
はじめに
こんにちは!2025年度入社の大西です。
現在、Webシステムのテスト工程に携わっています。
最近は、仕様どおりに動作しているかを確認するため、仕様書とにらめっこする日々が続いています。
最初は、参照すべき資料や用語が分からず戸惑うこともありましたが、読み進めるうちに少しずつ理解が深まりました。
テストの中には単純な作業も多いため、「ここは自動化できそうだな」と感じる場面が増えてきています。
今回テスト自動化に取り組むことになった背景には、運用しているWebシステムで実施するリグレッションテストをより低コストかつ効率的に進めたいという課題がありました。
本記事では、実際に使用したテスト自動化ツールT-DASHや自動化に取り組む中での気づきについて紹介していきます。
T-DASHについて
T-DASHは、バルテス株式会社が提供する 誰でもかんたんに使えるテスト自動化ツール です。
T‑DASHでは、テストケースを「ブラウザを開く」「ボタンをクリックする」といった動作を設定するだけで、ツール側が自動的にスクリプトへ変換してテストコードを作成してくれます。
さらに、画面要素の取得や操作の設定もマウス操作で行えるため、コードを書く必要がありません。
こうした直感的に扱える設計のおかげで、開発未経験の私でも戸惑うことなくテスト自動化を進めることができました。
※T‑DASHで標準提供されていない特殊な動作を実行したい場合は、コードを書いてカスタマイズすることもできます。
詳細につきましては、公式サイトをご参照ください。
T‑DASHを使う中で見えてきた3つの気づき
実際にT‑DASHを使いながらテスト自動化を進める中で、いくつか気づいたことや感じた点がありました。
ここでは、その中でも特に印象に残ったことをまとめていきます。
1. テスト自動化の「向いている部分」と「向いていない部分」
初めて触れるツールとシステムだったこともあり、これらの向き・不向きを十分に整理しないまま「とりあえず手を動かしてみる」形で自動化に着手してしまいました。
その結果、自動化すべき部分と手動で進めるべき部分の切り分けができておらず、向いていない部分まで自動化しようとして余計な工数がかかってしまう場面が多くありました。
特に、自動化できるかどうかを試す検証や負担の大きい箇所(コードを書く必要がある動作)の自動化についてそれほど時間をかけるべきではなかったかと思います。
そこで、自動化における「向いている部分」と「向いていない部分」を事前に考えておく重要性を強く感じました。
向いている部分
- 繰り返し作業
- 明確な期待結果があるテスト
- 入力 → 遷移 → 画面確認のような一連の動作
自動化に向いているテストは、毎回同じ手順で実行でき、期待結果が明確でブレない点が特徴です。
繰り返し行う操作や画面遷移を伴う定型的なテストは、操作が一定のため、自動化すると手動より速く、正確に実行でき、メンテナンスも少なく済むというメリットがあります。
特に、基本機能の正常系テストのように、何度も繰り返す一方で機能自体の変化が少ないものは、自動化との相性が非常に良く、テスターが毎回実施する手間が省けるため工数削減にも効果的です。
向いていない部分
- 目視判断が必要なテスト
- 動的に状態が変化するもののテスト
自動化に向いていないテストは、手順や期待結果が安定せず、状況によって人の判断が必要になる点が特徴です。
UIのズレや画面のレイアウト崩れは機械的な判定がしづらいため、自動化が向いていません。
また、ログインユーザーや初回ログインの状態によって画面の表示内容そのものが変わったり、入力内容に応じてフォーム項目が追加・削除されたり、ロード中に一時的な要素が挿入されるなど、画面構造が動的に変化するケースも、ケース作成の負荷が高まる要因となります。
こうしたテストは準備に時間がかかるため、手動のほうが早く正確な場合もあると感じました。
2. 作りこみすぎないこと
自動化を進める中で、「最低限の要件を満たすテストケース」ではなく、あったら便利を優先して、必要以上に作り込んだ構成にしてしまった場面がありました。
T-DASHには決まった手順のまとまりを動作セットとして登録できる機能があります。
これを利用すれば毎回使用するものを簡単に呼び出すことができます。
ただ、数回使う程度の手順まで動作セットとして登録をおこなってしまい、管理が複雑になり、逆に手間が増えるという状況が発生しました。
さらに、動作セットを細かく分割しすぎたことで、どれを使えば良いのか探す時間が増え、運用しにくくなるという問題もありました。
これらの課題に取り組んだ後で知ったのですが、T‑DASHにはデータドリブン(反復テスト)という機能があり、同じ動作セットを複数パターンの入力値で繰り返し実行できる仕組みがあります。
この機能をうまく活用すれば、無理に動作セットを細かく作り分ける必要もなく、1つの動作セットに対してデータだけを切り替える形で、よりシンプルに運用できたかもしれません。
また、柔軟に対応できるようにカスタム動作を自作しようとしたこともあります。
しかし、開発未経験の自分には短時間で作成できるものではなく、時間ばかり消費してしまう結果になりました。
実際には、標準の機能を組み合わせるだけでも十分に効率化できる場面が多く、まずは無理なく運用できる範囲で自動化することの重要性を感じました。
もちろん「カスタム動作を使うべきではない」というわけではありません。
T‑DASHでは公式がチュートリアルの中に、頻出のカスタム動作を用意してくれているため、まずは公式のカスタム動作を参照しながら活用することで、少ない手間で柔軟な自動化が実現できると感じました。
カスタム動作 - 誰でもカンタンにテスト自動化ができる時代 テスト自動化ツール T-DASH
この経験から、作りこむ部分がその工数に見合う効果が得られるか(どれだけ効率化に寄与するか)を考えて判断する必要があると学びました。
「まずは最小限で作り、必要になったら拡張する」くらいがちょうど良いと感じています。
3. 重要な工程に注力できる
T‑DASHによって作業が標準化され、属人化が解消されるとともに、日本語で記述できるテストケースのおかげで、引き継ぎや改修がとてもスムーズになると感じました。
実業務では、欠陥修正後の再テストを依頼する場面も多く、そのたびに手動での実行や説明に時間がかかることが課題でした。
T‑DASHでテストケースを作成しておけば、再テストを即座に実行でき、担当者に依存せずに工数を大幅に削減できます。
また、手動テストでは「テストの実施」よりも、エビデンス取得やまとめ作業に時間が取られることが多いと感じていました。
ときには、エビデンスの取り忘れでテストをやり直すこともあり、非効率さを実感していました。
T‑DASHではスクリーンショットや実行ログなどのエビデンスをテストケースに組み込んで自動で取得できます。
さらに、結果はT‑DASHが用意しているレポート形式で自動生成されるため、エビデンスをまとめる作業も不要になり、人による形式のバラつきも発生しません。

こういった効率化により、テストにかかる時間を大きく圧縮でき、不具合調査や品質確認、そして開発工程といった付加価値の高い作業に集中できるようになると感じています。
まとめ
本記事では、運用中のWebシステムのリグレッションテストを低コストで進めたいという課題に対して、T‑DASHを使って自動化に取り組んだ体験をまとめました。
実際に作業を進める中で、自動化の向き・不向きの判断の大切さや、作業の標準化による属人化の防止、エビデンス取得や再テストの工数削減といったメリットを実感しました。
一方で、作りこみすぎると管理が複雑になり、工数が増えるという落とし穴も体験し、「まずは最小限から始める」の重要性を学びました。
今後は、自動化の対象を絞り込み、必要最小限の構成から始めて徐々に拡張していく方針を意識しつつ、
T‑DASHの公式チュートリアルなども活用しながら、運用しやすく効果的なテスト自動化を進めていきたいと考えています。