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    X(旧Twitter)でよく見る”あのキャンペーン”を事例とともに解説

    本記事は  【Advent Calendar 2024】  16日目の記事です。
    🌟🎄  15日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  17日目  🎅🎁


    初めまして、 普段デジタルマーケティングの業務やコンサルティングをしております佐々木と申します。

    この度、初めての書籍を執筆いたしました!!

    本の詳細については↓こちらにて記載しておりますので、 ぜひご覧いただけますと幸いです。 tech.nri-net.com

    さて、
    今回はこの「1冊目に読みたい デジタルマーケティングの教科書」でも取り扱っている、Xキャンペーンのひとつであるインスタントウィンキャンペーンについて深堀りしていきたいと思います。

    インスタントウィンキャンペーンとは?

    インスタントウィンキャンペーンとは、ユーザーのフォローやリポストに対してアクションを即時で返すキャンペーンの方式です。
    名前は「初めて聞いた!」という皆様も1度は見たことや参加したことがあるのではないでしょうか?

    ↓のようなポストがまさにインスタントウィンキャンペーンです。

    引用:セブン‐イレブン・ジャパン様 @711SEJ

    https://x.com/711SEJ/status/1677845023814197248

    商品の無料/割引クーポンや、限定の画像をもらえるキャンペーンが多い印象です。

    インスタントウィンキャンペーン 参加フローイメージ図
    インスタントウィンキャンペーン 参加フローイメージ図

    👆上図はあくまで一例です。
    当落の確認はリプライやDMに加えて、Web上で確認するパターンもあります。

    また、キャンペーンに参加する条件を以下のようにすることもできます。

    • フォロー+いいね ※この条件でのキャンペーンはあまりない印象です。
    • フォロー+リプライ
    • フォロー+リポスト
    • フォロー+引用ポスト etc.
      ※フォロー+いいね+リポストなど、複数のアクションを組み合わせた実施も可。
    例:フォロー+リプライ

    引用:イマーシブフォート東京様 @Immersive_Fort

    https://x.com/Immersive_Fort/status/1779796908866974137

    例:フォロー+リポスト

    引用:伊藤ハム株式会社【公式】様 @Itoham_inc

    https://x.com/Itoham_inc/status/1866649104497209555

    例:フォロー+引用ポスト

    引用:ニトリ様 @NitoriOfficial

    https://x.com/NitoriOfficial/status/1840164587208900872

    肌感としては、下にいくほどユーザーの参加ハードルが高くなる印象です。
    それであれば「フォロー+いいね」が参加ハードルが一番低く最も良い参加方法なのか?というと、必ずしもそうとは限りません。


    まずインスタントウィンキャンペーンを実施する目的に立ち返ってみましょう。

    ただ実施するだけではコストだけがかかってしまうインスタントウィンキャンペーンを実施する理由はなんでしょうか?
    なぜ無料でクーポンや限定画像をユーザーへ配るのでしょうか?

    その理由は、そのキャンペーンで達成したい目的があるためです。

    大層なことのように述べましたが、ビジネスでは当然意識するべきことです。
    SNSはプライベートに深く入り込んでいるサービスのため、意識は薄れがちになりますが、ビジネスとしてSNSを運用する場合は目的を常に意識する必要があります。

    多くの企業では以下の目的でSNS運用を実施しています。

    1. フォロワーの獲得(フォロワー数≒自社ファンの数)
    2. 自社商品やキャンペーンを多くのエンドユーザーに届ける(プロモーション)

    そのため、インスタントウィンキャンペーンを実施する場合も上記の目的を達成できる参加条件にすることをオススメします。
    「フォロー+リポスト」であればユーザーのフォロワーへもキャンペーンポストを届けることができるためより効果的ですが、リポストをする=自分のタイムラインにも載ることを意味するためユーザーの心理的ハードルはやや高いです。
    「フォロー+引用ポスト」であれば自分のタイムラインの載せることに加えて、指定のハッシュタグやコメントをユーザーが書く必要があるためさらにハードルは上がりますが、ユーザーに上手くささりキャンペーン参加者が増えるとXのトレンドに掲載され、更なる拡散を狙うこともできます。
    その点、「フォロー+いいね」は参加ハードルはかなり低い一方で、拡散という観点では効果をあまり期待できません。
    このように参加条件によって利点と参加のハードルがあるため、上手く天秤にかけて参加条件を決定するとよいでしょう。

    インスタントウィンキャンペーンの実施方法

    インスタントウィンキャンペーンを実施しようとした場合、Xアカウントだけでは実施できません。 抽選および自動返信部分はサードパーティー製のサービスを利用する必要があります。

    「Belugaキャンペーン」などがオススメです。 www.uniquevision.co.jp

    具体的な実施の流れは、以下の通りです。
    ①企画→②発注→③設定→④テスト→⑤本番 ※システムベンダーにより異なる場合があります。

    ①企画

    企画のフェーズでは、「どんなプロモーションを実施したいのか」をシステムベンダーと話し合いをします。
    このタイミングで、実施期間や景品の配布予定人数をあらかじめ定めておくと話がスムーズに進みます。

    ②発注

    発注のタイミングでキャンペーンに必要な情報をシステムベンダー側に連携をします。

    ここでは注意しなければいけないポイントが大きく2点あります。

    1.キャンペーンポストは自社アカウントで行う必要がある。
    2.「任意のハッシュタグ(+キーワード)」の組み合わせが以前のポストに入っていないか確認をする必要がある。

    発注の際に、予定しているキャンペーンポストの投稿文や画像/動画などのクリエイティブをシステムベンダー側に連携する必要がありますが、これはあくまでシステムベンダー側がどのようなキャンペーンポストを予定しているのかを把握するためだけに利用します。
    そのため、『システムベンダーにキャンペーンポストの内容を連携したからあとは何もやらなくてよい』ということには決してならず、予定しているキャンペーン期間に通常通り自社アカウントで投稿を行う必要があります。

    また、キャンペーンポスト内の「任意のハッシュタグ(+キーワード)」を連携する情報に入れる必要があることにも注意が必要です。
    具体的に説明をすると、インスタントウィンキャンペーンの対象ポストであることを識別するために必要な要素は、「申請した該当アカウントであること」、「任意のハッシュタグが入っていること」、(「任意のキーワードが入っていること」)です、
    ※任意のハッシュタグだけだと一意に定まらないことがあるため、その場合はプラスで別のキーワードを指定することで一意に定めます。

    ここで違和感に気が付くと思います。

    そうです!「期間」が入っていないのです!

    もちろん、「キャンペーン参加条件を満たしたら自動返信が来る期間」は、システムベンダー側に連携をした期間と同一ですが、キャンペーンに該当する投稿であるかどうかを参照する範囲は「該当アカウントのすべての投稿」となります。
    そのため、もし仮に今回のキャンペーン用に設定をした任意のハッシュタグ(+キーワード)が過去の投稿にも入っている場合、キャンペーン期間にその過去の投稿をリポスト等した場合でも自動返信が来てしまうという状況に陥ります。
    意図しない挙動は適切なプロモーションにつながらないだけでなく、ユーザーの「〇〇〇(企業名)まったく関係ないポストをリポストしてもクーポンもらえるぞ!」のような何気ない投稿から炎上のような事態につながる可能性もあるため十分に注意しましょう。

    以下ブラックサンダーさん【公式】様を例に出させていただきますが、
    #ブラックサンダーしっとりガトーショコラ」をキャンペーンハッシュタグとして設定し、
    100名様に豪華賞品が」などをキャンペーンキーワードとして設定し、キャンペーン投稿を一意に定めている(と推測しています。あくまで推測のため参考としてご覧いただけますと幸いです)。

    引用:ブラックサンダーさん【公式】様 @Black_Thunder_

    https://x.com/Black_Thunder_/status/1866679306921095635

    ③設定

    システム側の設定はシステムベンダーが行うため、特段行うことはありません。
    ※クリエイティブの作成など、通常発生するフローは省略しています。

    ④テスト

    システムベンダー側で設定が完了したらテストに移ります。
    テストアカウントにて意図した挙動になっているかを確認します。もし意図しない挙動をした場合はこのタイミングでシステムベンダーへ確認・修正を行います。

    ⑤本番

    キャンペーン開始時間になったら自動返信のシステムが正常に動いているかを必ず確認しましょう。
    また上記の通り、ユーザーの反応が良いとXのトレンドに掲載される可能性があります。 Xのトレンドに掲載されると、普段はリーチできないユーザーまでリーチできるため想定以上の効果を見込める場合もあります。
    そのため、キャンペーン当日はこのトレンドに掲載されているかどうかも随時チェックすることで、適切な効果検証につなげることができます。

    最後に

    インスタントウィンキャンペーンはインパクトがとても強く、正しく利用すれば素早く目的(フォロワー数増加やプロモーション)の達成に導くことができます。
    しかし、実施する場合はそれなりの費用と期間がかかるため、目的を明確にしてからの実施を強くオススメいたします。

    今後もSNS運用やプロモーション、コンサルティングに関する記事を執筆しますので、その際にまたお会いしましょう。

    執筆者 佐々木塁

    Webサイトのコーディングやデザインなどの制作業務から課題発見や解決策の提案を行うコンサルティング業務まで幅広く携わっています。