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なぜ令和のエンジニアに呆活が必要なのか

本記事は  AWSアワード記念!夏のアドベントカレンダー  10日目の記事です。
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こんにちは、越川です。皆さんは呆活という言葉を聞いたことがありますか?ちなみに、僕はつい最近知りました。今回はこの呆活が現代人、特に我々エンジニアにとって必要ではないか、というテーマで記事を書いてみようと思います。

加速度的に増える情報量

現代人が1日に触れる情報量は、江戸時代と比べると1年分、平安時代にいたっては一生分と言われています。

特にエンジニアにとって、技術の進化は日進月歩であり、新しい技術やツールのキャッチアップは日常茶飯事です。私自身、業務では主にクラウドを利用していますが、オンプレ時代と比較すると情報のアップデートが非常に速く、キャッチアップが大変だなと思う昨今です。世の中のニーズやトレンドは目まぐるしいスピードで変化していきます。

データ分析の世界ではETLという言葉があります。これはデータを抽出(Extract)、変換・加工(Transform)、最終的に書き出す(Load)という作業です。実はこのETL作業は我々人間も意図せずにやってるのではないかと思っています。

というのも、沢山ある日常のあらゆる情報からデータを抽出し、その情報をそのまま伝えるわけではなく、内容の取捨選択など何がしかの加工をしてるかと思います。そして最終的にそれを出力し、誰かに説明をしてるのではないでしょうか。

例えば、何らかのアップデート情報を共有するにしても、その内容をそのままコピー&ペーストするわけではなく、先ずは情報の取捨選択(抽出)をするかと思います。

そして、そこに自分なりの解説や考察を入れるかと思いますが、伝える相手が複数いる場合はその相手に応じて書きっぷりも変わりますよね(変換・加工)。

そして、その情報は各人へと共有されます(書き出し)。

このように、加速度的に増える情報を常に我々はキャッチアップし、効率的に捌くことを求められています。その分、脳への負荷も増えるのではないでしょうか。


物理的な境界がなくなる昨今

ここ数年でIT業界に限らず社会全体でテレワークが普及しました。満員電車に乗る必要もなく自宅から仕事ができるというのは非常に便利になったものです。

しかし、そのトレードオフとして物理的な境界(自宅とオフィス)が曖昧になることで、家にいながらいつでも仕事ができるようになりました。そうなると、仕事とプライベートの境界も徐々に曖昧になり、思わず仕事にのめり込んで長時間働いてしまったり、境界が曖昧になった分、仕事が頭から離れなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

とりわけ、我々エンジニアはパソコンが1台あれば、いつでもどこでも仕事ができてしまいます。その結果、長時間労働やストレスの増加につながることが少なくありません。


エンジニアこそ呆活が必要

そんな令和のエンジニアこそ、呆活が必要なんじゃないかなと思います。呆活とは文字通りぼーっとすることです。なーんにも考えずに、ただぼーっとすることを指します。

ぼーっとしてる状態は脳科学的な観点で言うと、デフォルト・モード・ネットワークという神経回路が活性化しており、リラックス効果や記憶の整理整頓、ひらめきなどを生み出す効果があると言われています。

先述のとおり、デフォルト・モード・ネットワークの活性化によって人の記憶は整理され定着していきます。逆に言うと、1日中ずっと脳に情報を入れていると、整理整頓の時間が確保されないため脳疲労の原因となります。最近、問題になっているスマホ認知症とは、まさにこの脳疲労が主な原因とされています。

ちなみに、韓国では「ぼーっとする大会」というものがあり、参加者が1か所に集まり、ひたすらぼーっとします。評価軸は、技術スコアと芸術スコアがあり、技術スコアでは心拍数を計測して、芸術スコアではそのぼーっとしてる様の芸術性を観客が決めます。 www.sankei.com

これは日本でも開催されており、今年も開催されるようです。なんでこんな大会が開催されているんだ?と当初は思いましたが、先述のような時代的背景を鑑みると、なんだか腑に落ちますね。こういった情報過多な世の中では、意図的にぼーっとする時間を作ることが大事になってくるわけです。 news.yahoo.co.jp

このブログについても呆活によって生み出されてる節があります。ブログのテーマについては頭をひねって考え出しているというよりは、なんとなくぼーっとしていたり、別のことを考えていたりすると、急に、「あ!これ書いたら面白そうだな!!」って感じで着想を得るケースがほとんどです。

おススメの呆活3選

さて、それでは具体的に呆活と言ってもどんなことすればいいの?って思いますよね。

そこで、個人的におすすめな呆活を3つほどご紹介したいと思います。 呆活は基本的にローコストかつ短時間で行えるため、普段の業務が忙しい方や、プライベートでもバタバタしてるような方にもおすすめです。実施する上でのハードルは、決して高くないのでぜひ試してみてください。

➀散歩

とにかく何も考えずに散歩する。これほどローコストな呆活はありません。特に、我々エンジニアはデスクワークが基本ですので、座ってる時間が長いです。そんな中、ふと休憩がてら散歩に出かけることをおすすめします。

特にアイデアに煮詰まった時や、少し頭を休めたいなと思った時はこの呆活が打ってつけです。軽く15分程度、外をぼーっと歩くだけでも効果大です。頭が整理されたり、歩いてる中で良いアイデアが降ってくることもあります。

➁カフェ

こちらもおすすめです。安いとこですとコーヒー1杯300円程度のお店もあります。特に始業前なんかに30分くらい時間を作って、何も考えずにコーヒーを飲みながら、ぼーっとするのも案外いいものです。

暖色などの落ち着いた内装ですと、より心身共にリラックスできるのではないでしょうか。外に出なくても自宅でそういった時間を設けることも可能です。始業前のちょっとした時間で作業効率は結構変わってきます。

➂温泉

個人的にはこれが一番おすすめです。というのも、この温泉は半ば強制的にぼーっとすることができるからです。➀や➁は人によってはついつい考え事してしまうなんてパターンもあるあるです。

ただ、温泉に入ると熱いお湯に入るため、それどころではなくなります。温度に慣れてきたころには、いい感じに身体が温まってきて、ぼーっとすることができてるはずです。

スーパー銭湯に行くと、だいたい露天風呂があるので、外に置いてある椅子に座って、ぼーっとするとこれが中々いいリラックス効果があります。個人的にはこの呆活が一番おすすめです。

最後に

考えることが多くなると、その分、不安も増えてくるのではないでしょうか。過去への後悔や未来への憂いなど、そういった今とは違う地点に思いを馳せてしまうのかもしれません。

そういう意味では、呆活とは無になることであり、換言すると今この一瞬を生きるということにもなります。今を生きるという意味では、呆活に限らず、趣味に没頭したり、運動したりと、手段は色々あるのでこの呆活はそのワンオブゼムと考えていただければと思います。

また、エンジニアという視点でお話ししましたが、これは他の業種の現代人にも当てはまることだと思います。情報過多な現代社会に生きる全ての人にとって、意識的にぼーっとする時間を作ることが大切なんじゃないかなと思います。一人でも多くの方に参考になると嬉しいです。

執筆者越川

インフラエンジニアで主にAWSを取り扱っています。


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