NRIネットコム社員が様々な視点で、日々の気づきやナレッジを発信するメディアです

注目のタグ

    BigQuery の会話分析機能を活用する

    こんにちは、デジタルマーケティング事業に携わっている神崎です。 本記事では、Google Cloud の BigQuery に搭載されている会話分析機能について、紹介します。

    cloud.google.com

    ※本記事執筆時点において、本機能はプレビュー版で一般公開されていますが、機能は必ずしも完全ではなく、SLA やテクニカルサポートの確約はありません。

    今回ご紹介する内容は、2026年3月19日(木)に開催される Google Cloud のイベント、Agentic AI Summit '26 Spring で私が講演する内容の抜粋版となります。 よろしければ、以下の講演もご視聴ください。

    cloudonair.withgoogle.com

    本記事の目次は、下記のとおりです。

    BigQuery の会話分析機能とは

    BigQuery の会話分析機能は「データ エージェント ファミリー」と呼ばれる Google Cloud の AI エージェント群の、Conversational Analytics Agent の機能のひとつです。

    ※出典:生成 AI が拓くデータ活用の新境地:Google Cloud の「データ エージェント」とは? https://www.youtube.com/watch?v=YGZozq561iI

    デジタルマーケティング、とりわけデータ活用の文脈では、以下の赤枠内を支援する機能となっています。

    BigQuery の UI 上の以下のような画面より、AI エージェントとの会話を開始できます。

    プロンプトを投げると、ユーザーが入力した質問がバックエンドで SQL に変換・実行されて、以下のようにデータが集計・可視化されます。

    本記事執筆時点で、以下の可視化タイプは完全にサポートされています。

    • 折れ線グラフ
    • 面グラフ
    • 棒グラフ(横、縦、積み上げ)
    • 散布図
    • 円グラフ

    一方で、以下の可視化タイプは部分的なサポートとなっており、予期しない動作が発生する可能性があります。

    • マップ
    • ヒートマップ
    • ツールチップ付きのグラフ

    ※ご参考:Conversational Analytics API の既知の制限事項  |  Google Cloud Documentation

    傾向と洞察の提示やネクストアクションの提言も、AI エージェントが行います。

    こうした支援は「SQL の知識がなく、データが抽出できない」「サイロ化したデータの統合の仕方がわからない」などの、データ活用にかかわる課題の解決に貢献します。

    BigQuery の会話分析機能活用時のポイント

    BigQuery の会話分析機能では「データソースとの直接会話」と「データエージェントとの会話」のいずれかを選択できます。 以下は「データソースとの直接会話」の例です。

    「データソースとの直接会話」では、AI エージェントに対して、事前にデータの背景情報やドメイン知識を渡せません。 そのため、返答に正確性が求められる場合は、推奨されません。

    返答に正確性が求められる場合は「データエージェントとの会話」が推奨です。 BigQuery の UI 上で、会話分析用のデータエージェントを作成できます。

    「ナレッジソース」には、複数のテーブル、ビュー、UDF(ユーザー定義関数)が選択できます。 「ナレッジソース」 を選択する際は、以下の2点がポイントとなります。

    1. なるべく、非正規化されたテーブルを選択すること
      AI エージェントに複数のテーブルの結合(JOIN)を任せることも可能ですが、動作が安定しない場合があります。
    2. 構造体(STRUCT 型)が含まれるテーブルを使用しないこと
      GA4 エクスポートデータのように、ネスト構造を持つテーブルを選択すると、動作が安定しない場合があります。

    構造体(STRUCT 型)が含まれるテーブルは、以下のようにフラットにすることで、処理しやすくなります。

    ※ご参考:BigQueryにエクスポートしたGoogle アナリティクス 4 (GA4) のデータを取り出そう! - NRIネットコムBlog

    「ナレッジソース」に選択するテーブルには、メタデータ(テーブルやカラムの説明)を設定しておくことも重要です。 メタデータの設定については、以下の記事を参考にしてください。

    tech.nri-net.com

    また、データエージェントにデータの背景情報やドメイン知識などのコンテキストを渡すことで、会話分析時の AI エージェントからの返答精度が向上します。

    本記事執筆時点では、以下の種類のコンテキストをデータエージェントに渡すことができます。

    • 主なフィールド:分析に関して最も重要なフィールド
    • 類義語:主なフィールドの代替用語
    • 除外済みフィールド:データエージェントが使用を避けるべきフィールド
    • フィルタリングとグループ化:データエージェントがデータのフィルタリングとグループ化のために使用するフィールド
    • デフォルトのフィルタリング:デフォルトでフィルタリングするフィールド
    • 結合関係:複数のテーブルを結合する方法

    ※ご参考:Create data agents  |  BigQuery  |  Google Cloud Documentation

    利用目的や用途の異なるデータエージェントは別々に作成し、個別にコンテキストを設定するようにしましょう。

    加えて「検証済みクエリ」を設定しておくことで、特定のユースケースに対する返答精度を向上できます。 以下は「ユーザーごとに RFM 分析を実施して」という質問に対する「検証済みクエリ」を設定した例です。

    「検証済みクエリ」をもとに回答が生成されることで、ユーザーによる集計・分析ロジックのバラつきや、AI エージェントによる回答の再現性の欠如(同じ質問をしても、違う答えが返ってくる)の抑制につながります。

    なお「検証済みクエリ」には、BigQuery ML 関数を用いたクエリを登録することもできます。 以下は、AI.DETECT_ANOMALIES 関数による異常値検出の例です。

    ※ご参考:Conversational analytics overview  |  BigQuery  |  Google Cloud Documentation

    また「用語集」を登録することで、データエージェントのドメイン知識を補完し、指標の解釈のブレを抑制することも可能です。

    BigQuery の会話分析機能活用時の注意事項

    データエージェントとの会話分析時に実行されるクエリには、BigQuery のコンピューティング料金がかかります。 「課金される最大バイト数」を設定して、費用のスパイクが発生しないようにしましょう。

    ※本記事執筆時点では、データエージェントの作成と使用に対しては、追加料金は発生しません。

    日単位、ユーザー単位の割り当て(クエリの上限)を設定するのも有効です。 下図の「Query usage per day」は日単位、「Query usage per day per user」はユーザー×日単位の割り当て(クエリの上限)となります。

    ※ご参考:カスタムのクエリ割り当てを作成する  |  BigQuery  |  Google Cloud Documentation

    また、Google Cloud では、期間を指定して当該期間の予算を設定できます。 たとえば、あるプロジェクトの月別の予算を6万円として、以下のようにしきい値を設けておくことが可能です。

    これらのしきい値を超えたら、通知先として設定されたメールアドレスなどに通知アラートが自動送信されます。 このしきい値はなるべく細かく設定して、状況を適切に把握できるようにしておきましょう。

    ※ご参考:予算と予算アラートの作成、編集、削除  |  Cloud Billing  |  Google Cloud Documentation

    最後に、BigQuery の会話分析機能の利用時には、IAM により、対象となるエージェントにアクセスできるユーザーを制御しましょう。 作成したデータエージェントは、「公開」するまで、他のユーザーが使用できる状態とはなりません。

    「公開」後は、IAM によりアクセス制御できます。 最小権限の原則に基づき、公開範囲は必要最低限にとどめましょう。

    おわりに

    AI エージェントの登場で、以前より容易に・コストをかけずにデータを活用できる土壌ができました。 今こそ、収集した Google アナリティクスなどのデータから価値を引き出していきましょう!

    執筆者神崎健太

    「Google マーケティング プラットフォーム」をはじめとしたマーケティングテクノロジーにかかわるコンサルティングおよび、テクニカルサポートを担当しています。


    Amazon 著者ページ:神崎 健太:作品一覧、著者略歴 - Amazon.co.jp