NRIネットコム社員が様々な視点で、日々の気づきやナレッジを発信するメディアです

注目のタグ

    AWS Summit Japan 2026に行ってきた。AIエージェントが「働く相棒」になりつつある話

    はじめに

    2026年6月に幕張メッセで開かれたAWS Summit Japan 2026に、現地まで行ってきました。この記事では、会場で見たものや感じたことを振り返りながら紹介します。

    AIの進化は凄まじく、資料や記事を読んでいるだけではAIの進化に追いつけないと感じていました。そこで、今AIがどのように使われているのかを自分の目で確かめたいと思い、AWS Summitに現地参加しました。

    行ってみて思った第一印象は、AIエージェントの勢いがとにかくすごかったこと。そしてもうひとつ、AIが「作る道具」から「一緒に働く相棒」に変わってきているな、という感触でした。


    会場で見たトレンド

    Physical AI

    会場でまず驚いたのが、Physical AIでした。

    Physical AIの登場に至るまで、AIがどのように進化してきたのかを振り返ってみます。ここまでのAIの進化を、大きく3つの段階に分けて整理しました。

    • LLM:LLM(Large Language Model)は大規模なテキストデータを学習した言語モデルです。これにより、人とAIが自然な文章で対話できるようになりました。
    • マルチモーダル:マルチモーダルとは、テキストだけでなく、画像や音声、動画など複数の種類の情報を扱うことができるAIの仕組みです。これにより、AIがより多くの情報を理解し、人間に近い形でやり取りや分析を行えるようになりました。
    • Agentic AI:Agentic AIとは、人間から与えられたゴールや目的に対して、AIが自ら計画を立て、必要なツールを活用しながらタスクを実行する仕組みです。これにより、人間が細かい手順を指示しなくても、AIが自律的に作業を進められるようになりました。

    3つ目のAgentic AIが、会場ではPhysical AIとして物理的に動いていました。

    ここで、Physical AIがどのような技術なのかを簡単に説明するとAWSはPhysical AIを、ハードウェアを通じて物理世界を知覚し、ソフトウェアで理解・推論し、また物理世界に働きかける技術だと説明しています(Physical AI — AI エージェントが現実世界で「見て、考えて、動かす」自律オペレーションの実現)。

    展示では、人型のロボットが人の腕のような動きで物を掴んだり並べたり、犬型の四足歩行のロボットがバランスを取りながら歩き回っていました。画面のなかの話だと思っていたAIエージェントが、目の前で物として動いていました。。狙った場所にぶれずに物を置き、ふらつかずに歩くような動きは、あらかじめ学習させて身につけたものだそうです。もとになるデータをAmazon S3に保存し、Amazon SageMakerで学習させ、仕上げた動きをAWS IoTで現場のロボットで動かせる。このような裏側の動きをAWSのサービスが支えているそうです。こんな動きの裏で、AWSが使われていると思うと、素直に感心しました。

    人型ロボット
    四足歩行のロボット

    主役は、AIエージェント

    会場の主役は、AIエージェントでした。これは数字にも出ていて、全167のブレイクアウトセッションのうち約半数の83、割合にして49.7パーセントがAIエージェント関連だったと、日経xTECHが報じていました。

    私自身も、AIエージェントの本番展開をテーマにしたセッションに参加しました。

    本番展開を見据えて:エージェンティックAIに対する実践的アプローチ

    ここでは、AIエージェントを評価する手法が3つ紹介されていました。

    評価のための3つの手法を示すスライド

    • LLM as a Judge:出力の良し悪しをLLMに採点させる。
    • BYO(Bring Your Own Model/App):評価する側が自分たちのモデルやアプリを持ち込んで評価する。
    • AgentCore Evaluations:開発者が、AWSの用意した評価機能を使う。

    3つ目のAgentCore Evaluationsは、AIエージェントの応答品質や安全性、タスクの達成度を測るための仕組みで、Amazon Bedrock AgentCoreの機能の一部です。AgentCoreは2025年10月に、AgentCore Evaluationsは2026年3月に提供が開始され、東京リージョンでも利用可能です。

    会場で目立っていたのは、AIの評価と観測だったと思います。出力が正しいかを測り、動きを見張る。AIの評価と観測を適切に行うための運用に、関心が集まっていました。派手なデモよりも運用の話が主役だった、というのが個人的な考えです。

    印象に残ったセッション

    Agentic Football Cupで「指示」と「自律」を遊びながら体感する

    Agentic Football Cupの対戦画面

    一番面白かった体験デモが、Agentic Football Cupです。自分がAIエージェントのチームを「監督」として率いて戦う、5対5のサッカーでした。使われていたのは、Amazon Bedrock AgentCoreとStrands Agents SDKだそうです。

    仕組みとしては試合中に、戦略をプロンプトとして渡す。そして、5体のエージェントがそれぞれ状況を見て自分で動くというものでした。

    最も印象的だったのが、AIエージェントに指示を出しても、その通りに動くとは限らない、という点でした。たとえば、「攻撃を始めろ」、「守備を固めろ」と戦略で伝えても、その通りにしない選手がいる。選手たちに指示を出し、その動きを見守ることで、実際の監督になっているような気分でした。これが「指示」と「自律」というエージェントの特徴であると感じました。渡すのはゴールや方針で、実際にどう動くかはエージェントが決める。遊びながら理解できたのが、個人的には一番の収穫でした。

    Amazon Quickを使って、現場の人が自分で自動化を組める

    「現場が変わる!Amazon Quickで挑む業務自動化のリアル」のセッション

    もう一つ印象的だったのが、Amazon Quick(旧Amazon QuickSight)についてのセッションです。Amazon Quickとは、BIと生成AIと自動化をまとめた、業務のための基盤です。

    Quick Flowsを活用した定型業務の自動化のデモ構成

    この日のデモで見たのが、Quick Flowsという機能でした。「毎週月曜に売上レポートを作って共有する」といった定型業務を、丸ごと自動でやってくれる。データを取り込んで、分析して、レポートを作って、チャットに流すところまで一気通貫でした。 印象的だったのは、専門のAIチームや深い知識がなくても、現場の人が自分で自動化を組めるところでした。「明日から使えそう」という手触りがあって、新鮮でした。

    でも、そんなに簡単じゃない

    もちろん、良い話ばかりではありませんでした。会場では、AIエージェントを実際に運用するうえで直面する課題も多く取り上げられていました。特に重要だと感じたのが、費用、精度、セキュリティの3点です。

    • 費用:エージェントは動かし続けるほど利用料が発生します。作って終わりではなく、運用し続けることを前提に設計しておかないと、気づかないうちに利用料が積み上がってしまう。ここは正直、こわいところだと感じました。

    • 精度:会場でいちばん語られていたテーマだと感じました。AIはそれらしく間違える。だから評価で確かめる。この話が、特に目立っていたと思います。

    • セキュリティ:特に印象に残ったのが、AIにどこまで権限を与えるかという点です。必要以上の権限を与えず、人と同じように、AIにも必要最小限の権限だけを与えることが重要だと感じました。

    自分は、こう向き合う

    では、自分はどうするか。結論から言えば、相棒として使う。ただし最後の判断は人間が残す、です。

    この「相棒」という言い方は、AWSも、AIを「可能性を広げる相棒」と表現していました。

    会場で評価や運用の話を聞くほど、精度はモデル任せにできない、と思うようになりました。

    そしてAIとの向き合い方は、普段のアカウント管理とまったく同じでした。誰に、どこまで権限を渡すか。任せるところは任せて、それでも手綱は自分が握る。この考え方を、これからAIを使うときも大事にしていきたいと今回のAWS Summitに参加して、思いました。

    会場では、誰もがAIを使うことを前提に話していました。その熱量に圧倒されて、参加する前よりも「自分もAIを使いこなせるようにならないと」という気持ちが強くなりました。


    出典

    執筆者:山田翔也 システムエンジニア