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技術書執筆の流れ 〜私の場合〜

本記事は  技術書著者Week  2日目の記事です。
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小林です。最近社内に小林さんが増えてきたので、内部では下の名前で「恭平さん」と呼ばれることが多くなりました。
このブログに寄稿する小林さんが他にも増えればうれしいなと思っています。

さて、今回は私の経験に基づく執筆の流れについて書いてみたいと思います。

私は過去4冊技術書を執筆しており、2社の出版社さんから2冊づつ出版させていただきましたが、大体の流れは同じでした。

合わせて読みたい →4冊の詳細はこちら:Amazon.co.jp: 小林 恭平:作品一覧、著者略歴

基本的な流れはこちらです。

  • 出版社さんから企画が来る & 仲間集め
  • 目次を決める
  • 担当割り振り
  • 各自で執筆
  • 割り付け
  • 校正(数回)
  • 発売

※あくまで執筆者側視点です。出版社さん側ではもっといろいろやってると思います。

出版社さんから企画が来る & 仲間集め

ネットコムにおいては出版実績の多い佐々木さんに来ているようです。
基本的に佐々木さんから執筆のオファーが来ますので、本を書きたい人は佐々木さんに文章力があることをアピールしておくことも一つの手となります。
また、佐々木さんが主要メンバーだけピックアップして、選ばれた人がイチオシの若手を追加指名するという方式もありました。

基本的にこの時点で書籍の内容やページ数、出版時期は決まっています。
この内容をもとに必要なメンバー数や執筆に適した人を検討します。

目次を決める

仲間集めと並行して主要メンバーでやってしまうこともあります。
担当の編集者さんが企画の時点で大体決めてくださってたり、1から執筆メンバーで決めたりといろいろパターンはありますが、本の方向性が決まる大事な作業です。

とはいえ、執筆を進めている途中で多少の変更は入ったりします。

担当割り振り

決まった目次に対して、「誰がどのページを書くか」を決めます。
振り分け方は特に決まってないのですが、展開の流れもあるので章ごとや節単位で担当を割り振ることが多いです。

執筆に慣れたメンバーは書くのが速いのでその辺も考慮して分量も調整したりします。

なお、印税は基本的に書いたページ数で割っています。
なのでいっぱい書いたほうが取り分は大きくなります。

各自で執筆

ここからは個人作業です。

本の原稿ってどんな形式?と気になるかと思いますが、実はそのときによってバラバラです。
テキスト(マークダウン)で書いてGitHubで管理したり、ワードやパワポで書いてWebストレージで共有したり。
図も手書きでもOKだったりします。

基本的に編集者さんに文章と図の感じが伝わればよいというのが実際のところで、次の「割り付け」のところで説明しますが、最終的な割り付けは編集者さんやイラストの担当者さんが実施します。

割り付け

ある程度完成原稿ができてきたら、そこから紙面割り付けが行われます。
これは出版社さん側のタスクなので執筆者は正座待機といきたいところですが、実際は執筆真っ最中に裏で進めていただくことが多いので待機してる暇はあまりありません…

ここで図はデザイナーさんたちにきれいに書いてもらえます。執筆者にデザインセンスは求められません。
(わかりやすく図示するセンスは必要ですが)

これが…

こうなります!

校正(数回)

割り付けを経て実際に書籍にするための紙面が電子データで出来上がります。いわゆるDTP(Desktop Publishing)と呼ばれるものです。
これをチェックして、誤字脱字や表現の誤り、デザイナーさんの書いた図のチェックやトンマナチェックを行います。
(トンマナ=トーン&マナーの略で要するに表記ゆれの統一などです。複数人執筆者がいると特に重要です。)

あとはページの過不足の調整もここで行います。
チェック→再度紙面データ作成を2〜3回繰り返して最終の形を作ります。

スケジュールがタイトなことも多いので自分の担当のとこだけ見る人も多いですが、私は他の人の書きっぷり見てみたい派なので全部通しで見るようにしています。
(ここでいやというほど読み返すので、発売後手にした製品版はあまり読まなかったりしますw)

発売

校正の最終版(最終校)のチェックが終わったら後は印刷所に入稿して発売を待つのみです。
ここでようやく正座待機できます。

一応売れてほしい気持ちは大きいので、このタイミングでSNSで宣伝したりしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?執筆に興味は出てきましたか?

なお、執筆は業務外なので平日の夜や土日を使って作業することになります。
自分のプライベートな時間を使って行う活動なので印税というリターンはありますが、割にあう活動かどうかは個人の考えによるかなと思います。
(もちろん印税の額にもよると思います。)

私は本を書くことで、自分の知識をまとめる機会になったり、知らなかったことを調べて書くことで知識の拡充の機会になったりと、普段の生活では得られない機会が得られると思っているので、できるだけ受けるようにしています。

あとは自分の苦労して書いた本が書店に並んでいるのを見るのはうれしいですね。
Amazonのレビューも励みになるのでどんどん書いていただければうれしいです。

執筆者小林恭平

2021/2022 APN ALL AWS Certifications Engineers & AWS Top Engineer
IPA13冠、AWS12冠(どちらも全区分)
大阪で主にインフラのお仕事してます。
技術書もいくつか書いてます。

Twitter:@kobakoba09

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