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    【Google Cloud Next 2026 in Las Vegas】Day 1 現地参加レポート ~ エージェント時代の BigQuery ~

    はじめに

    現在、ラスベガスで開催されている Google Cloud Next 2026 に現地参加しています。 昨年度に続き、マンダレイの会場のエスカレーターは、手すりと足場の速度が微妙に違うので、手すりにつかまりづらいなあと思いながら、今年もこの場所に戻ってきたことを実感します。

    さて、会場を歩いていて、今年の Next はとにかく「AI」「エージェント」が前提になっていることを強く感じます。 今回は、昨年度もレポートした「What's new in BigQuery」というセッションについて報告します。 BigQuery はこれまでも進化し続けてきましたが、今回は BigQuery の役割そのものが変わろうとしている感覚があり、単なるデータウェアハウスの最新アップデートというより、エージェントが動くための土台を丸ごと作りにきた。そんな印象のセッションでした。

    BigQuery の在り方

    セッション全体を通じて繰り返し語られていたのが、データ活用の前提が変わりつつあるという話です。 これまでは、人がレポートやダッシュボード上のデータを見て、判断して、動く、というサイクルが当たり前でした。

    エージェントが自律してデータをもとに原因を考え、次のアクションを提案したり、場合によっては実行までを担うエージェント中心の世界観がセッションの軸にありました。 とはいえ、エージェントが好き勝手に動いたら業務に支障があるわけで、だからこそ重要になるのが、エージェントの脳となるデータ基盤です。 BigQuery は単なるデータの保存場所ではなく、ビジネス文脈を踏まえ、構造化データも非構造化データもまとめて扱うことで、エージェントや AI の効果的な使用を支える存在になっていくことを感じました。

    パフォーマンスとコスト

    基盤の話として最初に触れられていたのが、BigQuery のパフォーマンス改善です。 この1年でクエリ性能が35%向上し、レイテンシも40%削減されたとのことで、数字としてもかなり大きな改善です。 感覚論にはなりますが、確かに昨年と今年の BigQueryを比較すると、安く早くなっていると思います。

    また、課金についてもアップデートがあり、新しく GA された「Fluid Scaling」は、「必要なときに必要な分だけ使って、その分だけ払う」という内容でした。変動の激しいワークロードでも秒単位での課金が実現され、平均で34%以上のコスト削減が見られたケースもあるとのことでした。

    SQL で AI を使う:TabularFM と TimesFM の進化

    BigQuery 内で使用できる AI の進化も、今回の見どころのひとつでした。

    今回新たに Preview として公開されたのが、構造化データ向けの基盤モデル「TabularFM」です。大規模な特徴量選択やモデルのトレーニング・管理を必要とせず、回帰や分類といった処理を高品質に実行できます。データを外に出してモデルを作る必要がなく、分析の延長線上でそのまま AI を使える形で、内部ベンチマークでは既存のカスタムモデルより精度が出るケースもあったとのことでした。

    また、昨年ご紹介した時系列予測モデル「TimesFM」は、GA となり Google スプレッドシートでも利用できるようになりました。データに詳しくないビジネスユーザーでも予測分析に触れやすくなっています。異常検知については Preview として提供が始まっており、予測系の分析ハードルがかなり下がっています。 分析と機械学習を別物として捉える感覚が、少しずつ薄れていっており、SQL を書いているつもりが、気づいたら AI を使っているような世界線が見えてきました。

    非構造化データを SQL で扱う:AI.PARSE_DOCUMENT と Optimized Mode

    非構造化データまわりの進化も、実務的にはかなりありがたい内容でした。 ObjectRef 型が GA されたことで、テーブルの中に構造化データと非構造化データを並べて持てるようになります。これまでのように、テキストやドキュメントだけ別のパイプラインで処理して、後から結合してから分析するという手間がなくなります。

    今回特に驚いたのが、「AI.PARSE_DOCUMENT」(Preview)です。OCR、レイアウト解析、チャンク分割をまとめて自動化する単一の関数で、複雑なドキュメント処理を簡単に実現します。たとえば、BigQuery のテーブルに PDF への参照を持たせておき、「AI.PARSE_DOCUMENT」でそのまま内容を抽出したうえで、「AI.CLASSIFY」で自動分類する、といった処理が SQL だけで完結するようになります。契約書などのドキュメントの仕分けや、レポートの自動タグ付けといったことに応用できそうですね。

    さらに、大規模なデータに対して AI 処理を走らせる際のコストを抑える「Optimized Mode」(Preview)も発表されており、内部ベンチマークではトークン使用量が最大230分の1になったケースもあるとのことです。これまで「大量データへの AI 処理の実行はコストが増えそうで怖い」という感覚があり、課題だったと思いますが、これを解消するような発表でした。

    Graph で「なぜ」に答える:Measures と Conversational Analytics の連携

    BigQuery Graph の話も、Agentic AI という流れの中では欠かせないポイントでした。 複雑なリレーションを扱うために別途グラフDBを用意しなくても、BigQuery の中でそのまま関係性を表現できるようになります。GQL(グラフクエリ言語)を使って関係性をたどったり、不正検知やユーザー行動の追跡といったユースケースにも対応できます。

    さらに今回発表されたのが、グラフの中にビジネスロジックや指標(Measures)をネイティブで直接定義できる機能(Preview)です。分析指標とデータ間のリレーションシップを一つのエンティティとして統合することで、エージェントが単なる集計結果だけでなく、「なぜ売上が下がっているのか」「なぜ顧客が離れているのか」といった問いに対して、文脈を持ちながら答えられるようになります。

    また、この Graph は Conversational Analytics のナレッジソースとしても活用できます(Preview)。Conversational Analytics Agent が生のテーブルではなく、ビジネスの構造や指標の定義をグラフとして参照しながら回答を組み立てることで、回答の精度や信頼性が大きく変わります。

    エージェントが「なんとなく答える」のではなく、「根拠を持って答える」ための土台として、Graph の重要性はこれからどんどん増していくと感じました。私も、本格的に Graph の理解と活用をしていかないと、置いて行かれそうだなと思いました、、

    Lakehouse と Catalog Federation:データの置き場所を問わない世界へ

    Apache Iceberg に対するマルチステートメントトランザクションを含む「Managed Iceberg tables」が GA され、財務系の更新処理や GDPR 対応のようなユースケースでも安心して使えるようになりました。

    また、他クラウド(AWS・Azure など)上のデータに対しても BigQuery の性能や AI 機能をそのまま使える「Cross-Cloud Lakehouse」(Preview)も発表されました。データを移動させずに BigQuery のクエリエンジンや AI 処理を当てられるというのは、マルチクラウド環境を持つ企業にとっては意味の大きい話だと思います。

    さらに、AWS Glue、Databricks、SAP、Salesforce、Snowflake といった主要なデータソースにまたがって、データの探索・分析・ゼロコピー共有が可能になる「Catalog Federation」(Preview)には驚きました。これまでは「データがどこにあるか」を意識しながら設計する必要がありましたが、カタログレベルで横断的につながることで、置き場所を気にせずに分析できる世界観になってきています。

    エージェントは「構想」から「実用」へ

    昨年のセッションでは、データエージェントについて「こういう方向に進んでいく」という構想として語られていました。それが今年は、実際に機能として提供され GA になったことに感動しています。

    エージェントの対象ユーザーはそれぞれに合った形で整理されています。データエンジニア向けには「Data engineering Agent」(GA)、データサイエンティスト向けには「Data science Agent」(GA)、そしてビジネスユーザー向けには会話形式でデータに質問できる「Conversational Analytics」(GA)。「同じデータ基盤の上で動きながら、使う人に合った入り口が用意されている」「昨年は『こうなるといいね』という話だったものが、今年は『これが使えます』という話になっていた」これらの変化が、このセッションで一番実感できた部分でした。その変化が、このセッションで一番実感できた部分でした。

    特に「Conversational Analytics」は、BigQuery Studio での利用に加えて、Data Studio(※)や Gemini Enterprise からも使えるようになっており(Preview)、ビジネスユーザーが普段使っている環境からそのままアクセスできる間口の広さも整ってきています。 ※旧名称「Looker Studio」日本語名称「データポータル」

    まとめ

    今回のセッションを通じて感じたのは、BigQuery が「Agentic AI の基盤」になろうとしているということです。 SQL、AI、Graph、Lakehouse、そしてエージェント体験。 それぞれが別々の機能として追加されたのではなく、ひとつの流れとして設計されているような、一貫性を感じました。 データを集めて、見て、終わりではなく、その先の行動まで見据えた基盤を作ろうとしていることが、随所から伝わってくるセッションでした。

    皆さんの現場では、データはどこまで活用できていますか。レポートを見て終わっている部分が、まだ残っていないでしょうか。 今回の BigQuery の進化は、その一歩先を考えるきっかけになる内容だったと思います。 私も、セッションを受けて、BigQuery の新機能を活用して、今後のデータの活用方法を改めて見直そうと思います。

    執筆者松村 賢

    ジブリが好きなデジタルマーケティングコンサルタント