はじめに
お久しぶりです。橋本です。つい先日までラスベガスで開催された「Google Cloud Next 2026」に参加していました。
本ブログでは、その中でも注目していたセッション「What's new with data agents」について報告します。

1日目の BigQuery の最新情報に関するセッションについては、過去記事を参照ください。 tech.nri-net.com
1日目の基調講演で「エージェント時代(Agentic Era)の到来」と紹介されていたように、データ分析の分野でも、エージェントが自ら状況を理解し、必要に応じて能動的に行動する仕組みが求められています。今回のセッションでは、AIエージェントを実運用で活用するための土台が整いつつある印象を受けました。
一般提供(General Availability)になった注目機能
昨年からプレビュー版として提供されていた以下の機能が、一般提供となりました。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| Data Engineering Agent | 自然言語による指示からデータの取り込み・変換・パイプライン構築およびトラブルシューティングを支援 |
| Data Science Agent | 自然言語からデータ探索・特徴量生成・機械学習モデルの構築および評価を支援 |
| Conversational Analytics for BigQuery | 自然言語による対話を通じてBigQuery上のデータ分析や予測・要因分析などの高度な分析を支援 |
| Conversational Analytics for Looker | Lookerに接続された各種データソースに対して自然言語でアクセスしガバナンスを保ったデータ分析を支援 |
| Conversational Analytics API | 自然言語による対話型データ分析機能をAPIとして提供し、アプリケーションへの組み込みを支援 |
また、その他にも一般提供された機能のうち、特に興味深かった機能を紹介します。
BigQuery tools for custom agents
開発者が独自のデータエージェントを構築するための基盤として、「BigQuery ADK Integration」「BigQuery MCP Server」「MCP Toolbox」の3つの機能が一般提供化されたことが紹介されました。
これにより、独自で開発したAIエージェントからBigQueryのデータに直接アクセスできるようになり、データの取得や分析処理を一連の流れの中でスムーズに扱えるようになります。従来は、データベースに接続するための設定やプログラムを個別に用意する必要がありましたが、そうした準備を意識せずにエージェントを開発できるようになった点が大きな特徴です。
とくにBigQuery向けのフルマネージドなMCP(Model Context Protocol)サーバーの提供により、インフラ管理や接続設定を意識することなく、エージェントからBigQueryのデータへ直接アクセスできるようになりました。これにより、開発者はデータ接続の仕組みではなく、エージェントのロジックやユースケースの設計に集中できるようになります。
セッション内でも、過去6ヶ月でBigQuery MCP関連のジョブ数が20倍に増加したと紹介されており、エージェントを介してBigQueryを活用するユースケースが急速に広がっていることが示されていました。

BigQuery Agent Analytics Plugin
AIエージェントの利用状況やパフォーマンスを可視化するための「BigQuery Agent Analytics Plugin」も一般提供されました。
この機能を使うことで、エージェントがどのように利用されているのかをBigQuery上に記録し、応答にかかる時間や処理量、ユーザーの利用傾向などを分析できるようになります。これにより、エージェントを導入して終わりではなく、実際の利用状況をもとに改善を続けていくことが可能になります。
また、複雑な設定を行うことなく、簡単なコード追加だけでこれらのデータを収集できる点も特徴です。収集したデータはそのままBigQueryで分析できるため、運用状況の把握から改善までを一貫して行える仕組みが提供されていると感じました。

プレビュー版として発表された注目機能
BigQuery Assistant
BigQuery上でのデータ操作をより簡単にするための機能として、「BigQuery Assistant」も紹介されました。
この機能を使うことで、クエリの作成や修正、最適化といった作業を自然言語でサポートしてもらえるようになります。たとえば、エラーが出ているクエリの修正や、処理速度を改善するための書き換えなどを、指示するだけで実行できる点が特徴です。
実際のデモでは、BigQueryの画面上に表示されたチャット欄を通じて、入力中のクエリに対してエラー箇所の修正やパフォーマンス改善の提案がリアルタイムに提示される様子が紹介されていました。毎回クエリをチャット欄に貼り付けたり、テーブルやスキーマ情報を事前に説明したりする必要がなく、そのままの作業画面でやり取りできる点も印象的でした。これにより、クエリ開発のハードルが大きく下がり、よりスムーズに分析作業を進められるようになると感じました。

Google Cloud Data Agent Kit
開発者がAIエージェントをより簡単に構築・活用できるようにするための機能として、「Google Cloud Data Agent Kit」が紹介されました。
この機能を利用すると、VS Codeなどの開発環境上でデータの探索や分析、パイプラインの構築といった作業を一つの画面でまとめて実行できるようになります。自然言語で指示を出すだけでデータの確認や処理が進むため、従来のように複数のツールを行き来する必要がなくなります。
また、エージェントがデータの内容を理解しながら処理を進めるため、開発者は細かい実装よりも「何を実現したいか」に集中できるようになる点が大きな特徴です。

Agentic Workflows
AIエージェントの活用をさらに一歩進める機能として、「Agentic Workflows」も紹介されました。
この機能により、単に質問に答えるだけでなく、データの変化をきっかけにエージェントが自ら動き、分析からレポート作成までを自動で実行できるようになります。たとえば、売上や重要な指標に変化があった場合、その変化を検知して原因を分析し、その結果を分かりやすくまとめたレポートを自動的に作成・配信するといった一連の流れを任せることが可能です。
従来のように「エージェントを使って必要なときに人が分析する」のではなく、あらかじめ設定しておくことで、エージェントが継続的にデータを監視し、必要に応じて自律的に処理を行う点が特徴です。こうした仕組みによって、分析業務はよりリアルタイムかつ継続的なものへと変わっていくと感じました。

まとめ
これまでプレビュー版であったことから、エージェントの導入を見送っていた方にとっては、今回の発表は待ち望まれていたものだったのではないでしょうか。導入のハードルが下がったことで、今後はエージェントの活用が前提となる時代に入っていくのではないかと感じました。
一方で、エージェントに適切な分析を行わせるためには、集計指標の定義やメタデータの整備といった基盤づくりも欠かせません。他のセッションでは「Knowledge Catalog(旧 Dataplex Universal Catalog)」を活用したメタデータ管理についても紹介されており、このあたりも含めて引き続きキャッチアップしていきたいと思います。