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    成功循環モデルから学ぶ、組織の心理的安全性の作り方

    本記事は  【Advent Calendar 2025】  12日目の記事です。
    🌟🎄  11日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  13日目  🎅🎁

    1. はじめに

    こんにちは、新卒2年目の桑野です。

    今回は、とあるきっかけで「ダニエル・キムの成功循環モデル」について知ったので、関連書籍を読んで学んだことをまとめてみました。 チームや組織で働く中で「なぜうまくいかないのか」「どうすれば良いチームになれるのか」と感じたことはありませんか? この成功循環モデルは、そんな疑問に対するヒントを与えてくれるフレームワークです。特に若手社員の立場から、何ができるのかについても考えてみました。

    2. ダニエル・キムの成功循環モデルとは?

    はじめに、まず簡単にこのモデルについて説明します。

    成功循環モデルは、MIT(マサチューセッツ工科大学)の組織学習研究者であるダニエル・キム氏が提唱した、組織やチームのパフォーマンス向上に関するフレームワークです。

    このモデルでは、組織には「バッドサイクル(悪循環)」と「グッドサイクル(好循環)」の2つの循環パターンが存在すると説明されています。

    バッドサイクルは「結果の質」から始まります。成果を求めるプレッシャーが対立を生み、関係の質が下がり、思考や行動の質も低下し、結果的にさらに成果が出なくなるという悪循環です。

    グッドサイクルは「関係の質」から始まります。信頼関係が築かれると、思考の質が上がり、自発的な行動が増え、結果として成果も向上するという好循環が生まれます。

    つまり、成果を出したいなら、まず「関係の質」を高めることから始めよう、というのがこのモデルの核心です。

    3. 書籍の内容

    成功循環モデルを理解するにあたり、「だから僕たちは、組織を変えていける」(著者:斉藤徹)という書籍を読みました。

    soshiboku.jp

    本書は全6章で構成されており、それぞれがダニエル・キムの成功循環モデルを実践するための具体的なメソッドを展開しています。

    第1章 「時代」の話

    第1章では、これからの組織が何を大切にすべきかという価値基準の変化について語られています。

    これまで企業は「効率・利益」を最優先してきましたが、現代はデジタル化・SNSの普及・人生100年時代といった大きな変化によって、組織の価値の中心が「人の幸せ」へ移りつつあると説明されています。

    顧客や社会、そして働く本人のウェルビーイングが重視される流れは、日頃の働き方にも深く関係していると感じました。

    企業は、ただ稼ぐだけでなく誰を幸せにするのかを問い直す時代に入っているというメッセージが印象的な章でした。

    第2章 「組織」の話

    第2章では、従来の数字中心・管理中心のマネジメントが、知識社会では力を失いつつあることが語られています。

    代わりに求められるのは、学習し続け、共感でつながり、一人ひとりが自律的に動ける「自走する組織」です。

    単に制度を変えるのではなく、人の価値観・意識・対話の質を変える必要があるという点が特に印象に残りました。

    組織を変えるとは、結局は人を理解することから始まるという気づきを与えてくれる章です。

    第3章 「関係」の話

    第3章は、単なるモチベーション論ではなく、人が安心して意見を言い、自発的に動ける状態=心理的安全性をどう作るかに焦点が当てられています。

    メンバーが萎縮せずに意見を出せる環境は、創造性や自走性の前提になりますが、それを生み出す鍵が「聴く姿勢」と「相手理解のコミュニケーション」です。

    相手の価値観や本音を引き出すための対話のポイントが、具体例とともに紹介されており、普段の1on1やチームミーティングにもすぐ応用できる内容だと感じました。

    「安全な場づくりができてこそ、メンバーは主体的に動き出す」という考えに大きく納得した章です。

    第4章 「思考」の話

    第4章では、人が自走するための「仕事の意味・目的」に焦点が当てられています。

    ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の役割が丁寧に整理されており、組織にとっての“北極星”を示すことが、メンバーの行動を統合する力になると述べられています。単なるスローガンではなく、日々の仕事と結びついた「生きたMVV」にすることが鍵であり、組織全体でその意味を語り合うことの価値を改めて感じました。

    第5章 「行動」の話

    第5章では、行動や動機づけについて取り上げられています。外から無理に動かそうとするのではなく、本人の内側にある価値観・興味・好奇心が動機づけの源泉になる、という内容が中心です。特に、行動を続けるためには「小さく始めて、小さく成功体験を積むこと」が有効だと書かれており、習慣化や自己成長にも通じる考えだと感じました。人が“やらされ感”から抜け出し、“やりたい”と思える仕組みづくりの重要性が伝わってきます。

    第6章 「変革」の話

    第6章では、組織が変革していくために「どこから、どのように進めるべきか」が具体的に語られています。大きな改革を一気に進めるのではなく、まずは小さな実験から始め、成功体験を積み重ねていくことが現実的で効果的だと述べられています。また、部署を越えたつながりを広げたり、現場の声を取り入れたり、対話を重ねることで柔軟に変わっていける組織をつくることが重要だとされています。

    読んでいて特に印象に残ったのは、変革は仕組みだけで進むのではなく、自己理解や共感といった人の内面が土台になるという点でした。組織が変わる前に、まず自分自身がどんな価値観を持ち、どう在りたいのかを理解することが、変革のスタートラインになるのだと感じました。

    全体を通して、組織変革とは大げさな取り組みではなく、日々の対話や小さな行動、そして人への理解から始まるものだと再確認させられる章でした。

    4. 感想 ― 結局、若手社員にできることは何か?

    本書を読んで特に印象に残ったのは、チームの心理的安全性には 「関係の質」 が欠かせないという点です。

    マネジメント層であれば実践のイメージがつきやすい内容ですが、では 若手社員の立場では何ができるのか? という点についてはあまり触れられていませんでした。

    そこで今回は、若手社員として組織の心理的安全性にどう貢献できるのかを、自分なりに考えてまとめてみました。

    自己開示が心理的安全性を生む

    まず若手が取り組めることとして、日々の対話の中で少しずつ自己開示することが挙げられます。

    成功循環モデルでは、雑談を通して相手の人柄が見えることで安心感が生まれ、それが心理的安全性につながるとされています。若手だからこそ、「何を考えているのかわからない人」にならないことが大切です。

    仕事中は真面目に振る舞いがちですが、ほんの少し人間味を見せるだけで接しやすさは大きく変わると感じました。実際、私のチームでも朝会に雑談タイムを設ける取り組みが最近導入されましたが、それによってコミュニケーションが取りやすくなったと感じています。

    テレワークでも関係を築くためにできること

    一方でテレワークが中心になると、雑談の機会が減るという課題があります。

    その中で私が意識しているのが、リアクションスタンプや絵文字の活用です。

    ちょっとしたフランクなやり取りであれば、表情付きの絵文字を添えることで、

    • 文章だけでは伝わりにくい“温度感”を補う
    • 「読んでいますよ」という小さな気遣いを示す
    • 親しみやすい雰囲気をつくる

    といった効果があります。

    ただ場面を考慮しなければならないのと、多用しすぎると相手によっては舐めていると思われかねないので注意が必要です。

    テキストコミュニケーションでは言い方が大事

    また、テキストでの依頼文ひとつでも印象は大きく変わります。

    • ✕「このタスク明日までにやっておいて。」
    • ◎「こちらのタスク、明日までなので、お手すきの際にお願いします!」

    文章は感情が伝わりにくいため、このように思いやりのある言い回しを意識するだけで関係の質は向上します。

    身の回りでできる小さな事から積み重ねていこう

    若手社員ができることは、決して大きな改革ではありませんが、小さな自己開示や丁寧なコミュニケーション、ささやかな気配りなどの積み重ねの一つひとつが、チームの心理的安全性を支える基礎になるのだと感じました。

    自分のためだけではなく、周りが働きやすい環境のためにも、日々の小さな配慮から始めていきたいと思います。

    5. おまけ

    最近はプロジェクトの環境でよく使用している猫ちゃんスタンプがお気に入りです。

    note.com

    作者の方も以下のように述べているので、余裕のないときこそ猫ちゃんでその場を緩和させて心理的安全性を作っていきましょう。

    テキストにネコチャンをそえる効果について

    ネコチャンを添えると印象がかなり違いますよね。

    ちょっとイラっとしているような時にこそ使うと、自分の心もネコチャンによって安定しますし、結果的に相手への印象も良くなると確信しています。

    執筆者:桑野 アプリ開発エンジニア オムライスたべたい