本記事は
ネットワークウィーク
12日目の記事です。
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こんにちは。横田です。 本ブログでは、ネットワークタグを活用してCompute Engineへのアクセス制御を行う方法についてお話します。 想定する読者層は以下の通りです。
- Google Cloudのネットワークに興味がある人
- ネットワークタグを使い始めた人
1. はじめに
使用するサービスは Virtual Private Cloud(以下、VPC) と Compute Engine(以下、VMインスタンス) です。 VMインスタンスへのアクセス制御には、ネットワークタグ制御方式を利用します。この方式を利用することで、特定のタグを持つ VM インスタンス群に対して、ファイアウォールルール(以下、FWルール)を適用することが可能になります。 VMインスタンスが動的 IP を持っている場合、停止・起動によって IP アドレスが変更されることがあります。しかし、ネットワークタグによってアクセス制御を行うことで、FWルールの変更が不要となり、ネットワーク設定の効率化が期待できます。 ネットワークタグとは、VMインスタンスにラベルを付与する仕組みであり、FWルールやルーティングの適用対象を制御するために使用されます。
構成図は以下の通りです。 VPCを作成しファイアウォールルール (AWSでいうセキュリティグループに相当)の設定時にネットワークタグを設定します。 FWルールとVMインスタンスに同じタグを設定し、VMインスタンスの役割やグループに基づいたアクセス制御を実現します。

2 NWタグの設定手順
早速、設定していきます。
2.1 FWルールにネットワークタグを設定
FWルールとVMインスタンスの関連付けを行うために、FWルールにネットワークタグを設定します。 VPCネットワークのコンソールからサイドメニューの「ファイアウォール」をクリックします。

該当のFWルールを選択し、詳細画面から「編集」をクリックします。

「ターゲット」と「ターゲットタグ」を下図のように設定し、「保存」をクリックします。

これでFWルールへのネットワークタグの設定が完了しました。 今回はFWルールとネットワークタグに同じ名前を使用していますが、任意の分かりやすい名前で問題ありません。
2.2 VMインスタンスにネットワークタグを設定
次に、VMインスタンスへネットワークタグを設定します。 Compute Engineのコンソールから該当のVMインスタンスを選択し、「編集」をクリックします。

「ネットワーク タグ」に先ほど作成したタグを入力し、「保存」をクリックします。

これでVMインスタンスへのタグ設定も完了です。
2.3 SSH接続確認方法
今回はコンソール画面からSSH接続を行い動作確認をします。 VMインスタンスのコンソール画面から「SSH」をクリックします。

ログイン時に承認画面が出てくるので「Authorize」をクリックします。 下図の画面が表示されればSSH接続は完了です。

3 アクセス制御確認
ネットワークタグの有無によるアクセス制御の違いを表にまとめました。
| FWルールのタグ | VMのタグ | ネットワークタグによる関連付け | 接続可否 | 補足説明 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | あり | あり | あり(同じタグで関連付け) | 〇 | 同じネットワークタグが設定されているため、FWルールとVMインスタンスが関連付けられ、接続可能。 |
| 2 | あり | なし | なし (関連付け不可) | × | VMインスタンス側にタグがないため、FWルールと関連付けができず、接続不可。 |
| 3 | なし | あり | なし (FWルールなし) | 〇 | FWルールにタグが無いため、FWルールがそのまま適用され、接続可能。 |
| 4 | なし | なし | なし (FWルールなし) | 〇 | タグ設定がなくても、FWルールがそのまま適用され、接続可能。 |
表について少し説明します。 FWルールにタグが付いていない3、4の場合が少しややこしいかもしれません。 構成図に戻ってみると、通信の経路はFWルールを通ってVMインスタンスに到達しています。 この場合、FWルール(タグなし)を通過した後にVMインスタンス(タグあり)に到達しているため、FWルールがそのまま適用されて (FWルールにタグがない状態)、VMインスタンスに到達します。 そのためFWルールにタグが付いていない場合もFWルールの条件(IPレンジやポート)が一致していれば接続が可能になります。
4 まとめ
本ブログではネットワークタグを使用してVMインスタンスへのアクセス制御を行う方法をご紹介しました。 ポイントをまとめると以下になります。
- ネットワークタグを使うことできめ細かなアクセス制御が可能
- FWルールにネットワークタグが設定されていない場合は通常のFWルールが適用される
最後までお読みいただきありがとうございました。