デジタルマーケティングを担当している柿崎です。 NRIネットコムでは、BtoBデジタルマーケティングの黎明期から、デジタルチャネルやMAを活用したマーケティングの構築や運用支援を行ってきました。
コロナ渦の影響を受けて、BtoBデジタルマーケティングの実行意欲が高まっていると感じています。 BtoBデジタルマーケティングのテーマの中でも、特にご要望の声が高い「インサイドセールス」に焦点を当てて、弊社の考え方や事例を5回に渡って投稿します。
今回は、第1回目として、「BtoBデジタルマーケティングにおけるインサイドセールスのスキーム例」をご紹介します。
<章立て>
インサイドセールスの定義(例)
BtoBデジタルマーケティングにおける「インサイドセールス」には、以下のようなイメージがあるかと思います。
- デジタルの世界で獲得したリード(見込客)を、フィールドセールス等の営業チームにトスアップして、成約に繋げること。
- フィールドセールスにトスアップする手前で、カスタマーサービスによる一次アクションや、エスカレーションが入る場合もある。
- デジタル領域では、見込度の高いホットリードを獲得するために、様々なチャネルや活動をインテグレーションする。
- ホットリード創出のために、メールマーケティングやコンテンツマーケティングを通してナーチャリング(リードの育成)を行う。
仮に、インサイドセールスの目的を、見込確度の高いホットリードを獲得、育成し、営業組織にトスアップすることをデジタル領域でのゴールとした場合、ナーチャリング活動が必要になると考えます。
但し、このナーチャリングのスキームにおいては、企業様の商流や、組織構造、運営実行可否等が大きく関わってきます。
企業様の組織構造や商流をプロットした場合、フィットしない点もあるかと思いますが、以下の図は、弊社が同テーマで複数のご支援を行った事例をもとに、本ブログ用に整理した内容です。要点となるポイントを以下に補足します。
補足:活動フロー(仮定義)
1. プロモーション | Webやメール、広告等を用いて、デジタルチャネルに集客や誘導を行い、確度の高いリードを獲得するための活動。 |
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2. コンタクト | 資料ダウンロードやメルマガ登録、お問い合わせ、ウェビナー申込等により、リード情報を獲得する活動。 |
3. カスタマー | 確度の高い見込客に引き上げたリードを、顧客化する活動。見積や契約に係る業務フローが入る。 |
4. リレーション | 顧客との関係性向上を図り、拡販や離脱抑止の活動を行う。あるいは、成約手前で離脱したリードに対するRM活動の実行。 |
補足:活動フロー(仮定義)
A. ナーチャリング |
確度の高いリードを獲得することを目的とした活動 例)
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B. セールス |
営業チームにトスアップして成約確度を上げるための活動 例)
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C. カスタマーサクセス |
顧客情報や、契約状況をもとに、カスタマーサクセスを醸成するための活動 例)
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例えば、新規事業の認知拡大とリード獲得を目的としたスキームの場合は、1.プロモーション、2.コンタクトに力点を置いたコンテンツ設計や集客プランを立てて、A.マーケティングでのナーチャリングに注力した活動を行っています。
また、リード獲得と成約の獲得に焦点を当てた場合は、セールス(営業管理、顧客管理)と契約(契約管理)に係る業務が関わるため、3.カスタマーの工程で、業務が円滑に行えるかの検討が入ります。よくあるパターンとしては、ここでSalesforceなどのSFAやCRMが関係してきます。ただし、MAとSFA/CRMでは、データ保持の方法や内容が異なるため、与件に照らしわせたデータ整備等の検討を要します。
成約後の顧客の稼働強化(サービス利用の活性化等)が活動軸の1つである場合は、C.カスタマーサクセスの活動実現のための設計も手厚くなります。
このように、「インサイドセールス」の目的については、ある程度共通的なテーマがあるものの、設計については単一的でなく、ターゲットとする事業、商材、顧客に対して、自社の商流や組織体制における実現可否性を熟考しながら、マーケティングスキームを設計していきます。
詳細は、次回以降の事例にてご紹介します。
マーケティングスキームに要する環境と役割(例)
次回以降の事例ご紹介にあたり、インサイドセールスのスキームづくりに要する環境例を列挙しています。
チャネル(青枠):
- Webサイトや、その上に載せる様々なコンテンツ
- ウェビナーや広告等の、複数チャネルの併用
Webサイトは既存のCMSを利用する場合や、専用のマーケティングサイトを構築する場合もあります。広告は、ウェビナー実施の際に、ウェビナー集客のために利用されることもあります。既存の法人向け会員サイトを保有している場合は、ログイン機能を持つため、統合は容易ではなく、併存する場合が多くあります。よって、バランスを取ったコンテンツや集客設計を考慮します。また、法人向けのカスタマーセンターがある場合には、顧客向けのFAQやお問い合わせ専用のWebサイトが存在する場合もありますし、問い合わせ管理でリードを連携するのか、どのような環境で行うかの検討も要します。
MA(赤枠):
- 資料ダウンロードフォーム、メルマガ登録フォーム、問い合わせフォーム、申込フォーム
- ランディングページ作成
- メールリスト作成、メールコンテンツ作成、メール配信
- スコアリング設計、設定
MAでは、リード情報を一元管理するために、データを集める地点(各種フォーム)を中心に、その周辺に存在するランディングページや、リード情報取得後のメールマーケティングを、1つのMAのなかで設計、実行する場合が多くあります。リード向けのWebやメール、広告等における行動履歴も一元管理し、スコアリング設計に繋げます。
連携システム(マーケティング)(オレンジ枠):
MAは、リード化した情報については、行動履歴の追跡が可能です。 リード化前のビジター状態の訪問者については、マーケティングサイトの状態把握も兼ねて、Googleアナリティクス(GA)を併用する場合が多いです。 また、外部の企業データをMAに連携することで、リード化有無に限らず、訪問企業を特定し、自社の顧客データにプロットすることで、営業活動に活かす方法もあります。 MAやGA、外部企業データを、分析レポートに反映することで、来訪企業やリードのリスト抽出も可能になります。
連携システム・業務(緑枠):
- SFA(営業管理)や、CRM(顧客管理)
- コールセンター
- 名刺管理
- 見積、契約等の業務
既存顧客に対するアプローチやフォローに力点を置きたい場合や、契約周辺の業務、または、コールセンター連携業務に力点を置きたい場合などは、システム連携の要否や可否を検証しながら設計しています。MAのなかには、MA・CRM・CS(カスタマーサービス)機能をシームレスに持つことができるツールもありますので、与件から検討しています。
いずれも、詳細は、次回以降の事例にてご紹介します。 マーケティングスキームの環境構築では、企業様の与件や、運用体制等を含む実行可能性を踏まえた上で、様々なスキームがあります。 どのような環境構成とし、各々にどのような機能を持たせるか、連携を要する項目はあるかなど、環境と機能に対する意味付けや重み付けを行いながら整理します。
第2回目以降は、いくつかの事例紹介を予定しています。 事例の他に、MAツールの設計や設定に関する注意事項もアップ予定です。
ぜひ、第2回目以降の記事もご覧ください。
第2回目はこちら: BtoBデジタルマーケティング MAで実現するインサイドセールス vol.2(全5回) - NRIネットコムBlog
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