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ここにもUXデザイン 〜年の瀬に思い出すプレゼントと要件定義〜

本記事は NRIネットコム Advent Calendar 2022 25日目の記事です。
🎁 24日目 ▶▶Merry Christmas!! 🎄

公開が12月25日という事でアドベントカレンダーの締めに回っております。長田です。
今年の25日は日曜日だった事もあり、こちらを読まれている方は週も明けて年越しモードに入られている頃でしょうか。

お忙しい時期に合わせて今回はよりライトな内容ですので、お忙しい合間の息抜きにでもご一読ください。

事前調査は大事です

みなさん、クリスマスにはプレゼントを誰かに贈り・贈られましたか?

お子様向けにはあくまでもサンタさんがプレゼントを贈ってくれますが、年齢が高くなった子には何が欲しいか探りを入れたり、パートナーからは先手を打たれて欲しいモノを告げられたりしたでしょうか。

事前に得た情報からプレゼントを準備し、贈るという形では、贈られた方も希望のモノを手に入れられた事に喜び、テンションも上がったかと思います。

ただちょっと意地悪く言うとそこに驚きのような体験、良い意味で期待を裏切る展開はあまり無かったかも?何故なら贈られたモノを得た後の体験設計は受け取る側に委ねられていて、嬉しさも当人のモチベーション次第という感じにはなりますよね。

これは贈る側としては楽なんですが、何年も続けているとなんだか手続き的で、年イチのイベントとしては味気なく感じたりもしちゃいます。

欲しいモノと要件定義

このように既に世の中にあるモノを贈るならば、手配さえすれば準備はできますが、何かを新たにつくる必要があればそうお気楽な感じでは居られません。

以前もUXデザインを贈り物に例えてブログを書いていますが、何をつくるかを決める事はシステム開発における要求事項と要件定義の関係に似てきます。

まだ世に無いモノをつくるには依頼者の要求の噛み砕きが必要で、言われるがままに飲み込んで、ただシステムを開発しても正しく機能させるのは難しいはずです。

プレゼントのように依頼者からしっかりと、「こうなりたい」「こう使いたい」という方向性が示されれば良いのですが、そこにさして強いモチベーションも無かったりすると、出来上がってから、「イメージしていたのとなんか違うんだけど?」なリアクションを戴きかねません。

そんな時、「言われた通りに作ったのに!」と喉まで出かかる気持ちも解りますし、私自身も過去にそういう経験は正直一度や二度では無かったりします。

そんなすれ違いを防ぐ為には要件定義の段階でUXデザインが当たり前に取り込まれている必要があると思います。

依頼者だけ、依頼される側だけの感覚に頼るのではなく、ユーザー視点に立って深掘りを行えば、依頼者の要求が必ずしも本質を捉えきれていない事や、本人が想定しうる状況下にある問題の解決しか挙げる事が出来ない現実が見えてきます。

ユーザー視点を取り入れるにも、その為の人やツールは必要なのですが、要件定義の段階から良い共創ができれば、偏りの無い未来像を示して本質的価値のあるモノをつくるモチベーションを共有する事ができるでしょう。

思い出をつくる

欲しかったモノに対して用意されたものが期待に沿わなかった経験は幼少期から今に至るまで、誰にでもありますよね。

私と近い世代の方であれば、知っている人は知っているガンガルとか。 そんなトラウマ級のガッカリ体験をイジったコレジャナイロボみたいなモノもありました。

要求を丁寧に受けとめられず、相手から、「コレジャナイ!」と言われない為にもどのような体験をしたいのか、そこでモノがどう使われるのかを知り、理解する為の共同作業が大事なのはビジネスでもプライベートでも変わらないですね。

20年以上前に『モノより思い出。』というコピーがありましたが、モノは目的ではなく、体験を実現する為の手段として捉えていたのは今のUXデザインの本質を絶妙に表現していたと思います。

その本質を忘れず、UXに配慮した要件定義ができれば相手の期待を裏切ってしまうような事態は確実に減っていく事でしょう。

来年に向けて

今年のクリスマスは終わりですが、身近な方と過ごす時間が増える年末年始に何か欲しいモノを一緒に探しに行く、贈ったプレゼントを共用するなどして体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

そんな私は来年も体験を設計しながらモノづくりを考えるUXデザイナーとして頑張っていきたいと思います。

それでは、みなさまどうぞ良いお年をお迎えください。

執筆者:長田和之

UI/UXデザイナー、人間中心設計専門家