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テックブログの立ち上げ前から安定期までに運営チームとして意識したこと

本記事は  技術広報Week  1日目の記事です。
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 こんにちは、佐々木です。今日はブログの運営チームの立場から、テックブログがある程度まで安定軌道になるように、どんな事を考え手をうってきたのかを話したいと思います。そもそも何故、テックブログを立ち上げようとしたかについては、また別の機会とさせてもらいます。

立ち上げ前(3ヶ月前)

 まず初めに、テックブログを始める前に準備したことです。会社として始める訳なので、当然沢山の調整ごとが必要です。この中で意識していたことは、記事を公開するまでの工程で、執筆者の負荷をできるだけ下げるための仕組みを作ることです。ブログの記事を1つ書くのは、殆どの人にとって大変な労力を要します。それに加えて社内の事務的な負荷が加わったとしたら、どうなるでしょうか?大変だったという記憶が残り、おそらく2度とブログを書きたくないと思うはずです。だからこそ、そこをできるだけ吸収するための制度設計や体制の構築に腐心しました。

 具体的にどういったことをしたかというと、有志による運営チームとレビュー体制の構築です。運営チームがレビューをするという体制を敷くことで、いわゆる本社部門・広報部門と執筆者が直接やり取りしないですむ形をとりました。前提として、テックブログなので技術主体の記事になります。それを広報の担当がレビューするのも難しいといった点や、執筆者側から見て会話のプロトコルが同じ現場同士でレビューする方がメリットがあります。一方でコーポレートガバナンスやコンプライアンス的な問題が起きないように、事前に運営チームと本社部門が充分協議して運用ルールをすり合わせていきました。このすり合わせの時に、レビュー・公開の仕組みだけでなく、著作権どうするかや執筆者が退職した場合どうするかなど、多岐に渡る事項の検討もしております。

 今回採用した方策以外にも、そもそもレビューなしで何かあったら事後に対処するという案も検討しました。しかしこれは、結局採用しませんでした。理由としては、レビューがあった方が執筆者側も安心して書けるという意見が多かったというのもあります。また、執筆に不慣れな人も多いので、レビューを通じて文章力の向上も狙っていこうという意図もありました。

開始直前(1ヶ月前~開始)

 次に開始直前です。運営チームが結成され、ブログのプラットフォームも用意しました。いよいよ始めるぞという段階ですることが、開始直後に掲載していく記事集めです。この段階では、広く執筆者を集めるということはしていません。少数の確実に書ける人に声をかけていって、開始の準備を進めました。というのは、この段階で広く募集したとしても、ブログの位置づけのイメージがなく、何をどうやって書いていけばよいか解らないだろうというのは見えていました。なので、この段階で闇雲に募集するより、ブログ記事を何本か出して骨格を作ることを優先しました。

 幸い数々の執筆経験がある小西さんが、AWS認定試験に対しての骨太の記事を何本も用意してくれました。ブログは2021年3月開始だったのですが、これで大丈夫だと確信をすることができました。併せて、AWSのAmbassadorである上野さんと私も1本ずつ出せるように準備していました。記事の内容によりブログのカラーがAWS一色になる懸念はありましたが、まずは強みがある分野で橋頭堡を築いていくことを優先しました。

開始直後(開始~1ヶ月後)

 そして開始直後の1ヶ月の過ごし方です。事前の準備で安定的に記事を出せるようになっていたので、この期間に頑張ったことは世間に対しての周知の徹底です。情報が氾濫している昨今では、残念ながらいい記事を書くだけでは読まれません。必ず世間に対しての周知が必要です。周知については、負荷・コストが最小限で取りうる手段はできるだけ取りました。社内でTwitterやFacebookなどソーシャルアカウントを持っている人にお願いして、NRIネットコムのテックブログを立ち上げたことや記事が投稿されれば、それを周知してもらっています。また外部の技術コミュニティに所属しているメンバーには、その中でも周知をお願いしました。

こんな感じです

 おそらく企業ブログを始める上で一番むずかしいのがこの拡散の部分です。必要があれば、広告にお金を使うのもありだと思います。幸いなことに社内にテックコミュニティである程度SNSの拡散力がある人たちが何人かいたので、このあたりは非常に助かりました。そうでなくても、ハッシュタグなどを有効活用すれば、ある程度は拡散力を底上げできます。また、その道の著名人にアピールしていくといった手も考えられます。そういった地道な施策を積み上げていくことで 、認知の輪を広げていけます。

 これは私自身が見てきた経験なのですが、例えば一生懸命執筆して良い本を書いたとしても、あまり著者自身でアピールしないケースが見受けられます。アピールするにしても、せいぜい執筆したというブログのエントリーの1回だけとかが多いです。私は、これが非常にもったいないと思っています。ブログにしろ書籍の執筆にしろ、それに関する労力に対してアピールする労力を1/100も掛けていないケースが多いです。

 ここを意識して取り組むだけで、世間に認知される確率は大きく違ってきます。何回も宣伝してウザくないか心配する人は多いと思いますが、安心してください。SNSは自分が思っている以上に、他の人のタイムラインに現れてこないものなのです。3〜4回くらい同じ内容を投稿しても全然大丈夫と個人的に思っています。

勝負駆け(2〜3ヶ月目)

 ある程度認知されだしたところで、今度は一気に軌道にのるようにブーストを仕掛けました。ブーストといっても、特殊なことをするのではなく、記事を集中的に投稿することです。私はブログの記事を書く際、2つの事項を意識して書きます。1つはネタとして面白く、SNSでシェアしてもらいやすい記事。もう1つは、検索されやすい内容で長期的なアクセスを稼げるものです。両方を兼ね備えるものもあれば、どちらか一方というものもあります。あるいは、どっちも当てはまらないものも書くこともあります。

 さてブーストについてです。結果を先に共有すると、うまくいきました。月間PV/UU数の推移をみると、時間差はありますが5月に一気に跳ね上がったのが解ると思います。

 自分自身で書いたものとしては、ネタ的な見出しで『AWSのグローバルIPの空間はインターネットなのか?』です。結構昔から暖めていて、いつか書きたいと思っていた内容です。VPCのFAQに関連する事項が追加されたので、出すのであれば今だと思って一気に書き上げました。かなりシェアされてアクセス数も一気に増え、また定期的にブログに訪問してくれる人も伸びだしてきた印象です。

tech.nri-net.com

 もう1つは、このタイミングでWebデザインに関する記事を書いて貰えたのがブログの認知拡大に大きく貢献しました。一緒に仕事をする上で、社内のデザイン部隊の人たちは、ちゃんとした理論を持ってデザインを設計し、説明を聞いていても面白いなと思っていました。それを言語化してもらえれば、人気のコンテンツになると半ば確信していました。5月に2記事ほど投稿されたのですが、今でも検索経由のアクセスが多い人気記事となっています。

tech.nri-net.com

ところで、デザインを設計って、進次郎構文ですかね?

 またAWSのControl Towerというサービスが、ちょうど東京リージョンで使えるようになっていて、リリース直後にその解説記事を書いた上野さんのコンテンツは、今でも検索経由の常連となっています。

tech.nri-net.com

 そんな感じでうまく噛み合って、一気にアクセス数を増やし、SNS上でも話題になることが増えました。2021年の4月5月で21記事が投稿されました。私も、そのうちの10記事投稿しています。当たったのも外れたのもありましたが、全体としては上手くブーストできたかと思います。ここはブーストするまで、自分自身で幾らでも投稿する気持ちで望んでいましたが、想定より早く軌道にのったという印象です。

拡大期(4ヶ月目以降)

 開始3ヶ月である程度軌道にのったものの、ブログに投稿しているのは10人に満たず、投稿数の8割が3人によるものでした。その状態では継続性が無いということは認識していました。そこで次に力を入れたのが裾野の拡大です。社内の一部の人が書くのではなく、普通に誰でも書くという状態に持っていきたいという思いがありました。そのためには、まずは身近な人、例えば部内や同期に書いた人がいるという状態を目指しました。
 施策として最終的に上手くいったのは、月ごとのテーマを決めた特集です。デザインや分析といった技術カット、或いは執筆者やマネージャーといった属性カットで、テーマを決めて1週間ほど連続で毎日別の人に投稿してもらいます。必然的に、テーマに関することを本業としている部署や属性の人に依頼することになります。結果として、執筆者の母数が増え、かつ色々な部署の人に書いてもらえるという状況になりました。

 この時に意識したのは、業務で経験してきていることは非常に高い価値をもっていると伝えることです。執筆を依頼した場合、多くの人は自分の経験など外に出すほどの価値はないといったニュアンスの返事をもらうことがあります。そういった返事をもらった際には、自分が当たり前と思ってやっていることも世の中の他の人にとっては価値があることだよと繰り返し伝えるようにしています。万が一、その記事を必要とする人がいなくても、自分がやったことは未来の自分にとって訳に立つことは間違いないです。明日の自分は別人です。自分がやったことをすっかり忘れて、調べ物でググって自分の記事に行き当たることは、多くの技術系ブロガーが経験していることでしょう。(※ソースはN=1の佐々木の経験だけです。)

まとめ

 そんなこんなをやりながら、ブログ運営も23ヶ月を迎えました。数えてみると、社内で投稿した事のある人は100人近くになっています。NRIネットコムは450人くらいの会社なので、5人に1人は書いた事があるという状態です。またテックブログと銘打っていますが、人事や総務の人なども書いています。もともと下地があったという点と、運に恵まれたところも多々あったとは思いますが、広がりという点ではなかなか上手くいっている部類ではないでしょうか?

 運営チームでわちゃわちゃ議論しながら、テックブログの立ち上げをやってきました。最近ではブログに限らず技術広報という観点で、様々な施策を検討・実施しています。それについても、ある程度形が見えたら順次公開していきたいと思っています。またうちはこうだったよというのがあれば、ぜひ聞いてみたいです。会社の垣根を超えてできることもあるはずなので、もっといろいろやっていきたいものですね。