませんが) ユーザー企業とのコミュニケーションを通して顧客のニーズの理解に努め、それに応えていくことで、信頼関係を築いていく必要があります。
この点は、顧客折衝の経験を積みたい人にとってはメリットとなるかと思います。
(ただし、再委託先の企業がユーザー企業との会議に同席したり、顧客とコミュニケーションを取るケースもあるかと思います。 プライム案件以外だとユーザー企業とのコミュニケーションが一切取れない、というわけではない点を補足しておきます。)
3. プロジェクトの計画や進捗管理を担当できる可能性が高い
3点目は、プロジェクトの計画や進捗管理などを担当できる可能性が高いことです。
計画や進捗管理はプライムベンダーが行い、再委託の企業はプライムベンダーが立てた計画通りに作業を遂行する、というケースもよくあるかと思います。 この場合、再委託先の企業としてはプライムベンダーが立てた計画通りに作業を進めることに注力します。
プライムベンダーは、開発に充てられる要員や開発タスク間の依存関係などを踏まえ、開発の計画を立てる必要があります。 再委託を行う場合であれば、どの再委託先に何をいつまでに委託するかも含めて計画する必要があるでしょう。
プロジェクトの進行中は、計画通りに開発が進んでいるか、常に進捗状況の把握に努める必要があります。 進捗に遅延が発生しそうな場合は、根本原因を特定し解消に努めます。 場合によっては、ユーザー企業とスコープや納期の調整を行います。
この点は、プロジェクト管理の経験を積みたい人にとってはメリットになるでしょう。
(ただし、この点についても、再委託先の企業では計画や進捗管理が不要で、それらを担当することが不可能というわけではないかと思います。 実際、再委託の立場であっても計画や進捗管理が必要となるケースは多くあり、私自身も経験があります。 (特に、請負契約の場合は必要になるかと思います))
プライム案件のよくないところ
以上の点がプライム案件のよいところだと思う一方で、裏を返せばデメリットとなる点を1点挙げておきます。
それは、プログラミングなどの開発業務に充てられる時間やリソースは少なくなる可能性がある、という点です。
プライムベンダーはユーザー企業とのコミュニケーションや、プロジェクトの計画や進捗管理などを担当しながら、プロジェクトを運営していきます。 これらの業務に時間を割くということは、その分だけ開発業務に充てられる時間やリソースは削られることになります。 プライムベンダーとして案件を請ける限り、この制約は避けられないでしょう。
この点は、特に、開発業務に集中し、技術の追求に努めたい、という方にはデメリットとなるかもしれません。
注意点
最後に、プライム案件の特徴という点において、個人的に注意が必要ではないかと思う点を挙げておきます。
1点目に、同じ企業内でも、プライム案件や再委託の案件が混在していることがあるという点です。 そのため、就職や転職での企業選びの際、業種や職種と同じ感覚でプライム案件か再委託かを選べるとは限らないでしょう。
一方で、プライム案件および再委託案件の割合は企業によって異なります。 そのため、どちらか一方の割合が多い企業を選ぶことは可能ではないかと思います。 企業のコーポレートサイトや採用ページに割合が公表されていることも多いので、その情報を参考にするとよいでしょう。
2点目に、プライム案件および再委託案件それぞれで担当する開発工程は、企業によっても案件によっても異なる点を付け加えておきます。 一般的には、要件定義や設計などの上流工程をプライムベンダーが、プログラミングやテストなどの下流工程を再委託先の企業が担当すると言われるかと思います。 もちろん、傾向としてはそのようになっているケースも多いかもしれません。 ですが、再委託であっても要件定義や設計から担当するケースや、プライムベンダーであってもプログラミングやテストも含めて実施するケースはあるかと思います。 (私自身も経験がありますし、参画したプロジェクトでそのようなケースを観測したこともあります。)
そのため、実態としてその企業がどういった業務領域を得意としているか、担当しているか、という点に注目した方がよいかなと思います。 IT企業の求人であれば、必要とされるスキルや人物像に、どの開発工程のスキルを要しているか記載されていることも多いため、そちらを参照するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、自身の経験も踏まえてさまざまな受託案件から見たプライム案件のよいと思うところについて、簡単にですが書いてみました。
先述の通り、担当する開発工程についてはプライム案件であるか再委託の案件であるかによって確定的に決まるわけではないかと思います。 一方で、傾向としてこの記事で挙げたような特徴はあるのではないかと思います。
就職や転職を控えている方でこの記事で挙げた点に魅力を感じる方は、プライム案件を多く扱う企業を検討してみてはいかがでしょうか。