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    結局、Webデザイナーの仕事でAIはどこまで使えたのか? 実務で試した1年を本音で振り返る

    本記事は  デザインウィーク2026  5日目の記事です。
    🎨  4日目  ▶▶ 本記事 ▶▶  🖼️     

    本記事に掲載している画像は、すべて Adobe Firefly で生成しています。

    近年、デザイン業務でAIを使う場面はぐっと増えてきましたよね。
    一方で、実際の現場では「便利そうだけど、本当に使えるの?」
    「むしろ手間が増えたりしない?」と思うこともあります。

    私自身、この1年いろいろ試してみましたが、結論から言うと、AIはかなり頼れる存在でした!
    ただし、何でも一発で解決してくれる……というほど空気は読んでくれません。

    今回は、実際にどんな場面でAIを使い、何が役立ち、何が難しかったのかを
    本音で振り返ってみます。

    この1年、実務でAIを使った場面

    この1年、デザイン業務でAIを使ったのは、完成品を丸ごとつくるためというより、
    制作を進めるためのイメージづくりや調整作業の補助としてでした!

    そうした用途の中で、特によく使った生成AIツールは
    ずばり、Adobe FireflyFigma Make です。

    活用した場面を挙げてみると...

    • 撮影時のカットイメージ作成
    • ストックフォトの加工による要望対応
    • デザインの叩き台作成
    • UIアニメーションのイメージ共有
    • 背景切り抜きなどの補助作業
    • 写真の一部加工の試行

    当初は「Figma AIで十分かもしれない」と思っていましたが、
    実際にはAdobeにもFigmaにもそれぞれ得意分野があり
    結果的にどちらも活用することになりました。

    特に Firefly は、商用利用に関する補償体制が整理されており、
    実案件でも検討しやすいツールでした!

    実務で役立ったと感じたこと

    Webサイトに入れる写真のイメージ共有が早くなった

    これはかなり助かりました。
    とくに「言葉だけではちょっと伝えにくい」ものほど、AIのありがたさを感じます。

    ある企業の社員インタビューページの制作にあたり、実際に撮影を行う前に
    どのような構図・表情・トリミングをしたものを入れるのがよいかの
    イメージをクライアントと共有したい場面がありました。

    実際、自分の思い描くイメージに近い写真をストックフォトで一から探し、
    さらに同じモデルで別ポーズの素材までそろえようとすると、意外と時間がかかります。
    「この雰囲気は近いけど、表情が違う」
    「こっちは構図はいいけど、服装が惜しい」みたいなこと、けっこうありますよね。

    そこで、イメージに近いモデル写真を一枚探し、素材を Firefly に読み込ませて、
    補正や構図変更、背景違い、少し表情違いのパターンを作成しました。

    その結果、短時間で狙いどおりの構図や表情のサンプルを用意でき、
    クライアントへのイメージ提示や社内での合意形成がかなりスムーズになりました!
    やはり、「こういう感じです」を画像で見せられると話が早いです。

    細かな要望に対応しやすくなった

    ストックフォトをそのまま使うだけでは、構図や見せたい要素が少し足りないことがあります。
    たとえば「横長で使いたいけれど左右が足りない」「服の色を少し変えたい」
    「人物の目線をもう少しこちらに向けたい」など、絶妙にあと少しが欲しい場面です。

    このあと少しが、実はかなり難しい。
    でも Firefly を使うと、その微調整に手が届きやすくなりました。

    既存素材を活かしながら補完や調整ができるので、
    ゼロからつくるよりも現実的で、実務にも載せやすい。
    このバランスのよさは、かなり使いやすいポイントでした。

    叩き台づくりと連携に強かった

    デザインの叩き台づくりには、Figma Make を活用しました。
    Figma Make は、完成度の高いデザインをそのまま出力するというより、
    まずは考える土台をつくるのに向いている印象です。

    まっさらな状態から考えるより、「これをどう直すか」を考えるほうが進めやすい場面は多いです。
    ゼロから1を生み出すのはやっぱり重いので、まず1っぽいものが出てくるありがたさはあります。

    また、UIアニメーションのイメージ作成にも便利でした。
    静止画だけでは伝わりにくい動きも、ある程度リアルに見せることができるので、
    エンジニアとの共有がしやすくなります。
    「たぶんこう動くはず」ではなく、「こう動いてほしい」が共有できるのは大きいです。

    一方で、思ったほどうまくいかなかったこと

    完成品をそのまま任せるのは難しい

    AIで作成したものは第一印象ではよく見えても、細部を見ると違和感が残ることがありました。
    とくに写真の部分加工では、Photoshop の生成塗りつぶしを試したものの、
    品質面ではまだ厳しいと感じる場面もありました。

    第一印象はとても優秀なのに、じっくり見ると「あれ?」となる。
    この感覚は、AIを使ったことがある方なら一度はあるかもしれません。

    なので現時点では、「そのまま完成品として使う」というより、
    制作を前に進めるための補助として捉えるのが現実的だと感じています。
    AIが頑張ってくれた分、最後は人間がちゃんと頑張る。そんな場面はやはり残りますね。

    「時短」というより「試行回数を増やせる」

    AIを使えば何でもすぐ終わる、というわけではありませんでした。
    むしろ、案出しや方向性確認を何度も回しやすくなる一方で、
    最終的な調整や品質担保には人の判断が欠かせません。

    体感としては、「作業が消える」というより「悩み方が変わる」に近いです。
    ただ、この試しやすさがあることで、検討の幅は確実に広がりました。

    「時短できたか」と聞かれると少し答えに迷うものもありますが、
    「比較検討しやすくなったか」と聞かれたら、はっきり「はい」と言えます。

    実務で大きかった壁は「品質」より「社内外との調整」

    実際に使ってみて、品質面以上に大きいと感じたのが、導入のハードルでした。

    クライアントへの説明と確認が必要になる

    Firefly で加工した写真を実案件で使う場合、
    クライアントへの説明や確認が必要になるケースがありました。
    実制作自体はスムーズでも、導入にあたっては法務や社内ルールの確認が入ることもあり、
    想像以上に調整コストが発生する場合があります。

    AIは数秒で案を出してくれますが、確認フローまで数秒で終わるわけではありません。
    この「速く作れるのに、速く進むとは限らない」感じは、実務ならではだと思います。

    そのため、AI活用を実案件に乗せる際には、制作だけでなく、
    説明責任や確認フローまで含めて設計することが重要でした。
    便利なツールほど、導入の段取りは丁寧にしておいたほうがよさそうです。

    ツール選定は「性能」だけで決められない

    AIツールを選ぶ際、単純に生成品質の高さだけで判断するのは難しいとも感じました。
    実案件では、商用利用の条件や補償の有無、
    安全性の説明しやすさなども含めて検討する必要があります。

    クオリティだけを見れば、魅力的なツールやモデルはほかにもたくさんあります。
    ただ、業務で使うとなると「いいものが出る」だけでは足りず、
    「安心して使える」ことが同じくらい重要です。

    性能がいいツールが最良とは限らないのが、実務のおもしろくて難しいところです。

    使ってわかった、今後の課題

    この1年の活用を通して、今後さらにAIを実務で活かすための課題も見えてきました。

    AIへの指示出しにはスキルが必要

    AIを使っていて感じたのは、ツールの性能だけでなく、
    こちらがどう指示を出すかで結果が大きく変わることです。
    頭の中にイメージがあっても、それをAIに伝わる形で言語化するのは簡単ではありません。

    つい「いい感じで」と頼みたくなるのですが、AIはそのあたりをまだ絶妙には察してくれません。
    このへんは、相手がAIでも結局ディレクション力が問われるのだなと感じました。

    今後は、プロンプト設計や条件整理も、実務スキルの一部として磨いていく必要がありそうです。

    許可取りは早めに動く必要がある

    AI利用に関する確認は、クライアント側で法務確認が入ることもあり、
    想定以上に時間がかかる場合があります。
    そのため、AIを使う可能性がある場合は、制作直前ではなく、
    できるだけ早い段階で相談しておく方が安全です!

    使うかどうかを決める前に、まず確認の段取りを考えておく。
    少し遠回りに見えても、結果的にはその方がスムーズでした。

    より高品質なツールを使うには、事前調査も重要

    クオリティ面では、より魅力的な結果が出せそうなツールもあります。
    ただし、実案件で活用するには、商用利用や安全性について十分に確認し、
    クライアントにも説明できる状態にしておくことが前提になります。

    今後活用の幅を広げるには、ツール比較だけでなく、
    利用条件の整理や説明資料の準備も重要になりそうです。
    「使える」の意味が単純な性能だけでは決まらないのが、一筋縄ではいかないところです。

    結局、Webデザイナーの仕事でAIはどこまで使えたのか

    この1年を振り返ると、AIはデザインを丸ごと代わりに作ってくれる存在ではありませんでした。
    一方で、イメージの可視化、叩き台づくり、素材調整、
    共有のしやすさといった場面では、確かに実務を前に進めてくれました。

    逆に、品質の最終判断や、ブランドらしさの調整、細部の作り込みは、
    やはり人が担うべき領域だと感じます。

    つまりAIは、完成品を自動でつくる魔法の道具というより、
    制作を前に進めるための補助線として使うと非常に強い。
    何でも任せられるスーパーアシスタント、というよりは、
    得意分野がはっきりした優秀な相棒、という存在感が近いように思います。

    AIについては、「使えるか、使えないか」という二択で語られがちです。
    しかし実際には、そのどちらかではなく、
    どの工程にどう活かすのかを見極めることが重要なのだと感じました。

    この記事が、デザイン実務におけるAI活用を考えるうえで、ひとつの参考になれば幸いです!

    執筆者馬場七海/Nanami Baba

    Web・UI/UXデザイナー。いつの間にか7年目。