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クラウドテクニカルセンターが新設され、センター長に就任しました

 こんにちは、佐々木です。プレスリリースが出されましたが、2023年4月1日の組織改正により、NRIネットコムはクラウドテクニカルセンターを新設することになりました。その初代センター長に就任することになり、この機会に趣旨や想いを文章に残してみたいと思います。なおこの文章は、お客様向けのメッセージではなく、クラウド事業や技術に興味がある方々向けのメッセージです。ご理解いただけると幸いです。

クラウドテクニカルセンターのミッション

 まずクラウドテクニカルセンターのミッションについて説明します。組織改正の資料の言葉を借りると、「クラウド領域における情報収集、人材育成、ソリューション企画・開発を行う組織」と定義されています。テクニカルセンターという名前なので技術よりの組織のニューアンスが強いですが、技術研究のみをする組織ではありません。技術とビジネスの両面からクラウド事業の拡大を図る組織です。そのため、組織にはクラウドを得意とする技術系の人材のみならず、様々なバックグランドを持つ人達が集められています。
 例えば、人材育成のために管理部門から人材開発担当が兼任で所属し、ビジネス的な検討と営業への落とし込みをするために全社の営業DXの推進責任者もいます。また、情報発信やブランディングも重要なテーマであり、デザインに精通したうえで広報・マーケティングを担当する人材も所属しています。一般的にいうと、CCoE(Cloud Center of Excellence)の機能と事業企画系の2つの組織を兼ねたものと捉えると近いでしょう。
 それでは、このクラウドテクニカルセンターでは何をするのでしょうか?NRIネットコムは、多様なITソリューションを提供し、顧客ビジネスの拡大に貢献してきました。その中で、近年クラウドが大きな位置を占めるようになっています。クラウドテクニカルセンターでは、クラウド関係のケイパビリティを拡大するためのあらゆる施策を実施していきます。クラウドに関わるソリューション開発はもちろん、それを支える人材の育成・採用も急務です。また素晴らしいソリューションを持っていても、お客様に認知してもらえないと価値は届かないため、広報・マーケティング活動も必要です。それらの活動を行う専任の組織は既に存在しますが、よりスピードを上げるためにハブとなって有機的に連携していくことが重要です。クラウドテクニカルセンターは、そのための組織です。

センター長就任に際しての想い

 私は入社以来、事業部門に所属しお客様と直接向かいあう仕事をしてきました。直近では、クラウド事業推進部という組織の部長として、多くのお客様と一緒にシステム構築・運用のプロジェクトに携わっています。クラウド事業推進部は、組織名の通りクラウドを中心としたソリューションを提供しているのですが、ここ数年はビジネスとしても急拡大して人手不足が顕著になっています。これは他の部署も同様の状況です。
 NRIネットコム内では、クラウドを業務の中心に据えている専門家は30名以上の規模であり、その中にはAWSからAmbassadorやTop Engineerの認定を受けるものや、クラウドに関する専門書を執筆している者も10名ほどいます。また他の案件を兼務しつつ付随的にクラウド関連の業務をしている人間を含めると100名以上です。NRIネットコム全体の社員数は500人程なので、この人数は質量とも誇れるものです。しかし、現状のお客様からの引き合いの多さから考えると、圧倒的に足りないと感じています。そんな状況下での現場の活動として、NRIネットコムの知名度を上げてクラウド人材が集まるような施策を実施してきました。この記事を書いているブログというメディアも、広義にはその1つです。それらの施策は効果が出始めているものの、今回の組織改正はもっと加速せよとの会社からのメッセージと受け止めています。
 クラウドテクニカルセンターは直接収益をあげる組織ではなく、いわゆるコストセンターです。私の今までの役割は、どのように収益をあげるかでした。これからは、コストを使って全社でのクラウド関連のビジネスをどのように早く大きくするかというのがミッションになりました。今までと違った能力を求められるので、慣れるまで大変そうです。また一緒に働く人達も、エンジニア以外の人たちが沢山います。自分には無い技能を持っている人が集まるので、異なるスキルを組み合わせながら共通のゴールを目指すことになります。どういった活動になるか、自分自身でも楽しみです。
 内部的には中長期的な目標設定をいろいろしていますが、直近3年でいうと「クラウドと言えばネットコム」と言われるような存在を目指していきます。そのためにも、個人の力だけではなく組織の力としても成長していくことが大事です。新しい事を始める時は、個人の能力に依存する部分が大きいです。しかし、立ち上がった後は組織として一丸となって、何倍にも加速できるかが勝負です。ここ数年、組織としてどう動くかについて考え続けていましたが、ようやく一つの形として結実しつつあります。

今後の展望

 クラウドテクニカルセンターのミッションと私の想いを伝えた上で、では具体的にどうするのかという話です。事業施策の詳細は公開できないですが、重点的な領域としては次のようなものがあります。

  • AWS領域の更なる強化とプレミアティアパートナーへの到達
  • Google Cloudの事業体制の確立
  • 新技術の研究と情報発信
  • 営業組織の構築
  • 広報・マーケティングの取り組み強化
  • クラウド領域の成長率を加速する

AWS領域の更なる強化とプレミアティアパートナーへの到達

 現在、NRIネットコムが保有するAWS認定資格総数は500個弱です。クラウドプラクティショナーの保有者をAWS人材とすると125名が母数になります。そのうち、プロフェッショナルやスペシャリティなど高度資格を持っているのが40名強で、1/3です。また、全冠と言われるALL Certifications Engineersは、今年は10名を超える見込みです。また同様に10名超のAWS本の執筆経験者もいます。形としては綺麗なピラミッド型になっていることが解ります。となると、必要なのは裾野の拡大です。インフラ領域を専門とする人のうちの多くは既にAWSの技能を持っているため、今後はアプリケーション領域の人間にも広げていき、NRIネットコムが得意とするアプリケーション開発とクラウドの融合を果たしていくことが重要です。もちろん、インフラ領域の人間の採用・育成も引き続き継続していきます。
 その上で、何を目指すか。顧客のビジネスの拡大と共にNRIネットコムの成長というのは大前提です。一方で、従事している社員の達成感のためにも、あるいはお客様にも広く認知してもらうためにも、AWSのプレミアティアパートナーを目指すという時期に来ています。プレミアティアパートナーとは、AWSのパートナー制度の最上位に位置して、日本にも12社しかない狭き門です。親会社である野村総合研究所(NRI)は、日本で最初のプレミアパートナーとなっていますが、NRIネットコムとしても、また少し違った事業ドメインで名乗りを上げたいです。そのためには、人材の育成とケイパビリティの獲得をしっかりと積み上げていきます。

Google Cloudの事業体制の確立

 NRIネットコムは、Google Analyticsのセールスパートナーで、多数の導入実績があります。それに伴い、Google Cloudの活用も活発です。一方で、AWSに比べると、まだまだ人材が足りません。案件をリードするだけでなく、Google Cloudのコミュニティーに参加し、積極的に情報発信を行うことや、蓄積した知見を書籍として発刊するなどの活動も必要になってきます。
 現状では、クラウドエンジニアの範疇でAWSもGoogle Cloudも兼任する形が多いので、Google Cloud専任の人材を増やす必要があります。そのためには、採用・育成を強化するとともに、NRIネットコムが得意としているGoogle Analyticsのデータを基幹系の事業データと組み合わせて、Google Cloudでより深い分析を行ってきた実績をアピールしていこうと思います。そのためにも、Google Cloud事業を牽引する人材の育成と、外部からの招聘を含めた計画をしています。

新技術の研究と情報発信

 新しい技術は常に発生していて、その中には時代を変えるブレイクスルーとなる技術も生まれます。最近では、ChatGPTに代表されるAIも、その一つでしょう。そういった技術を選定し、取捨選択を行うことが重要です。一見すると新しい技術は突然出てきたように思えることもありますが、実際には技術発展の流れの中で生まれてくるものです。また、世の中が過去に生まれた技術が追いついてきて脚光を浴びるといったケースもあります。
 NRIネットコムのコア・コンピタンスの一つは、技術への深い理解です。そういった流れを見定めた上で、技術研究と情報発信に取り組んでいきます。それに加えて、新しい技術を生み出していくことにも挑戦していきます。

営業組織の再構築

 NRIネットコムは、お客様ごとの専用のシステム開発・運用をすることを得意としてきました。そのため、顧客との関係は多数のお客様と付き合うよりも、少数のお客様と深く付き合うという形でした。営業機能もその形態に特化しています。しかし、現在は多くの新規顧客から引き合いを頂くようになっており、それに対応できるように営業組織を拡充していく必要があります。
 営業組織の再構築にあたっては、NRIネットコムが得意とするデータ分析とWebサイトの構築・運営能力を活かした形態を目指します。昨年度から取り組んでいることで、今後さらに加速させていく予定です。加えて、営業やプリセールスなどの人材採用も積極的に勧めていきます。

広報・マーケティングの取り組み強化

 営業と同じ理由で、NRIネットコムでは個別のソリューションに対しての広報・マーケティングは、それほど必要とされませんでした。そのために、クラウドをはじめいくつかの分野では日本有数の技能を持ちながらも、知る人ぞ知るという地位に留まっています。これからは、「この分野はNRIネットコム」と言われるような存在を目指します。その最初の取り組みとして、クラウド領域を対象にします。
 NRIネットコムには、もともと広報やマーケティング戦略に精通した組織があり、長年お客様のWebサイトの改善やマーケティング施策の立案実行を支援してきました。しかし紺屋の白袴ではないですが、自社のソリューションに対してマーケティングのリソースを充てることはしてきませんでした。これからは、NRIネットコムのケイパビリティを広く情報発信していき、社会にもしっかり認知してもらえるような活動に取り組みます。そのことにより、NRIネットコムの中で事業を支える社員にとってのやりがいにもつながり、ますます多くのトップレベルの人材が生まれてくると信じています。

クラウド領域の成長を加速する

 上記の領域の施策を重点的に行い、NRIネットコム全体でのクラウド領域の成長率を上げています。具体的な目標としては、2025年までに現在の2.5倍の規模を目指しています。そのためには、年間40%以上の成長が必要です。実際、現状ではそれ以上の成長率がありますが、規模が大きくなっていることもあり、その成長率をどうやって維持していくかが課題となっています。現場の努力だけに頼らず、クラウドテクニカルセンターと現場が一体となって取り組んでいきます。

まとめ

 少し長くなりましたが、クラウドテクニカルセンターの新設とセンター長就任に伴う所信表明とさせていただきます。文章を書いているうちに自然と採用への言及が多くなってしまっていました。現状でも優秀な人材が揃っていますが、もっともっと沢山の人が必要です。NRIネットコムにはクラウドに関する実績もあり、クラウド人材を育てるメソッドも確立しています。これからもどんどん伸びていく領域ですので、チャレンジングな仕事も沢山あります。興味がありましたら、Twitter経由でも大丈夫なので、ぜひお気軽にお声がけください。NRIネットコムを知りたいという人のために、カジュアル面談も用意しています。

www.nri-net.com

執筆者 佐々木拓郎

Japan AWS Ambassadors 2019-2022
ワイン飲みながら技術書を書くのが趣味なおじさんです

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