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    AWS環境構築時のIaCの実行基盤を「運用負荷」と「構築負荷」で比較してみた

    本記事は  IaCウィーク  3日目の記事です。
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    こんにちは、小山です。 IaCウィークということでIaCについて書こうかと思いましたが 詳しいことはほかのみんなが書いてくれてるので、実行基盤について書こうと思います。

    概要

    IaC(Infrastructure as Code)では「どの基盤でコードを実行するか」によって、運用のしやすさ・構築の手間が大きく変わります。
    ここでは、代表的な実行基盤を「運用負荷」と「構築負荷」の両面から整理します。

    詳細

    ローカル実行

    • 構築負荷: 低
    • 運用負荷: 高
    • 特徴
      • 環境構築が簡単で即座に試せる。
      • 他人の環境で動かないケースが多い。
      • ステートや認証情報の管理が煩雑。

    総評:
    個人開発の場合は良いかもしれませんが、チーム開発の場合は環境差異の発生や状態管理が煩雑化するため、運用負荷は高と設定しました。
    アクセスキー管理や、.aws/configureの設定等が必要なのも後述するCloudShellと比べて手間が増えます。
    そのため検証用途や開発途中のみと割り切っての使用なら良いと思います。

    ユースケース:
    検証・個人開発向け

    CloudShell

    • 構築負荷: 低
    • 運用負荷: 小規模システムの場合、低
    • 特徴
      • IAMロールで認証が自動化されている。
      • セッション上限・実行時間制限・永続ストレージ制約があるため大規模システムには不向き

    総評:
    個人利用や検証環境として最も手軽なツールだと思います。
    半面、開発者が増えた場合やシステムが大規模化した場合の運用は難しいと考えられます。
    そのため実稼働するシステムでの使用はやや難しいといえます。

    ユースケース:
    個人開発・検証向け

    GitHub Actions / GitLab CI(自前CI)

    • 構築負荷: 中〜高(ワークフロー設計・Secrets管理が必要)
    • 運用負荷: 中程度(パイプライン保守・環境変数管理)
    • 特徴
      • Gitリポジトリと連携して自動デプロイを構築可能。
      • AWSクレデンシャルやステートファイルの扱いに注意が必要。
      • 柔軟性が高く、他のCI/CDツールとの統合も容易。

    総評:
    構築にはある程度CI/CDの知見を持った人が必要であることから負荷は中~高と設定しました。
    構築してしまえばリリースに関わる作業がある程度自動化できることから運用負荷は中と設定しました。
    アプリもそうですが自動化基盤ができてしまえば、リリース作業が一気に楽になりますね。

    ユースケース:
    Pull Request駆動でインフラを安全に変更したい場合 IaC実行を自動化したい場合

    Jenkins / 専用EC2(オンプレ / 自前サーバ型)

    • 構築負荷: 高
    • 運用負荷: 高
    • 特徴
      • 高い自由度と細かい制御が可能。
      • 監査ログやプロキシ制御など企業向け要件を満たせる。
      • メンテナンス負荷が重く、運用チーム前提。

    総評:
    構築にはインフラ周りの知識(サーバ構築・権限・ネットワーク)が必要となることから構築負荷は高と設定しました。
    また、運用範囲もOSレベルからジョブ管理までのため高と設定しました。

    ユースケース:
    大規模組織やガバナンス要件の厳しい環境向け。 運用の自動化より管理性重視のシステムでの採用。

    Terraform Cloud (外部SaaS)

    • 構築負荷:低(SaaS初期設定中心)
    • 運用負荷:低(ステート・認証管理をSaaS側で処理)
    • 特徴
      • Gitリポジトリと連携して自動デプロイを構築可能。
      • AWSクレデンシャルやステートファイルの扱いに注意が必要。
      • 実行履歴・差分・drift検出が自動。

    総評:
    Terraformを活用する場合に限りですが、Terraform Cloudの活用もあります。
    SaaSのため構築や運用負荷が低い反面コストやIaCツールの固定化といったデメリットもあります。
    また、セキュリティの要件によっては使用できない場合もあるので注意が必要です。

    ユースケース:

    チーム・企業単位でTerraformを運用したい場合
    plan/applyの承認フローを自動化したい場合
    リモートステートやポリシー管理を一元化したい場合

    まとめ:目的別の最適選択

    実行基盤 構築負荷 運用負荷 冪等性 向いているケース
    ローカル実行 検証・構築途中
    CloudShell 個人開発
    CI/CD実行 PR駆動管理
    Jenkins / 専用EC2(オンプレ / 自前サーバ型) 大規模・高セキュリティ要求
    Terraform Cloud(外部SaaS) Terraformを組織単位で運用する場合

    結論

    IaCの実行基盤を選ぶ際は、「誰が」「どの頻度で」「どの範囲の権限で」実行するかを明確にすることが重要です。
    IaCそのものはあくまで手段のため、主語を明確にした活用が大事だと思いました。

    執筆者:小山
    AWSメインのクラウドエンジニア
    旅と海が好きなバックパッカー