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デジマウィーク2025 
2日目の記事です。
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こんにちは、佐藤(栞)です!
Web広告運用担当者の皆さん、広告パフォーマンスが悪化したときどのようにアプローチしていますか?
広告のパフォーマンスは外的要因や、見えない力による影響を受けやすく、コントロールが難しいですよね。
特に、運用初心者の方は「なぜ」の原因特定のやり方が分からなかったり、時間がかかったりしてしまうのではないでしょうか。(私も初めて運用を担当したときはそうでした…)
今回の記事では、広告パフォーマンスが悪化した際の原因特定の方法と原因に則した改善アプローチについて、運用初心者の方にもわかりやすいよう、具体的に解説していきます!
はじめに
広告運用において、迅速なPDCAサイクルを回すことは、成功への鍵となります。現代のデジタル広告市場は、目まぐるしく変化しており、昨日まで通用していた手法が、明日には通用しなくなることも珍しくありません。
このような環境下で成果を出し続けるためには、パフォーマンスの変動をいち早く察知し、原因を特定し、改善策を実行するという一連のプロセスを、いかにスピーディーに繰り返せるかが重要になります。このPDCAサイクルを遅らせてしまうと、競合に後れを取り、莫大な機会損失を招くことになりかねません。
この記事では、広告運用のパフォーマンス悪化の原因特定から具体的な改善アプローチまでを、よくあるケースに基づいて解説します。この記事が、あなたの広告運用をさらに一歩前進させるためのヒントとなれば幸いです。
【ケース1】クリック率の悪化
まずクリック率が悪化した際、クリック率の元となる数値は何かを考えてみましょう。
クリック率は、「クリック数÷表示回数」の計算式で求められますよね。
この計算式から、クリック率が悪化した際の要因として大きく、①クリック数が減少した ②表示回数が増加した のどちらかが考えられます。
この①②の仮説をそれぞれ立てたうえで、さらにその原因を追究していきます。
①クリック数が減少した場合
クリック率の減少が、クリック数の減少が原因だとした場合、「なぜ」減少したのかを掘り下げていきます。
- 特定の広告・キーワードでクリック数が減少した 
 該当の広告・キーワードのスコアが低下している可能性や、実際に検索されているキーワードと設定しているキーワードに乖離がある可能性が考えられます。
 (対策)広告文やキーワードのスコアの確認、棚卸・アップデートを行う
 下記画像ではGoogleの管理画面で、広告別の成果を一覧で見ています。
 広告のスコアが芳しくないものや、期間比較をした際に変動が大きいものに注目してみましょう。 また下記画像のように、広告のスコアに対し、対策候補に対する対応可否が確認することもできます。 また下記画像のように、広告のスコアに対し、対策候補に対する対応可否が確認することもできます。
 スコアがよくない広告に対し、具体的にどのようなアップデートが有効か参考にし、広告の質を上げていきましょう。 
- 特定の広告グループ・オーディエンスリストでクリック数が減少した 
 オーディエンスの傾向や、ユーザーの動向に変化がある可能性が考えられます。
 (対策)予算配分最適化や、リストの最新化を行う
- 特定の日にち・期間にクリック数が減少した 
 競合他社の取り組みや、世の中の出来事・シーズナルなイベント等の影響を受けている可能性が考えられます。
 (対策)勝負する期間なのか、しない期間なのかを判断する。またその後の類似イベント期間に予め対策が取れるよう準備を行う
②表示回数が増加した場合
クリック率の減少が、表示回数の増加が原因だとした場合、同様に「なぜ」増加したのかを掘り下げていきます。
- 表示単価が低下して表示回数が増加した
 表示単価が安価な広告グループや配信面・キーワード等に配信ボリュームが寄っていった場合に、表示回数が増える場合があります。
 ただし、表示回数とクリック数は必ずしも連動して増加していくわけではないため、クリック数は余り増加せず表示回数だけ増加した際にはクリック率は減少していきます。
 プラットフォーム側のアップデートが関係している場合もあるため、アップデート情報の確認も定期的に行いましょう。
 過去にある媒体のセグメントの指定条件が「AND」だったところ、「OR」に変更されたというアップデートがありました。これに伴い表示対象となるユーザーがかなり増加し表示回数は増えたものの、クリック確度の低いユーザーにも広告表示されるようになったことで、クリック率が下がった、という事例もあります。
 また広告は、広告スコアが良好なものや、入札戦略上成果が見込めるものに配信が寄っていきます
 クリック率は低いものの、広告スコアが良好であったり、コンバージョン獲得が見込める広告であればその広告の配信ボリュームが増加し、表示回数が増加・クリック数はあまり増加しない、ということも起こりえます。
 表示回数が増加しているのにクリック数が増加しない場合は、「①クリック数が減少した場合」の対策も合わせて広告の質のアップデートを行うことも必要です。
 (対策)ターゲット・配信面の変更/広告スコアの見直し等を行う
【ケース2】単価の悪化
表示単価やクリック単価、コンバージョン単価などの指標が悪化した場合、基本的な考え方はケース1と同様で、その単価を構成する数値の変動要因を深堀していく流れとなります。
ケース1で記述した以外の、単価が高騰した際の対策として、入札単価の調整も有効です。
①目標単価の設定
目標単価とは、「平均してこのくらいの単価でコンバージョンを獲得したい」という目標を設定するものです。
入札システムが、設定した目標単価に平均で収まるように、オークションごとに最適な入札額を自動的に調整します。
成果を最大化するために、目標単価を上回る入札を行うこともあれば、下回る入札を行うこともあります。
例えば、コンバージョンにつながる可能性が高いと判断されたユーザーには、目標単価を超える入札をしてでも、積極的に広告を配信しようとします。逆に、コンバージョンにつながりにくいと判断されたユーザーには、低めの入札を行います。
そのため日によっては目標単価を大きく上回る可能性がありますが、全期間で見た時に目標の単価内でコンバージョンの最大化を目指すことができます。
②上限単価の設定
「コンバージョン獲得のために、1件あたりこれ以上の費用はかけない」という上限を設定するものです。
設定した上限金額以上の入札は絶対に行わないので、平均コンバージョン単価は設定した上限単価を下回る傾向にあります。
システムが自動的に入札額を調整する際も、この上限単価を超えることがないため費用コントロールがしやすく、予算が限られている場合に有効ですが、機会損失が発生しやすいデメリットもあります。
【ケース3】クリエイティブの摩耗
クリエイティブの摩耗とは、同じ広告クリエイティブを長期間、同じターゲットに繰り返し表示し続けた結果、広告効果が徐々に低下していく現象のことです。
これによりクリック率の低下やコンバージョン率の低下、表示単価の高騰といった変化が起こります。
①フリークエンシーの過剰の場合
同じユーザーに同じ広告が繰り返し表示されると、ユーザーは飽きと嫌悪感を抱き、クリック率やコンバージョン率の低下に繋がります。
(対策)フリークエンシー上限を設け、過剰な接触を避ける
⇒媒体によって推奨フリークエンシーは様々ですが、5回前後を推奨とされているものが多いです。
②ターゲットオーディエンスの飽和が起きている場合
広告配信を続けると、そのクリエイティブに反応してくれる可能性の高い、いわゆる「濃い」ターゲット層にはほぼリーチし尽くしてしまいます。
配信を続けても、すでにコンバージョン済みのユーザーや、そのクリエイティブには興味がないユーザーにばかり表示されるようになり、結果として広告効果が低下します。
(対策)ケース1の内容とも重複しますが、オーディエンスのアップデートや類似ユーザーへの拡張を行う
③メッセージやビジュアルの陳腐化
社会のトレンドやユーザーの関心は常に変化しており、配信開始当初は新しかったクリエイティブも、時間が経つと古臭く見えてしまうことがあります。
例えば、「クリスマスセール」のクリエイティブを1月以降も配信し続けるようなケースです。キャンペーンが終わったにもかかわらず、古いメッセージの広告が表示され続けると、ユーザーは違和感を覚え、クリックしなくなります。
(対策)ケース1の内容とも重複しますが、広告文のアップデートや、トレンドにあったクリエイティブへの差し替えを行う
まとめ
広告運用において、パフォーマンス悪化の原因特定と改善は迅速なPDCAサイクルを回す上で不可欠です。
本記事で解説したように、クリック率や単価の悪化は、クリック数や表示回数の変動、または入札単価の設定といった複数の要因が考えられます。
また、クリエイティブの摩耗は、同じ広告を繰り返し見せることによる飽きが原因で、フリークエンシーの管理やクリエイティブの定期的な更新が重要になります。
これらの原因を一つひとつ丁寧に分析し、適切な対策を講じることで、広告のパフォーマンスは改善されます。
この記事が、皆さんの広告運用における課題解決の一助となれば幸いです。
