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BtoB企業が開催するウェビナーとそのポイント

本記事はNRIネットコム Advent Calendar 2021 4日目の記事です。
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初めまして、NRIネットコムで企業のデジタルマーケティング推進を担当している大久保です。私からはネットコムの他の方とは違った分野でのブログ記事投稿が出来ればと思います。

今回のテーマは「BtoB企業が開催するウェビナーとそのポイント」についてです。 対象読者はマーケター初心者や、突然上司からウェビナーをやったらどうかと言われた人、いつもウェビナーに参加しているけど裏側に興味がある人などを想定しています。

ウェビナーとは

ウェビナーとはウェブとセミナーの造語で、オンライン上で実施するセミナーのことを指します。ウェビナー自体は昔から存在していましたが、昨今のコロナ禍の影響で人の移動や対面営業、大規模イベントなどが制限されることにより、その代替手段として急速に台頭してきました。

企業がウェビナーを開催する際の役割はいくつかありますが、目的については大きく3つがあると思います。

  • 新規リード(見込み顧客)の獲得、ならびに既存リードの関心度向上
  • (既顧客の)顧客満足度の向上およびアップセルの獲得
  • 就職説明会等の実施で社員を増やす

この記事では1点目のリードの獲得について焦点を当てます。ちなみにマーケティング用語で見込み顧客のことを「リード」と言い、見込み顧客を獲得することを「リードジェネレーション」と言い、見込み顧客に対し継続的にコミュニケーションを取って購買意欲を高めることを「リードナーチャリング」と言います。

ウェビナーは数あるリードジェネレーションの手段の一つです。 f:id:h2-ohkubo:20211130190257j:plain

ウェビナーが広告と違うのは、申し込みというフェーズを経ることで参加者の個人情報を取得できる点にあります。 しかも、ウェビナーの参加者は少なからず自社製品・自社サービスに興味を持っている、より購入意欲の高い人(企業)であるため、商談につなげやすい特徴があります。 ウェビナーはセミナーのオンライン版なのでこのあたりの特徴はセミナーと似通っています。 f:id:h2-ohkubo:20211201111411j:plain

ウェビナーを実施するためのツールにはZoom、Webex、Teamsなど様々ありますが、弊社ではZoomを利用しています。

ウェビナーを開催する上でのKPI

BtoB企業の場合、ウェビナーをやって即商品購入につながることは少ないです。 理由はいくつかありますが、昔と違って企業の購買プロセスがしっかりしていること、商品の単価が高いことなどが挙げられます。

よく「ウェビナーをやっても成果が出ない(=売り上げが上がらない)」という声も聞きますが、BtoB企業にとってウェビナーはあくまでリードを獲得する手段であり、顧客を獲得する手段ではないことを抑えておく必要があります。 そのため、ウェビナー開催のKPIに売上アップを入れてしまうのは厳禁です。それをやってしまうと、マーケターの評価につながらないうえに、次回以降のウェビナー企画自体が中止に追い込まれてしまう可能性があります。 今回の記事では詳しく言及はしていませんが、売上の獲得にはリードを育てるためのリードナーチャリング施策が必要です。 f:id:h2-ohkubo:20211130190345j:plain

ウェビナー開催のKPIとしては、申込数、参加数、アンケート回収率、アンケートでの評価、次の施策に移行できた数 などがよいです。

ウェビナーを開催する上でのポイント

ウェビナー開催の効果を高めるためのポイントを挙げておきます。

申し込みの際に個人情報利用の承諾を得ておこう

獲得したリードに対して営業をかけたり、別のウェビナーを案内したり、メルマガを送るなどリードナーチャリングの施策を実施するためにも個人情報利用の承諾を得ることは必須です。ウェビナーを開催する際は、過去に獲得したリードにも案内を送ることで申込者を増やすことができます。

開催リマインダーメールを送ろう

人間うっかりしているもので、業務に集中していてウェビナーへの参加を忘れてしまった ということもよくあります。うっかり度合いは”セミナー会場への移動”という工程を経ないウェビナーの特徴も影響して高まってしまっています。 少しでもうっかりを防ぐ施策としてリマインダーメールは必須です。タイミングとしては3日前、前日、直前(~1時間前)の3回程度送るのがちょうどよいと思います。あまりに多いと鬱陶しいですし、少ないと見逃される可能性が高くなります。 リマインダーメールはタイトルだけで要件がすぐわかるとよく、参加方法(URLやパスワード等)が本文に記載されていると参加者に親切です。

ウェビナーの出口戦略をあらかじめ用意しておこう

ウェビナーを実際に開催するのは大変です。でも、「うまく開催できた」で終わらないようにしてください。せっかくウェビナーに参加してくれた方達も、終わった途端に興味を失ってしまい、売上につながるどころかコールドリードにステージダウンしてしまいます。 ウェビナー後に参加者が実施するアクションを用意してあげることで、商品に対する関心度を維持・高めることができます。 例えば、次のウェビナーの案内をする、製品試用の案内をする、相談会の案内をするなどです。 それぞれのリードで購入に対するステージが異なるので、同時に複数の出口施策を案内してもよいです。 最低限、参加お礼メールに商品説明のWebページの案内、営業担当者の連絡先通知だけでもやっておきましょう。

ウェビナーは録画しておこう

ウェビナーはあらかじめ録画されるように設定しておきましょう。開催時点で計画になかったとしても、後でオンデマンドコンテンツとして再活用することができます。他にも不参加者へのフォローに使うこともできますし、講演者なしのマーケターのみでウェビナーを開催できるようになります。 録画はメリットしかありません。

不参加者へのフォローをしてあげよう

ウェビナーを申し込んだにも視聴しなかった人は、興味を失ったのかもしれませんが、うっかり視聴を忘れていたり、どうしても外せない用事が申し込み後にできたかもしれません。開催側には不参加の理由を知ることはできませんが、せっかく獲得したリードです。捨ててしまうにはもったいないです。不参加者にはフォローメールを送ってあげましょう。

アンケート回答に対するバリューを提供しよう

ウェビナーはアンケートの回収率がリアルのセミナーに比べて低いです。気軽に参加できて、気軽に退室できる特徴も影響していると考えられます。ウェビナーのアンケート回答をお願いする場合は、アンケート回答に対するリターンを参加者に提供することでアンケート回収率を高めることができます。よくあるのが、アンケート回答者にウェビナーの講演資料を配布することです。他にも、回答者にグッズを送る、製品のサンプルを送付する、製品の試用版を提供するなどがあります。

何度もリハーサルをしよう

特にウェビナー運営側が初心者だった場合に必須です。実際の講演者がいなくても、段取りや配信のテスト、機材の確認は事前に実施できます。トラブルが発生した際のフォロー手順についても用意しておき、実際にテストしておきましょう。

マーケティングオートメーションツール(MAツール)との連携を検討しよう

集めたリードの活用や効率的な管理を実施するために、マーケティングオートメーションツールと連携することを検討してみてください。慣れていない最初のほうは失敗要因を減らすためにウェビナーツールのみで実施するやり方はありですが、ウェビナーの参加人数が増えてくると手運用ではだんだん厳しくなってきます。獲得したリードのナーチャリングを効率的に実施するためにもマーケティングオートメーションツールは有用です。マーケティングオートメーションツールにはSalesforce社のPardot、Adobe社のMarketo、HubSpot社のMarketing Hub、国産ではイノベーション社のListFinderなどがあります。マーケティングオートメーションツールは他にも多数あり、製品選定に悩むところがありますが、既にSFAを導入している会社では連携を考慮してPardotやMarketo、小さく始める場合にはMarketing HubやListFinder というように選び方のポイントはいくつかあります。

他にもありますが、今回はここまでで。 次回は「Zoomでウェビナーをやってみよう」編を書きたいと思います。

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