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UX体験におけるブランディングについて

f:id:MHnnc:20211222153129p:plain 本記事は NRIネットコム Advent Calendar 2021 23日目の記事です。
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初めまして、Webデザイナーの本田です。 入社して以来、証券や金融をはじめ不動産、電子マネーなどのさまざまな業界のWebサイト・スマホアプリデザインに従事しています。 今回は、ブランディングにおいてUX(ユーザー体験)が深く関わる様になっているという話をしたいと思います。

進化するブランディング

ブランディングとは、一言で言うと顧客から見た企業の共感や信頼などの価値を最大限に高め、他社との差別化を図る活動の事です。

少し前までデザイナーのミッションはプロダクトやサービスの特長や価値を魅力的に表現する事でした。ロゴを始めとする企業のグラフィック展開を統括するVI(ビジュアルアイデンティティ)計画、新聞やポスター、Webサイトなどの広告デザインがデザイナーの主なフィールドでした。

それは今でも変わりありませんが、顧客(ユーザー)は商品を利用する事で得られる体験=ユーザーエクスペリエンス(UX)に価値を感じ、お金を払う様になりました。

例えばiPhoneが高価でも売れる理由は、

「持っているだけで高いステータスを感じさせる洗練されたデザイン」

「仕事やプライベート、どんなシーンにも合うスマートな形状」

「簡単な操作で常に新しい体験を得られるユーザーインターフェイス(UI)」

という外見から機能まで一連の「iPhoneを所有している時間」に価値を感じているからです。

Webやアプリの制作においてUXの存在は大きくなり、デザイナーは製品の見た目やUIだけではなく、製品を使ってどういう体験ができるか、その体験をどうやって継続的に利用してもらえるかを考える様になりました。良質なUXもまたブランディングの一つと考えられる様になったのです。

そして、製品やサービスに関わる一連の体験を時間軸で捉える事をUXタイムスパンと言います。

UXタイムスパンとは

UXタイムスパンとは、「UX白書」で提唱されている概念です。

UXとは、システム利用前の予測(予期的UX)、インタラクション中の感情の変化(一時的UX)、体験したエピソードに対する評価(エピソード的UX)、利用後の見方(累積的UX)で分類できます。 つまりユーザー体験を「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間全体」の4つの期間に分けるという考え方です。

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例えば、この考えにミシュラン星のレストランを当てはめて利用するユーザーの一連の体験を考えてみると、こうなります。

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レストランを顧客が予約した時「ミシュラン星のレストランで食事したい」「自分好みの料理が出てきそうだ」と期待感を持ち、実際に食事をして「斬新な料理が食べられた」「サービスが行き届いていた」と期待以上の体験が得られたら、定期的に足を運ぶ様になるでしょう。 そしていつしか顧客にとってこのレストランは「新しい食の体験ができる場所」「友人に安心して紹介できるお店」という存在に変わっていくと思います。

UXタイムスパンにおけるWeb開発者のアプローチ

先ほどご紹介したレストランがユーザー(顧客)に与えた心地良い体験は 「利用する(食事をする)」だけでなく、前後の体験も含まれています。

「お店を知る・興味を持つ」:Know

「来店し食事をする」:Product Use

「後日お店から葉書が届く」:Customer Service

「友人と共有する」:Episode Share 

この考えにWeb制作を当てはめると、下記のアプローチが考えられます。

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この様に、利用時間全体で「ユーザーからの信頼を得て」「ブランドイメージを浸透させる」ためには、サービスを作るディレクターやデザイナー、エンジニアだけではなく、利用前のマーケティングや利用後のカスタマーサポートが一体となってUX設計に取り組む必要があります。

まとめ

UXタイムスパンを通じてユーザーに一貫したイメージを与え、顧客とのエンゲージメントを深めていくことでブランドは形成されます。企業やサービスの価値が上がり、リピーターが増え、サービスのファンとなったユーザーがシェアする事で更なるユーザーを増やし、売上につなげることができます。

一連のUX体験を通じて誰に・どんなイメージを伝えるかを設計し、 その中でデザイナーはどうすればわかりやすい形でユーザーにブランドイメージを届けられるかを考える仕事だと思います。

NRIネットコム Advent Calendar 2021
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