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マネージャーって何をする人なの?

本記事は  マネージャーWeek  2日目の記事です。
🧓  1日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  3日目  👴

 佐々木です。数えてみるとマネージャー歴11年目で、サラリーマン人生の半分近くをマネージャーとして過ごしていることに気が付きました。その中で気がついたことや実践してきたことを言語化してみます。

私の心構え

 マネージャー論を語る前に、まずは自分の心構えの紹介です。 それは、『できるだけ楽をする。楽をするために全力を尽くす』です。

 常に忙しく働くのではなく、楽にできる状況にもっていくことを目指します。もちろん誰かを犠牲にして楽をするというは論外です。それを念頭に、楽にできる仕組みづくりをどうやったらできるのか、日々考えています。

組織とマネージャー

 では具体的な話に入りますが、まずマネージャーの立ち位置です。これは組織や状況ごとに全然違うので、ここでは実務者としてのマネージャー、いわゆるプレイングマネージャーの考え方についてのみ言及します。私個人の結論として、組織の状況によってはプレイングマネジャーは必要で躊躇する必要はないと考えています。しかし、その割合は、徐々に小さくしていくべきだと思います。
 そもそもマネージャーの成果とは何なのでしょうか?プレイヤーの場合は比較的単純で、自分自身が出したアウトプット≒成果とみなしてよいでしょう。マネージャーの場合は、その組織全体のアウトプットの総量が成果となります。そのため、小さな組織であればプレイングマネージャーで、マネージャーもアウトプットを出すことは合理的です。しかし、いつまでもマネージャーのアウトプットに頼り続けるのでは組織として成長できません。組織の中のメンバーを増やし、ひとりひとりのアウトプット量を増やす方が、確実に組織としてのアウトプットの総量を増やせます。

任せるという事~委譲と丸投げとマイクロマネジメント~

 ではメンバーひとりひとりのアウトプット量を増やすには、どうすればよいのでしょうか?それには、任せるということが必ず必要になってきます。初めてマネージャーになった人は、この任せるというのが苦手な人が多いのではないでしょうか。
 任せるということは、自分の持つ権限の一部を委譲するということです。委譲の対義語は、丸投げです。委譲と丸投げは、どう違うのでしょうか?自分のタスクを委譲した場合、実行責任はメンバーに委譲されます。しかし、結果責任は委譲されずマネージャーに残り続けます。そのため、必要があれば実行のサポートが必要となります。結果責任まで渡してしまっている状態が、丸投げです。逆に実行責任の一部を奪ってしまっているのが、マイクロマネジメントです。

 タスクを委譲する際の妨げは、『自分がやった方が早い』症候群です。多くの場合は、それは事実でしょう。しかし、マネージャーの時間は有限で、その組織内には1人もしくは数人しかいないことが常です。それであれば、多少効率が悪くても多数いるメンバーに委譲していきましょう。心構えとしては、自分の50%以下のパフォーマンスでもO.K.と考えていれば気が楽です。
 もう一つの問題は、委譲するタスクの難易度です。メンバーの能力に対して軽めのタスクばかり渡すと、サポート負荷がなく楽なのですが、メンバーの成長につながりにくいです。多少のチャレンジ部分を上乗せして、その部分をサポートするといったことも必要になります。このあたりのバランスには、いつも悩みますね。

例外を対処するのがマネージャー ~カオスと立ち向かえ~

 メンバーへの権限委譲ができて組織が上手くワークするようになったら、マネージャーは何をすればよいのでしょうか。私は、基本的にぼーっとしていれば良いと思いますが、現実的にはそんな暇は生まれてきません。なぜなら、次から次へと想定外の事態が発生するからです。私はこれがJavaのexceptionに近いなぁと思っているので、ここでは『例外』と呼びます。
 組織全体で何十本もタスクが同時に進んでいると、ほぼ必ずといってよいほどに例外が発生します。過去に対処した事項ではないので、マニュアルやルール等の整備がされていません。こういった事項については、多くの場合はマネージャーが判断して対処法を確立していく必要があります。例外からルーティン化の絶え間ない繰り返しですね。
 なお、権限委譲が上手くいっていると、例外の大部分もメンバーが対処してくれるようになります。その段階に行けば、マネージャーは『例外に対処する』ではなく、『例外に事前に対処しておく』などに時間を振り分けられるようになると良いですね。

アウトプットとアウトカム

 メンバーのみんながパフォーマンスよくアウトプットを出しているのに、なぜか利益や成果がでないということがありませんか?「働けどはたらけどなお、わがくらし楽にならざり」の石川啄木状態のことです。その場合は、目指している方向が間違っていないか見直してみましょう。アウトプットはタスクを実施した直接的な出力です。これに対して、アウトカムはアウトプットがもたらした最終的な成果です。どんなに頑張っていても、もともと付加価値が存在しないところに力を尽くしても、大きな利益は得られません。どこを目指すのか考えるのも、マネージャーに期待される役割でしょう。定期的に立ち止まって、俯瞰してみることが大事です。
 ちなみに石川啄木については、働けど・・・と言えるほど勤勉に働いていた訳ではなく、遊び歩いてあちこちに借金するという放蕩生活を送っていたそうです。それであの詩を作れるというのも、なかなか面の皮が厚くて素晴らしいですね。歴史に名前が残る人のメンタルは、我々凡人とは少し違うのでしょう。

まとめ

 柄にもなくマネジメントについての考えをまとめてみました。自分自身、ここに書いたことをいつも実践できている訳ではないです。また現実はもっとカオスです。賽の河原で石積みをしているのではという気持ちになることもしばしばです。それでも、後進のために、道を作っていけるのもマネージャーです。マネージャーになることを忌避せず、自分なりのマネージャー道を歩んでいきましょう。

執筆者佐々木拓郎

Japan APN Ambassador 2019
ワイン飲みながら技術書を書くのが趣味なおじさんです

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