本記事は デザインウィーク2026 3日目の記事です。
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はじめまして。NRIネットコムでWebディレクターをしている斎藤です。
UI/UX設計からフロントエンドの進行・品質管理をする中で、Web推進や事業部門と開発チームとの橋渡し役をしています。
さて、皆さんは
デザインを刷新したのに「成果が出ない」「現場の負荷が増えた」
と感じたことはありませんか?
デザインやUIをきれいに刷新したのに、なぜか成果が上がらない、あるいは社内の作業量が増えた、という声をよく聞きます。皆さんの周りでも経験があるのではないでしょうか。
本記事では、「見た目だけ」のリニューアルが失敗する原因と、そうした失敗を防ぐ「サービス設計」アプローチについて簡潔にご紹介します。
詳細はウェビナー資料を公開していますので、ご興味のある方は是非そちらもご覧ください(メールアドレス等の入力で無料ダウンロードできます)。
なぜ「見た目だけ」のリニューアルは失敗するのか
多くのプロジェクトで起きる問題は、カスタマージャーニー(フロント)とバックステージの「断絶」が原因です。
要件定義工程で行うUX設計で作成したカスタマージャーニーでは、顧客行動や感情を詳細に描きますが、多くの場合、そこで描いた“フロント”部分だけに注力しがちです。
フロントを支えるバックステージ(社内体制・業務プロセスや必要機能、データ管理)は要件定義では要件化されず、検討は実装工程以降の終盤になるケースがほとんどです。

バックステージの検討が後回しにされた結果、次のような事態が起こります。
- UXは改善したが、現場の手作業や人的フォローが増え運用負荷が上がる
- 営業支援や分析ツールが個別最適で導入され、データ連携が煩雑化する
- 計測タグは実装したが、どの施策が効果を生んだか解析できない
結果として、リリース後に「現場の頑張り」に頼らざるを得なくなり、運用負荷は下がらず、期待した成果は得られないままになります。
では、どうすればよいのでしょうか?
解決策:要件定義工程で「サービス設計」アプローチを実施する
多くの失敗は、カスタマージャーニー(フロント)とバックステージ(社内体制・業務プロセスや必要機能、データ管理)の「断絶」が原因であるとお話しました。
この問題に対する実務的な解決策は、要件定義の段階でUXだけでなく、フロントとバックステージを一体で設計(=サービス設計)し、要件化して担当へ橋渡しすることです。
このような「サービス設計」アプローチを実施することで、運用負荷を下げ、期待する成果に近づきやすくなります。
成果を出すための「サービス設計」とは
サービス設計とは、カスタマージャーニーで描いた「理想」を、現場でどう実現するかを可視化するプロセスです。ここで有効なのが「サービスブループリント」というツールです。
サービスブループリントとは、フロント(顧客行動)と、それを支えるバックステージ(組織内のプロセス、システム等)を時系列で並べ可視化するツールです。
サービスブループリントを使って「サービス設計」を行うことで、「フロント(理想の顧客体験)とそれを実現するためのバックステージの仕組み」が明確になります。
【サービスブループリント例】
サービス設計の主な効果
- 合意形成の速度向上
部署間での共通言語を作り、意思決定が速くなります。 - 手戻り・再設計の削減
必要要件を設計段階で拾えるため、実装時の手戻りや再設計が減ります。 - 計測可能性の確保
計測ポイントをあらかじめ設計しておくことで、因果の特定が容易になります。 - 運用負荷の予見と低減
オペレーション面の要件が明確になるので、自動化や人員配置の見直しがしやすくなり、運用負荷を事前に軽減できます。
「サービス設計」アプローチの進め方
要件定義工程での「サービス設計」アプローチの進め方をご紹介します。
1. カスタマージャーニーを起点にシナリオを選定
カスタマージャーニー(To‑Be)の中から1つシナリオを一つ選びます(例:TOP→問い合わせ)。
一度に全てを行おうとせず、まずは最重要シナリオから始めてみましょう。
2. サービスブループリントを作成(サービス設計)
選定したシナリオに沿って、フロントとバックステージを時系列で記入します。
どの接点で誰が何をするか、どのデータをどう渡すかを明確にします。
FigJamなどの共同編集ツールを利用すると、会議で投影しながらコメントをその場で反映できるため議論が進みます。

3. 要件抽出&優先度付け(要件化)
サービスブループリントを作成したら、そこから要件を抜き出します。
続いて、有識者レビューをして対応要否や実施フェーズなどの優先度を付けてもらいます。
4. 担当への橋渡し
サービス設計で抽出した要件を担当へ説明し、実装方針をすり合わせましょう。
要件ドキュメントだけを渡すのではなく、サービスブループリントを一緒に提示して背景と意図を共有することで、スムーズに実装工程へ移行できます。
まとめ
見た目だけのリニューアルが失敗しやすいのは、要件定義工程でフロント(顧客行動)とそれを支えるバックステージ(現場の業務設計)の検討が断絶しているためです。
要件定義工程はWebサイトリニューアルの成否を左右する重要な工程です。
この段階でフロントとバックステージを一体で設計・要件化し、担当へ橋渡しする「サービス設計」アプローチを実施することが、Webサイトリニューアルの成果につながる重要な鍵になります。