
はじめに
お久しぶりです、松村です。先週ラスベガスで開催されていた「Google Cloud Next 2025」に参加させていただきました。 ラスベガスの乾燥にやられるまいと気合を入れて保湿した結果、新品のリップは半分なくなりました。
本ブログでは、多くの魅力的なセッションの中でも私が楽しみにしていた、BigQuery のロードマップや最新機能が紹介される「What's new in BigQuery」というセッションの内容をまとめます。 機械学習や ETL をはじめとした機能が充実している BigQuery をもっと知りたい・活用していきたいなという気持ちで、セッションに参加してきました。
Gemini in BigQuery
まず大きなニュースとして、Gemini in BigQuery (※1)の主要機能が、現行の BigQuery の料金体系に含まれるという発表がありました。SQLや Python のコード生成・補完、データキャンバス、データ準備などが対象となります。本機能は、昨年に発表された機能ですが、すでに何千もの顧客に利用され、利用率は前年比で350%も増加しており、すごい勢いで利用されているようです。
(※1)参考:Gemini in BigQuery の Gemini の概要 | Gemini for Google Cloud

特にデータ準備(Data Preparation)機能(※2)は今回 GA(一般提供)となり、Gemini がスキーマ不一致の検出や SQL の自動生成を行うことで、パイプラインの構築を大幅に効率化することができます。プレビューを利用した顧客からは、面倒なデータの前処理を Gemini が行うことで、アナリスト自身がデータ準備を行えるようになり、生産性が向上したといった旨の報告がされていました。
(※2)参考:BigQuery データの準備の概要 | Google Cloud

A family of data agents
ロードマップとして、「データエージェントファミリー」が紹介されました。様々な役割を持つ AI エージェントたちが連携し、データエンジニアやデータサイエンティストのタスクを支援・自動化するという構想です。最新の Gemini モデルによる「思考の連鎖(Chain of Thought)」(※3)を用いて処理計画を提示するため、ユーザーは処理内容を確認し、信頼してタスクを任せることができます。
(※3)参考:Chain of Thoughts (CoT)とは| IBM

セッションで紹介されたエージェントは、以下4つです。
- データエンジニアリングエージェント:データの取り込みからクレンジング、パイプライン構築まで、データエンジニアの作業を幅広く支援するエージェント。
- データガバナンスエージェント:データモデリングやメトリクスの定義、メタデータの生成などを支援するエージェント。
- データサイエンスエージェント:データ探索からモデルのトレーニング、デプロイまで、データサイエンティストの意図を汲み取って計画・実行を支援するエージェント。
- 会話型分析エージェント:ビジネスユーザーが自然言語でデータに関する質問を投げかけると、分析結果を返してくれるエージェント。現在も Looker や Looker Studio Proで利用可能ですが、今後は API の提供やマルチデータソースの対応も可能になるようです。
AI による支援がここまで進化すると、データエンジニアやデータサイエンティストの知識がないような、よりビジネスサイドに近い人でも、エージェントを駆使することで、さらに高度にデータを分析・活用することができるようになりそうです。
BigQuery MLの進化
BigQuery 内で直接 AI モデルを利用できる BigQuery ML も、生成 AI を中心に大きく進化しました。LLM の選択肢が大幅に拡大し、Gemini はもちろん、anthoropic 社の Claude や Meta 社の Llama などのモデルも SQL から利用可能になります。
また、画像やドキュメントといったマルチモーダルデータへの対応や、SQL 内での AI 関数呼び出し、構造化データでの出力など、SQL を使用して AI をより扱いやすくする機能が追加されました。

予測分析の分野では、ワンショット(モデルがデータを学習する必要がない)での時系列予測を可能にする「TimesFM」(プレビュー版)(※4)や、要因分析をSQLで簡単に行える貢献度分析機能(GA)(※5)が紹介されました。
(※4)参考:TimesFM モデル | BigQuery | Google Cloud
(※5)参考:貢献度分析の概要 | BigQuery | Google Cloud


さらにロードマップとして、データの信頼性を高める自動データ異常検知機能も紹介されました。MLを活用してデータ品質の問題を自動検出し、プロアクティブなリスク軽減に貢献します。これらの進化により、BigQuery MLは、機械学習の専門家でなくても、SQL を使用して高度な AI 機能を活用できるツールへと進化しています。

AI Query Engine
最後に将来登場予定の機能として、「AI Query Engine」が紹介されました。これは、製品レビュー分析のような意味的な洞察抽出を、専門知識なしにSQLと自然言語プロンプトで実現可能にするものです。
例えば、数百万件の製品レビューから「繰り返し指摘される問題点は何か?」「代替品として推奨されている製品は?」「安全性に関する懸念は?」といった意味的な洞察を得ることは、非常に困難で、時間とコスト、そして専門的なスキルを要しますが、「AI Query Engine」を使用することで、簡単に分析が可能となります。SQL の中に、自然言語プロンプトを組み込むことが可能となり、テキスト等の半行動化データから、プロンプトに合致するようなデータを AI が抽出してくれます。
これにより、使い慣れたSQLインターフェースから、言語モデルの力を直接利用できるようになり、構造化・非構造化データを組み合わせた分析の可能性が大きく広がります。

まとめ
今回の「What's new in BigQuery」セッションに参加し、BigQueryが単なるデータ基盤から、AIと深く融合した次世代のプラットフォームへと急速に進化していることを改めて実感しました。
特に印象的だったのは、Gemini による AI 支援機能がより身近になり、さらに「データエージェントファミリー」構想によって、データ活用のハードルが劇的に下がる可能性を感じました。また、BigQuery ML や AI Query Engine についても、多様なLLMのサポートやマルチモーダル対応など、SQL を起点としてデータから意味的な洞察を得る方法を含め、AI 活用の幅が大きく広がったと感じます。
今回のセッションを受けて、BigQuery の機能を活用して、今後のデータの活用方法や戦略を改めて見直すいい機会になりました。