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資格に対する勉強のやる気 ~作業興奮と兼好法師~

こんにちは、後藤です。普段、私はAWSを使ったシステムの設計や開発をしております。
先日、AWS認定資格をすべて取得できたので振り返りたいと思います。各試験の難易度や出題内容といった話ではなく、どのように勉強し続けたのかについて書いていきます。
エンジニアの方だけでなく「勉強しないといけないけど、やる気が起きない」と思っている方にも是非読んでいて頂けたら幸いです。

はじめに

私はエンジニアになる前は営業職として働いていました。 今となっては体系的な知識を効率的に抑えることができるので資格取得の意義を感じていますが、エンジニアになりたての頃はそうでもありませんでした。
案件に入るために取らなければいけない状況だったために、しぶしぶ資格の勉強をしていました。

もともと自ら進んで勉強していたわけでもなかった私が、それでも勉強を続けてこれた理由を考えてみました。

なぜ、勉強を続けてこられたのか

それは勉強を続ける「やる気」というものをコントロールできていたからだと思います。当時から「勉強をし始めるのにやる気はほとんど関係ない、やる気がでるのは勉強をし始めてから」と考えてました。「今日はめんどくさいなぁ」といった怠惰な感情だったとしても一切関係なく「今日は5分だけ勉強する。教材読んでたらいつのまにか集中してるでしょ」というスタンスだったので、作業のとっかかりや集中力継続のハードルが下がっていたのだと思います。
気持ちの持ちようかと思っていましたが、調べてみると脳科学的にも実際にそのような仕組みはあるそうです。
脳科学用語では作業興奮と呼びます。自分の部屋の床が少し汚れていて気になって掃除していたら気づけば全体の掃除を始めていた、という経験はありませんでしょうか。あの現象です。
脳にはやる気に大きく関わる側坐核という部位があり、この側坐核は刺激をしないと動き出しません。側坐核に刺激を与えてドーパミンがでてやる気が沸く、という仕組みになっています。
今思えば、理にかなった考え方でした

勉強にやる気がでないと困っている方々、まずは5分勉強してみましょう!

とは言っても・・・

実際に行動に移すのは簡単ではありません。この「とりあえず5分」という最初の一歩がまだ重く感じると思います。この一歩を少しでも軽くできる方法を紹介します。
それは勉強を始めようと思い立った瞬間から開始するまでの時間をなるべく短くするという方法です。私はタブレットに教材や問題集を全てダウンロードしていました。
勉強机に座って、参考書を本棚から引っ張ってきて、パソコンにログインして・・・といった準備時間があると、その間に怠惰な感情が生まれやすいです。
「勉強をし始めるのにやる気はほとんど関係ない」とは言いつつも、怠惰な感情はない方が良いです。 タブレットに教材をすべて入れておけば、これらの工程はかなり省略でき、考える間もなく勉強を開始できました。

さいごに

やる気を待つのではなく、行動からやる気を引き出すというアプローチ、みなさんも試してみてください。
最近は飲み会の当日になって「やっぱり今日、行くのめんどくさいなぁ、でもドタキャンはしたくないなぁ」とよく思うのですが、とりあえず身支度をすることで作業興奮を利用しています。

おまけ

サブタイトルをおまけで回収することになってしまいましたが、エンジニアになりたての頃に教えて頂いた言葉があり、今でも刺さる言葉があったので紹介しておきます。
鎌倉時代に兼好法師が書いた随筆「徒然草」150段の一部です。現代語訳と原文を載せておきます。

現代語訳
芸能を身につけようとする人が、「下手なうちは、人に見られたら恥だ。人知れず猛特訓して上達してから芸を披露するのが格好良い」などと、よく勘違いしがちだ。こんな事を言う人が芸を身につけた例しは何一つとしてない。 まだ芸が未熟なうちから上手な人に交ざって、恥をかき笑い者になっても苦にすることなく平気でやり過ごして、センスがなくても停滞せず、またいい加減なやり方をしない人は、センスがあって努力をしない人よりも、最終的には上のレベルに達し、権威も備わり、世間にも認められて、並ぶもののない名声を得るのである。

原文
 能のうをつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知しられじ。うちうちよく習ひ得えて、さし出いでたらんこそ、いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ならひ得うることなし。  未いまだ堅固けんごかたほなるより、上手の中なかに交まじりて、毀そしり笑はるゝにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜たしなむ人、天性てんせい、そ骨こつなけれども、道になづまず、濫りにせずして、年を送れば、堪能かんのうの嗜たしなまざるよりは、終つひに上手の位に至り、徳たけ、人に許されて、双ならびなき名を得うる事なり。


成長に必要な「恥を恐れない」「上手な人に混ざる」「努力の継続」について述べられています。 響きますね。もっとアウトプットしていかないとなと思いました。

執筆者: 後藤 涼太
AWSをメインとするクラウドエンジニア
2024 Japan AWS All Certifications Engineers
執筆記事:https://tech.nri-net.com/archive/author/r-goto