こんにちは、越川です。ネットコムに中途入社して約2年になりました。私は入社してから今に至るまで同じPJに携わっています。
PJ運営の中で最初はプロジェクトメンバーとしてアサインされたのですが、その後、プロジェクトリーダを経て、今はプロジェクトをマネジメントする立場にいます。
各ポジションをやってみて実際に見えた景色や意識しなければいけない点は結構、異なりました。立場が変わったからこそ感じたことや見えたものがあります。今回はそんな各ポジションを経験する中で気付いたことをまとめてみようと思います。
記載するポジションに該当される方は、自分の上司や部下がどんな視点で仕事をしているのかをぜひ参考にしていただければと思います。
各レイヤーの役割や特徴
冒頭にも記載したとおり、僕が経験したプロジェクトメンバー、プロジェクトリーダ(PL)、プロジェクトマネージャ(PM)の3つの役割について、それぞれ特徴を記載していきます。
役割一覧
プロジェクトメンバー
PLやPMから依頼されたタスクを実行します。タスクが具現化されていない場合もあるので、時には自身でタスクを細分化し形に落とし込んでいく必要があります。
開発をしていると想定外のとこで動かなくなったり、意外なところで時間を取られたりと、思うようにいかないことも多々あります。ただし、そんな中でエラーを解決した時や自分が納得できる実装をできた時は何より嬉しいです。
プロジェクトリーダ(PL)
他のプロジェクトメンバの稼働状況を確認しながら上手くいってない場合は自分自身もフォローに入る必要があります。一方で自分自身もタスクを持っているので、他のメンバの様子を見つつ自分自身のタスクも消化するという少し忙しい役回りです。
また、PMへの説明責任もあるため、時にはプロジェクトメンバとPM間での板挟みになる傾向があります。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトの行く先を決める役割を担っているので、時に重要な決断を求められます。また、PJ内で稼働しているあらゆるタスクの状況を大局的に捉え優先順位付けをしていく必要があります。
それ以外にも、クライアントとの交渉や、定例会議の議題設定、社内稟議などやることは結構、多岐に渡ります。
また、案件の性質や規模によってはPM自身がプロジェクトメンバの一員として開発作業などを実施する、いわゆるプレイングマネージャーというポジションも最近は多くなってきました。
PLが存在しないというケースもあるので、その場合は各メンバーのタスクフォローもしつつ、開発作業やコードレビューなども実施することになります。
各役割に対するアプローチ
さて、それぞれの役割の概要をお話したところで、各役割の人にどういった立ち振る舞いをするべきなのかを記載していこうと思います。 これは当時、私がそういう風に接して欲しかったという思いや、今の思いなど色々詰まっております。
プロジェクトメンバーに対するアプローチ
実際に開発をしてみると分かりますが、慣れてきても意外なところでつまずいたり、予期せぬエラーに遭遇することは日常茶飯事です。
ということは、最初に設定したスケジュール通りにいかないことも往々にしてあります。 それを、一方的に詰問するというよりは、その状況に理解を示し打開策を一緒に模索するようなアプローチが重要かなと思います。
思い通りに進まなくて一番、困っているのは何より本人ですから、そこに対して理解を示すことはとても重要です。
そして、打開策を見いだせた暁には一緒に喜んであげることが大事です。
PLに対するアプローチ
先述のとおり、PLとPMが分かれている場合は、PLは板挟みになることが往々にしてあります。ですから、PMの方はそうなる可能性を事前に把握し、PLは常にプロジェクトメンバのフォローを陰で行っていることに一定の理解を示すことが重要です。
その上で必要であればフォローを入れてPLの作業量を調整してあげるのも1つ重要なアプローチです。
またプロジェクトメンバーの方もPLにヘルプを出す時は具体的に何で困っているのか、エラーなどが出ていればより仔細な情報を共有するといった気遣いが重要になります。なぜなら、PLは基本的に他メンバのフォローもしつつ自身のタスクも捌いてるからです。
PMに対するアプローチ
これはPLとも被る内容なんですが、基本的に作業の報告をする場合は、どこまで終わっているのかの全体感とアクションプランをセットで明示することが非常に重要です。
具体的には、全体工程のここまで終わって、次はどんなアクションプランを実施しようとしているのかという報告の仕方が大事です。PMとは言わば工事の現場監督です。現場を管理する上でも各建物の進捗状況が分からなければ、人員を配置することもできません。
PMはタスク管理以外にも顧客折衝や定例の議題整理、人のアサイン、プロジェクトの舵取りなど、やることが多いです。やることが多いということは、その分多くの意思決定を毎日する必要があります。
ジャムの法則という言葉を聞いたことがありますか? 簡単に言うと、検討できる選択肢が増えると、逆に選択することが難しくなるという、人間の行動心理を指します。
報告する立場の人はある程度、自分でアクションプランを落とし込んで、それをPMに報告することで、結果的にPMは限られた選択肢の中で判断ができます。実はそっちの方が判断する側は楽だったりするんですね。
相互理解を深めることの重要性
そもそも、なぜ相互理解が重要なのか? それは各レイヤーが自分の役割だけを機械的にこなしていてはチームとしての結束力が乱れるからです。
現代はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代であり、様々なスキルセットを持った各メンバーが相互扶助の上、チームとして一丸となって対応することが求められます。複雑で不確実な状況に対応するためには、各メンバーが助け合い、チームとして団結することが不可欠です。
相互で理解を深めるには各レイヤーの役割を理解することが重要です。先述のとおり各レイヤーでは求められる役割が異なります。ということは、見ている観点や気にする視点も変わってきます。ですから、重要なのは各役割の特性に対して一定の理解を示すことかなと思います。
個人の能力を発揮することはもちろんですが、チームとして一致団結することがますます重要なテーマとなっています。このような時代においては、「このチームのためなら頑張ろう」「このチームなら達成できる気がする」といった組織効力感が重要になってくると考えています。
視座・視野・視点
では具体的にどのように相互理解を深めていくのか、重要な観点として3つの要素(視座・視野・視点)があります。これらの言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、立場が違うとこの3要素にも違いが出てくることを理解することが重要です。
特に視座については、立場が変わると大きく変わるため、自覚することが大切です。これらの3つの観点を認識し、それぞれの視点を合わせることがコミュニケーションを円滑にする上で重要です。
視座
視座とは、物事を捉える際の立場や高さを指します。これは、どの位置から物事を見ているかということです。
視野
視野とは、物事を捉える範囲や広さを指します。これは、どれだけ広い範囲を見渡せるかということです。
視点
視点とは、物事を見る際の具体的なポイントを指します。どの部分に焦点を当てるかということです。
視座を合わせることの重要性
視座は職位が異なると、最も差が出る箇所です。レイヤーが上がるほど、この視座という物は変わってきます。 建物をイメージしてみると分かり易いのですが、地上と頂上ではそもそも見える景色、つまり特定できる物体の数が異なります。
視座が低い場合は存在そのものを認知できない場合があります。ですから、この視座という物は3要素の中で一番重要な要素になってくると個人的には考えています。 また、役割が違うとこの視座の違いも大きく出てくるので、その分、調整が難しい領域でもあります。
各立場の人が視座をそれぞれの人に合わせられれば理想的ですが、個人的には職位が上の人が視座を合わせに行くことが重要だと考えています。これは私の経験則でもありますが、自分が経験したことのない人の立場や景色を想像するのは非常に難しいです。
例えば、PMの人であれば、基本的にはプロジェクトメンバーやPLの立場を経験しています。したがって、既に経験済みのレイヤーに関しては想像の範疇に入ります。しかし、逆の場合、プロジェクトメンバーがいきなりPMの領域を想像するのは困難です。だからこそ、上位職の人が先ずは視座を合わせに行くことが重要だと思います。
もし、視座を上げて欲しいと思ったら、一番手っ取り早いのは役割を与えることだと思ってます。先述のとおり、役割が変わればミッションも変わってくるので、自動的に視座を上げざるを得ないからです。
視座が変われば見える景色も変わる
さいごに
本屋に行くと様々なマネジメント本が出回っていますよね。それはこの多様性と言われる時代でよりマネジメントというものが複雑化している証拠なのかもしれません。
とはいえ、そういった本を金科玉条のように扱うのではなく、各現場に即した個別解を、各現場が模索していくことが大事なのかなと思います。ここで記載した内容もあくまでそのワンオブゼムであることをご理解いただければ嬉しいです。