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    AWS vs Google Cloud 機械学習・AIサービス比較ガイド 〜初心者が迷わないためのロードマップ〜

    本記事は  AI・MLウィーク  4日目の記事です。
    💻  3日目  ▶▶ 本記事   📱

    はじめに

    AWSとGoogle Cloud、結局どっちのサービスを使えばいいの?という疑問に対し、結論は以下の通りです。

    • AWSを選ぶべき人: 既存のAWS資産(S3等)を活用したい、あるいは特定のモデル(Claude等)をセキュアに使いたい「堅実派」
    • Google Cloud (GCP)を選ぶべき人: 「Gemini」を使い倒したい、あるいはインフラ設定を極力省きたい「スピード・精度重視派」

    【逆引き】やりたいこと別・サービス対応表

    初心者が「名称」で混乱しないよう、機能ベースで比較して表にまとめてみました。

    やりたいこと AWS サービス名 Google Cloud サービス名 特徴の差
    統合開発環境 Amazon SageMaker AI Vertex AI 多機能なAWS vs 直感的なGCP
    最新の生成AI (LLM) Amazon Bedrock Vertex AI (Gemini) 複数モデルのAWS vs Gemini特化のGCP
    画像から物体を検知 Amazon Rekognition Cloud Vision API セキュリティ用途のAWS vs 検索技術のGCP
    音声の書き起こし Amazon Transcribe Cloud Speech-to-Text 放送・通話に強いAWS vs 多言語に強いGCP
    テキストの多言語翻訳 Amazon Translate Cloud Translation シンプルなAWS vs 翻訳エンジン最強のGCP
    企業内検索 (RAG) Amazon Kendra Vertex AI Search 業務文書検索のAWS vs 検索エンジン技術のGCP
    顧客への推薦機能 Amazon Personalize Vertex AI Search (Recommendations) Amazon.comの実績 vs Googleの推薦アルゴリズム
    チャットボット構築 Amazon Lex Dialogflow 連携重視のAWS vs 会話デザイン重視のGCP

    サービス名称の「覚え方」のコツ

    初心者の方が一番苦労するのが「名前が覚えられない」という点です。以下のルールを知っておくと整理しやすくなります。

    AWS:機能説明型(動詞・名詞)

    AWSは、そのサービスが「何をするか」を英語にした名前が多いのが特徴です。

    • Rekognition(Recognition:認識)
    • Comprehend(理解する)
    • Transcribe(書き起こす)
    • Translate(翻訳する)
    • Personalize(個人化する)

    Google Cloud:ブランド・概念型

    Google Cloudは、「プラットフォーム名 + 機能」という構成が多く、シンプルです。

    • Vertex AI(頂点:すべてのAIを統合する場所)
    • Cloud Vision / Speech / Translation(そのままの名前)
    • Gemini(Googleの最強モデルブランド名)

    主要サービスの深掘りと選定の根拠

    ① 統合プラットフォーム:SageMaker vs Vertex AI

    本格的に機械学習を始めるなら、これら「全部入り」プラットフォームのどちらかを使うことになります。

    • Amazon SageMaker AI:
    • 根拠: モデルの学習からデプロイ、運用(MLOps)まで、100以上の機能が統合されています。特に「SageMaker Studio」は、IDE(統合開発環境)として非常に強力です。

    • Vertex AI:

    • 根拠: 「AutoML」機能により、データの準備だけでAIが自動でモデルを作ってくれる機能が非常に優秀です。初心者でも数クリックで高精度なモデルが手に入ります。

    ② 生成AIの最前線:Bedrock vs Gemini

    2026年現在、最もホットな比較ポイントです。

    • Amazon Bedrock:
    • 選ぶ理由: 「特定のモデルに依存したくない」場合に最適です。Anthropic社のClaude、Meta社のLlama、そしてAmazon独自のTitanなど、世界中のモデルを「選んで」使えます。

    • Vertex AI (Gemini):

    • 選ぶ理由: Googleの「Gemini」モデルをネイティブに扱える点です。動画や画像をそのまま入力できるマルチモーダル性能は、現時点で業界最高水準です。

    最初の1歩:初心者はどこから触るべき?

    まずは以下の「マネージドサービス(APIを叩くだけ)」から体験するのがおすすめです。

    1. AWSの場合: Amazon Bedrock のプレイグラウンドが一番手軽です。コンソールからテキストを入力するだけで、AIの回答が得られます。

    2. Google Cloudの場合: Vertex AI Studio で「Gemini」を触ってみてください。画像や動画をアップロードして、AIに説明させることができます。

    おわりに

    AWSとGoogle Cloud、どちらも甲乙つけがたい進化を遂げています。 エンジニアとしては、「すでに使っているクラウド環境はどちらか?」「特定のLLMモデルを使いたいか?」の2点で判断するのがよいと思います。

    まずはどちらかの無料枠を使って、APIを1回叩いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

    参考文献(公式ドキュメント)

    執筆者:小野内 貴啓

    LinkedIn

    2022年キャリア入社。猫好きのデータエンジニア(インフラエンジニア)です。
    ユーザ系SIerや独立系SIerでオンプレ・AWSメインのインフラ運用保守エンジニアを経て現職。
    Google Cloud+AWSインフラ担当。