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    WebデザイナーからWebディレクターへ転身して見えたこと

    本記事は  デザインウィーク2026  2日目の記事です。
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    Webディレクターの菊地です。UIやビジュアルに向き合ってきた私があるタイミングでキャリアチェンジを決め、Webディレクターとしての道を歩み始めました。デザインで培ったセンスや感覚は確かに強みでしたが、求められる視点や仕事の進め方は大きく変わりました。

    本記事では、実際に転身して感じたこと、つまずいた点、そしてこれからディレクターを目指すデザイナーへのアドバイスを共有します。

    なぜ転身したのか

    デザイナーとして何年か仕事を続けるうちに、個別のビジュアル制作だけで満足できなくなってきました。ワイヤーやモックを作ると「ここをこう変えればユーザー体験がもっと良くなるのでは」と全体を俯瞰したくなる欲求が強くなり、自然とプロダクト全体やユーザー体験設計に関わることへの興味が高まりました。加えて、マネジメントや戦略的思考を学ぶことで自分の提供価値の幅を広げたいという思いも強く、ディレクションへのキャリアチェンジを決めました。

    デザイナー時代の強みがそのまま活きる場面

    デザイン経験はディレクションにおいて大きなアドバンテージになります。例えばワイヤーやモックを見ただけでユーザーへの影響をイメージできるため、早い段階で改善点や優先順位を提案できますし、実装上の現実味を理解しているため無理のない品質基準を示せます。また、現場の共通言語を知っていることは、デザイナーやフロントエンドエンジニアとのコミュニケーションを円滑にし、誤解や手戻りを減らす助けになります。こうした「現場感」は、ディレクターとしてプロジェクトを前に進めるうえで常に役に立ちます。

    新たに求められたスキルセット

    一方で、求められるスキルは格段に広がりました。スケジュール管理やリスク管理、予算感の把握といったプロジェクトマネジメントの基礎は必須ですし、キックオフやステークホルダー調整、会議の設計といったコミュニケーション/ファシリテーション能力も求められます。加えて、ビジネスゴールをユーザーストーリーや仕様に落とし込む要件定義の力、KPI設計やアクセス解析から示唆を引き出すためのデータ分析の基礎、さらには外部ベンダーやクライアントと交渉するための契約や見積もりの知識など、役割の幅が広がった分だけ学ぶことが増えました。

    実際につまずいたエピソード

    転身直後は、いくつかの失敗から多くを学びました。あるプロジェクトでは時間配分の誤りで進行が滞りました。デザイナー時代は自分自身の納期管理が中心でしたが、ディレクターになると複数メンバーの進行管理が必要になります。最初の頃はデザイン確認に時間をかけすぎた結果、開発工程で遅延が発生しました。ここで学んだのは、バッファを設けること、毎朝の短い進捗確認ミーティングの導入、進捗を可視化する簡易なガントやタスクボードの有効性です。

    日常業務での意識の変化

    日々の仕事で最も大きく変わったのは視点です。個々の画面やピクセル単位の美しさに集中するのではなく、ユーザーがサービスとどう関わり、ビジネスがどう価値を生むかというマクロな視点を持つようになりました。「作ること」そのものから「成果を出すこと」へと優先順位が移り、見た目の良さだけでなくビジネスゴールにつながる設計を選ぶようになりました。また、自分で全てを抱え込まずに適切にタスクを割り振る「人に依頼する力」も重要だと実感しています。これによりチーム全体の生産性が上がり、結果としてプロジェクトの成功確率が高まりました。

    キャリアチェンジを考えているデザイナーへのアドバイス

    ディレクションに移ることを考えているなら、まずは小さく経験を積むことをおすすめします。社内プロジェクトでサイトのゴール設計(ビジネス目標と成果指標の設計)やクライアント対応、進行管理の一部を任せてもらい、実践の中で学びましょう。並行して基礎知識も補強しておくと安心です。プロジェクトマネジメントの基本(スケジュール管理やリスク管理)、UXリサーチとコンバージョン設計の基礎、ならびにアナリティクスの基礎は、早めに触れておくと大きな武器になります。

    最後に:デザインとディレクションは表裏一体

    デザインの視点はディレクションにとって強力な武器であり、デザイン理論に裏付けられた美的判断はプロダクトにとって不可欠です。ただし、ディレクターはビジョンを語り、チームを動かし、成果を出す役割でもあります。ピクセルの美しさだけでなく、プロセスと指標で裏打ちされた判断を積み重ねることが求められます。デザイナーとして培った理論的な判断力を大切にしつつ、新しいスキルを意識的に磨いていけば、より大きな価値をつくれるはずです。

    執筆者:Kikuchi 数年間のWebデザイナー経験を経て、現在はWebディレクター