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    Looker Studio の「計算フィールド」を活用し、URLに含まれる既存の情報だけで行える応用的な分析の活用例

    本記事は  【Advent Calendar 2025】  11日目の記事です。
    🌟🎄  10日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  12日目  🎅🎁

    はじめに

    こんにちは。入社 1 年目の中山です。
    普段はGA4 を始めとした Google マーケティング プラットフォームのテクニカルサポートを担当しています。

    その業務の一環として今年初めて Looker Studio を使用しましたが、直感的なクリック操作だけでダッシュボードや各種グラフを作成できるため、 基本的なレポート作成にはすぐに慣れることができました。
    一方で、デフォルトに用意されていない指標やディメンションを組み合わせてより応用的なレポートを作成しようとすると、データの粒度やスコープの理解が必須となり、思うように扱えない場面もありました。
    さらに、Web業界の現場では、分析に必要なデータを取得するために Webサイトの改修が必要になるケースも多く、そこには想像以上の時間とコストがかかるという現実も見えてきました。

    こうした経験から、本記事では既存のWebサイトを変更せずに分析の幅を広げたい方に向けて、Looker Studio の「計算フィールド」を活用し、URLに含まれる既存の情報だけで行える応用的な分析の活用例を3つご紹介します。

    1. ページパスから取得したキャンペーン名で、ディメンション「キャンペーンカテゴリ」を作成する
    2. クエリパラメータから取得したブランド名で、ディメンション「ブランドカテゴリ」を作成する
    3. パラメータを追加して、ブランド別データを動的に切り替える方法

    これらは追加開発を行わなくても、既存の URL の構造を最大限活かして実現できる分析アプローチです。Webサイトの改修が難しいプロジェクトでも活用しやすいため、すぐに実務に取り入れていただけます。

    計算フィールドとは

    Looker Studio の計算フィールドとは、数式や関数などを用いて既存のデータを計算したり操作したりして、表示したい内容に応じたさまざまな結果を返すことができる機能です。

    計算フィールドのより詳細な情報をお求めの方は下記公式ページをご覧ください。

    計算フィールドについて  |  Looker Studio  |  Google Cloud Documentation

    Looker Studio の計算フィールドでURLに含まれた要素から独自のディメンションを作成する方法

    1. ページパスから取得したキャンペーン名で、ディメンション「キャンペーンカテゴリ」を作成する

    今回は下記URLの「ページパス(赤字の部分)」を使用していきます。

    https://test.com/products/towel/winter-gift2025
    https://test.com/products/insulationfilm/winter-life
    https://test.com/products/mask/newyear-sale-health

    ・計算フィールドの作成
    Looker Studio でデータパネルの「フィールドを追加>計算フィールドを追加」を選択します。

    下記コードを「数式」に入力します。この数式はページパスの最下層にあるキャンペーン名の部分(ここでは「winter-gift2025」、「winter-life」など)を抽出します。

    REGEXP_EXTRACT(ページパスとスクリーン クラス, '([^/]*)/?$')

    以下のように入力し、「保存」を押下します。
    フィールド名:campaign_name

    ・グループを追加
    続いてレポートで「キャンペーンカテゴリ」を表示するためにグループを作成していきます。

    データパネルの「フィールドを追加>グループを追加」から以下のように入力します。
    新しいフィールド名:キャンペーンカテゴリ
    グループの作成に使用するフィールドを選択:campaign_name

    ※グループ化されていない値やルートパス「/」のみの値がある場合、nullや抽出した値がそのままグラフに表示されてしまう点にご留意ください。

    設定が完了すると、レポートでキャンペーン名をディメンション「キャンペーンカテゴリ」で表示し、以下のようなグラフを作成できるようになります。

    【補足】UTMパラメータから取得したキャンペーン名で、ディメンション「キャンペーンカテゴリ」を作成する

    UTMパラメータでキャンペーン名を付与している場合、既存のディメンションを用いることでキャンペーンカテゴリを作成することができます。

    今回は下記URLの「UTMパラメータ(青字の部分)」を使用していきます。

    https://test.com/products/towel/?utm_source=xxxx&utm_medium=xxx&utm_campaign=winter-gift2025
    https://test.com/products/insulationfilm/?utm_source=xxxx&utm_medium=xxx&utm_campaign=winter-life
    https://test.com/products/mask/?utm_source=xxxx&utm_medium=xxx&utm_campaign=newyear-sale-health

    ・グループを追加
    データパネルの「フィールドを追加>グループを追加」から、以下のように入力します。
    新しいフィールド名:キャンペーンカテゴリ
    グループの作成に使用するフィールドを選択:キャンペーン

    以上、UTM パラメータから作成した「キャンペーンカテゴリ」を分析軸として設定すると、前項の例と同様にイベント数や表示回数と組み合わせて、 キャンペーン単位の成果を横断的に比較できるようになります。

    2. クエリパラメータから取得したブランド名で、ディメンション「ブランドカテゴリ」を作成する

    Webサイト内で絞り込み検索をした際に、選択された条件をクエリパラメータで付与することがあります。
    そこで、事前に Google タグ マネージャー等でクエリパラメータを取得する設定をしていなくても、過去データからクエリパラメータを取得する方法を紹介します。

    今回は下記URLの「クエリパラメータ(青字の部分)」を使用して、絞り込み検索時に選択されたブランド名を取得します。

    https://test.com/item/?applied_filter_brand=brand-a
    https://test.com/item/?applied_filter_brand=brand-b
    https://test.com/item/?applied_filter_brand=brand-c
    https://test.com/item/?applied_filter_brand=brand-d

    ・計算フィールドの作成
    先ほどの手順と同様に設定画面を表示し、下記コードを「数式」に入力します。
    この数式はURLからクエリパラメータ「applied_filter_brand」のブランド名(ここでは「brand-a」、「brand-b」など)を抽出します。
    ※「applied_filter_brand」の部分は、任意のパラメータ名に変更してください。

    REGEXP_EXTRACT(ページの完全な URL, '[?&]applied_filter_brand=([^&]*)')

    以下のように任意の「フィールド名」を入力し、「保存」を押下します。
    新しい計算フィールド:applied_filter_brand

    ・グループを追加
    データパネルの「フィールドを追加>グループを追加」から以下のように入力します。
    新しいフィールド名:ブランドカテゴリ
    グループの作成に使用するフィールドを選択:applied_filter_brand

    設定が完了すると、レポートでブランド名をディメンション「ブランドカテゴリ」としてグループ化し分析できるようになります。

    パラメータを追加して、ブランド別データを動的に切り替える方法

    ここでは、先ほど作成した「ブランドカテゴリ」とカテゴライズする前のパラメータを瞬時に切り替えるレポートを作成し、分析の効率化とカスタム性を両立するために役立つレポートの一例をご紹介します。

    ・パラメータの作成
    はじめに、ユーザーの入力(チェックボックスのオン/オフ)に応じてブール値(trueまたはfalse)を保持し動的に切り替えるために、パラメータを作成します。
    データパネルの「+ パラメータを追加」から以下を入力します。
    パラメータ名:ブランド詳細
    データ タイプ:ブール値

    ・計算フィールドの作成
    次に、「ブランド詳細」がfalse(チェックボックスのオフ)の時に「ブランドカテゴリ」が、true(チェックボックスがオン)の時にパラメータの値である「ブランド詳細」が表示されるよう条件を設定します。
    データパネルの「フィールドを追加>計算フィールドを追加」から以下のように入力します。
    新しい計算フィールド:ブランド詳細

    ・チェックボックスの作成
    コントロールを追加>チェックボックス」からチェックボックスを作成します。

    この時、チェックボックスのコントロールフィールドの値には先ほど作成したパラメータ「ブランド詳細」を選択します。

    設定が完了すると、「ブランドカテゴリ」と「ブランド詳細」をボタン一つで操作し、見たい情報を瞬時に切り替えて表示できるようになります。
    ①チェックボックスがオフのとき
    ②チェックボックスがオンのとき

    おわりに

    本記事では、Looker Studio の計算フィールドを活用し、Webサイトの改修なしで、独自のカテゴリ別の応用的な分析を柔軟に実現する方法を紹介しました。
    しかし、「グループの追加」作業は、新しい商品ブランドやキャンペーンが追加されるたびに手動で更新する必要があるという課題があります。

    こうした課題に対して、より柔軟で高度な分析を行いたい場合の手段として、BigQuery との連携も検討できます。BigQuery を活用することで、外部データとの結合やテーブル作成の自動化など、Looker Studio 単体よりも難しい分析を効率的に行うことが可能です。

    ですが、今回ご紹介した計算フィールドの活用方法でも、対象データを分析目的に沿って拡張・変換する作業を手軽に行え、レポートに即時反映できる柔軟性があるため、十分に有効な手段となります。

    なお、今回グループ化で作成したディメンションは イベントスコープの指標とのみ組み合わせて使用可能である点にご注意ください。 「ユーザー数」や「セッション数」といったユーザースコープの指標と組み合わせると、データの重複カウントが発生するため、分析時には適切な指標の選択が重要です。

    本記事が皆さんのWebサイト分析のステップアップの参考となれば幸いです。
    最後までお読みいただきありがとうございました。

    執筆者:中山
    Google アナリティクスを中心としたGoogle マーケティング プラットフォーム(GMP)のテクニカルサポートを担当しています。