はじめに
「生成AIばかり追いかけてるようじゃ無理か。基礎はね、入れとかないと。」
こんにちは、志水です。最近は自分がこう言われてるような気がするので、入れておきたいと思います。
私は「技術書典17」(オフライン開催:2024/11/03、オンライン開催:2024/11/02~2024/11/17)で発表される「AWSの薄い本の合本Vol.01」に『IAMベストプラクティスとCDKによる効率化ガイド』という章を寄稿しました。本記事では、この章の内容と、合本全体の見どころについてご紹介します。
本書の全体像と構成の意図
今回の合本は、AWSの基盤となるサービスから最新のテクノロジーまで、幅広いトピックを取り上げています。この構成には、ある重要な考え方が反映されています。
2012年のAWS re:Inventで、ジェフ・ベゾスは「10年間で何が変わるかより、10年経っても変わらないもののほうが重要」という印象的な言葉を残しました。この言葉は、今回の合本のテーマを考える上で重要な指針となっています。
以下の動画は、その時のWerner Vogelsとの対話の様子です。
本書では以下の7つの章で構成されています。
- 第1章 S3を安全に使うための10の約束(執筆:佐々木拓郎)
- 第2章 Security Hubを最大限活用するためのポイント(執筆:大林優斗)
- 第3章 IAMベストプラクティスとCDKによる効率化ガイド(執筆:志水友輔)
- 第4章 CloudFormation StackSetsでマルチアカウント統制(執筆:西内渓太)
- 第5章 1コンテナで複数プロセスを起動し正常終了させる(執筆:浮田博揮)
- 第6章 マルチステージビルドで学ぶDockerのイメージ軽量化(執筆:小山ちひろ)
- 第7章 クイズで学ぶAWSの機能と歴史:厳選「機械学習」編(執筆:小西秀和)
この7つの章は、ジェフ・ベゾスの言葉に象徴される「不変の基盤技術」と「現代的な活用手法」という2つの軸で整理することができます。
【不変の基盤技術とその本質】
- S3を安全に使うための10の約束 (S3: 2006年GA)
- IAMベストプラクティスとCDKによる効率化ガイド (IAM: 2011年GA)
- CloudFormation StackSetsでマルチアカウント統制 (CloudFormation: 2011年GA)
【現代的なツールと活用手法】
- Security Hubを最大限活用するためのポイント
- 1コンテナで複数プロセスを起動し正常終了させる
- マルチステージビルドで学ぶDockerのイメージ軽量化
- クイズで学ぶAWSの機能と歴史:厳選「機械学習」編
この構成は、AWSの本質を理解する上で重要な2つの視点を提供します。
- まず長年の実績がある基盤技術の本質を理解し
- それらを現代的なツールやアプローチで効率的に活用する方法を学ぶ
なぜいま、IAMとCDKなのか?
私が担当した章は、「不変の基盤技術」と「現代的な活用手法」という本書の2つの軸を最もよく体現しています。
「不変の基盤技術」として、IAMは2011年のリリースから13年以上が経過していますが、その重要性は変わっていません。むしろ、クラウドの普及とセキュリティの重要性の高まりにより、さらに重要になっています。
しかし、この重要な基盤技術には以下のような課題があります。
- 適切な権限の特定が難しい
- 詳細な権限設定が煩雑
- 継続的な見直しと更新が必要
- 大規模環境での管理が複雑
「現代的な活用手法」として、これらの課題に対して2019年にGAされたCDKという新しいツールを活用することで効率的な解決が可能です。本書では、実践的なユースケースを交えながら、長年変わらないIAMのベストプラクティスと、最新のCDKによる効率的な実装方法を解説していきます。
想定する読者
本書は、以下のような方々に特に役立つ内容となっています。
- AWSでのシステム開発に携わる方
- IAM権限管理の効率化を検討している方
- CDKを活用したインフラ構築に興味がある方
- セキュリティベストプラクティスを実装したい方
担当章の内容
IAMベストプラクティスとCDKによる効率化について、以下の流れで解説していきます。
- IAMの役割とベストプラクティスの重要性
- CDKを使った最小権限の効率的な実装
- ユースケースと実装例
- API Gateway と DynamoDB の直接統合によるサーバーレスAPI構築
- SQS から Amazon ECS タスクを実行するIAM権限管理
- ECS タスクから S3 バケットにアクセスするIAM権限管理
- まとめと今後の展望
技術書典17での頒布について
『AWSの薄い本の合本Vol.01』は、AWSの基盤技術から最新のツール活用法まで幅広い内容を扱う書籍です。以下の日程で開催される技術書典17で頒布され、オフライン・オンラインどちらからでもご購入いただけます。
オフライン開催
- 日時:2024年11月3日(日) 11:00~17:00
- 場所:池袋・サンシャインシティ 展示ホールD(文化会館ビル2F)
- ブース番号:き01
オンライン開催
- 期間:2024年11月2日(土) ~ 2024年11月17日(日)
- techbookfest.org
大阪在住の私は残念ながらオフライン会場に参加できず、皆様とお会いできないのが大変残念です。技術書典の詳細については公式サイトをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしています!