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    情報処理技術者試験全冠から見出す意味

    本記事は  情報処理試験ウィーク  5日目の記事です。
      ✨📓 4日目  ▶▶ 本記事 📓✨

    小林です。 最近「山田」さんの入社率が高く、「ネットコムの小林シェアは1%以上ある」みたいな自慢(参考)ができなくなってしまったことに気付きました。

    さて、今回は「情報処理試験ウィーク」ということでお声掛けいただきました。

    私は、入社10年目に情報処理技術者試験の高度試験9区分を取得し、こんな記事を書いています。
    また、こちらの冒頭でご報告させていただきましたが、現在は情報処理技術者試験全13区分を持っています。

    そのため、よく「なぜ全部取ろうと思ったんですか?」や「役に立つんですか?」という質問を受けます。
    せっかくなので今回はそれにお答えしようと思います。

    はじめに 〜 Q. なぜ全部取ろうと思ったのですか? 〜

    A. 受験をコンスタントに続けていた当初の理由は「キャラ作り」でした。

    この質問についてはこの記事で過去に書いていたのですが、「キャラ作り」が理由でした。
    幅広い知見を得つつ、「資格」という自分への付加価値を付けるにはぴったりな目標だったのです。

    また、情報処理技術者試験は全部で13の区分があるのですが、ITの提供者/利用者の双方の観点、総合的/専門的な観点と様々な視点での知識を証明することができます。
    これらの全取得というのは「広い知識を持っている」という証明になるので、実用性も高いといえるでしょう。

    • ITの提供者
      • 総合的な知識
        • 基本情報技術者試験
        • 応用情報技術者試験
      • 専門的な知識
        • ITストラテジスト試験
        • システムアーキテクト試験
        • プロジェクトマネージャ試験
        • ネットワークスペシャリスト試験
        • データベーススペシャリスト試験
        • エンベデッドシステムスペシャリスト試験
        • ITサービスマネージャ試験
        • システム監査技術者試験
        • 情報処理安全確保支援士試験
    • ITの利用者
      • ITパスポート試験
      • 情報セキュリティマネジメント試験

    あとは「強制的に学習する機会を作る」という理由もありました。半年に一回必ず受験するという自分ルールを作ったことで、半年に一度は一定期間集中して学習する機会ができました。
    「毎日コンスタントに学習をする時間を作る」ということが苦手だった自分にとって、これぐらいがちょうど良いペースだったのです。

    Q. 役に立つんですか?

    A. 体系的な知識を得るという意味で役に立ちます。

    資格というものは「特定の知識を習得している」ことを証明するためのものです。

    情報処理技術者試験は、情報処理技術における各区分の対象となる分野について、体系的な知識を持っているかを問われます。
    問題文がオンプレミスベースのシステムからクラウドベースに変わるなど、作問された時期によって扱われる技術については移り変わりが見られますが、内容としては「受験の対象者がどう振る舞うべきか」ということが問われるので、単に知識を持っているだけでなく、「その知識をどう使うべきか?」が試されることになります。

    よって、その分野の知識を体系立てて理解しておく必要があり、合格できるレベルに達すれば実用的な力が身についているといえるでしょう。

    また、合格したという事実によって、その分野の有識者として認識してもらえるのもメリットのひとつといえます。

    他には次のようなメリットがあると考えています。

    ベストプラクティスが身につく

    試験対策をするうえでは、多くの過去問に触れることになると思います。先に書いたように「受験の対象者がどう振る舞うべきか」を問われる試験という性質上、解答にはベストプラクティスが示されます。
    つまり、試験対策として過去問に目を通すことは、良質な事例を多数インプットできるということになります。

    あくまでベストプラクティスなので、現実の業務においてジャストフィットする事例ではないことが多いのですが、「本来はこうあるべき」という事例を多数知っておくことで、あるべき姿をベースに物事を考えることができるようになります。

    様々な話題についていける

    私はキャリアの大半をインフラエンジニア/クラウドエンジニアとして過ごしてきましたので、仕事をするうえでは、例えば「エンベデッドシステムスペシャリスト試験の内容が業務で非常に役に立った」ということはありません。
    しかしSIerという性質上、システムの関係者にエンベデッドエンジニアがいるというようなことはあり、エンベデッドシステムの知識があったおかげで業務内でそういった方と会話する際に相手の話が理解できるというようなことはよくありました。

    また、キャリア採用の面接官を担当することもあるのですが、職務経歴をお話しいただく際に理解できる範囲が広いので話を広げやすいというようなことも多いです。

    文章の組み立てがうまくなる

    高度試験の多くは小論文が試験科目に含まれます。2時間の試験時間内に2,000〜4,000字程度の文章を書く必要があり、これを理由に敬遠する人も多い印象です。
    たしかに肉体的(利き手へのダメージ)にも精神的(時間制限)にもつらい時間になるのですが、「短時間で求められたお題についてわかりやすい説明のストーリーを組み立てる」という非常に有用なスキルのトレーニングになります。

    実際の試験は解答用紙に手書きで書く必要があり、かつ時間制限が厳しいので手戻りが発生しないように進める必要があります。

    つまり、下記のことを2時間で終わらせることになります。

    • 問題を読んで設問の意図を理解する。
    • 全体のストーリーを組み立てる。
    • 文章を書き進めつつ、時間と文字数の制限を意識しながら文章を完結させる。

    この科目に合格するレベルであれば、「要点を話すのがうまい」、「わかりやすい文章を書く」といったスキルが身についていることでしょう。

    おわりに 〜 これから受験しようとしている方へ 〜

    ぶっちゃけ、「全区分取得すること」自体に大きな意味はありません。
    取得したあとにその知識をどう活かすのかということが大事だと考えています。

    得られる知識は有用なものだと思いますので、まずは自身の関係する分野から取得を目指すのが良いと思います。
    必要となったり興味が出てくれば他の区分にも手を出していくぐらいで良いかなと。

    ただ、自分の普段触れない分野の知識を持つことで自身の考え方の幅は広がります。また、情報分野という意味では深いところでつながっている知識群なので、少しでも興味があれば普段関係しない分野の試験区分に挑戦してみることは知識の裾野を広げるという観点からおすすめです。

    2026年度より応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験もCBT方式になるらしいですね。
    これまでの固定の試験日よりも受けやすくなると思うので、この記事を見て興味を持たれた方は是非チャレンジしていただきたいなと思います。

    www.ipa.go.jp

    ちなみにネットコムで全区分取得しているのは私だけのようです。高度試験を全制覇した際には会社から表彰してもらえました。
    自分のためだけにやっていた活動なのですが、しっかり評価していただけるということはうれしいですね。

    執筆者小林恭平

    2021-2024 APN ALL AWS Certifications Engineers
    2021-2023 AWS Top Engineer
    IPA13冠、AWS12冠(どちらも全区分)
    大阪で主にインフラのお仕事してます。
    技術書もいくつか書いてます。

    Twitter:@kobakoba09

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